針ノ木岳

2820m

日本三大雪渓

針ノ木雪渓 2015年6月7日

針ノ木岳 登山(針ノ木雪渓) (6月)|「日本三大雪渓」針ノ木雪渓の急勾配を登る
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長野県と富山県の境に位置する針ノ木岳は、日本三大雪渓のひとつ「針ノ木大雪渓」があることでも知られている。
戦国時代には佐々成政が厳冬期に越えたと言われる針ノ木峠まで、長く続く針ノ木雪渓を登り、西には蓮華岳が聳え、山頂からは立山や剱岳、裏銀座から槍ヶ岳、後立山連峰を見渡すことができる。

針ノ木岳といえば、何と言っても稜線からの眺めの良さ。
雪渓最上部の針ノ木峠から見渡す裏銀座は、いくつも織りなす山並みが美しく、高瀬川ダムの青い水面が印象的に光っている。
山頂へ向かうと眼下に見える黒部湖を挟んで立山、種池へと続く鳴沢岳、スバリ岳の稜線が欲求を掻き立てるようだった。

後立山の南端に位置する針ノ木岳は、6月上旬に山開きが行われる。
慎太郎祭と呼ばれる針ノ木岳の山開きは、針ノ木雪渓の下部に祭壇を設け、その後に参加者で山頂を目指すというもの。
針ノ木岳を訪れたこの日はちょうど慎太郎祭の当日で、祭壇を横目に雪渓に取り付き、下山時には山頂を目指す列と擦れ違うというタイミングの良さだった。

登り
扇沢
下り
扇沢
最高標高
2820m
登山口標高
1425m
距離
10.69km
累積標高
1381m
1396m
平均斜度
14.6度
時季
2015年6月
天気
晴れ
日程
日帰り
歩行ペース
登り3:31/下り1:52/合計5:23
平均の歩行速度
1.94km/h

この日のペース

  1. 扇沢登山口
  2. 大沢小屋(0:50)
  3. 針ノ木大雪渓(1:00)
  4. 針ノ木小屋(2:58)
  5. 針ノ木岳山頂(3:31)
  6. スバリ岳分岐(3:58)
  7. 針ノ木大雪渓
  8. 扇沢登山口(5:23)

歩いたコース

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山と高原地図 鹿島槍・五竜岳
山と高原地図 鹿島槍・五竜岳
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登山ルートとしては長い距離ではないですが、登山口との高低差が約1400m近くあり急登の雪渓でした。
とくに雪渓は中盤から高度を上げて行くにつれて急な勾配になるようで、登れば登るほど大変な登山道でした。
それと引換に眺めは最高で、振り返り見渡せばいつでもどこからでも最高の景色が眺められました。
山頂は広くないですが、360度の景色はいつまでもココにいたいと思えるほどでした。

使った登山道具

持って行った水の量

扇沢から登る針ノ木岳

針ノ木岳の登山口は黒四ダムへの玄関口になっている扇沢駅から。
駅の左側にある東京電力のゲートの横に針ノ木岳への登山口がある。

アスファルトの道路は発電所の管理用道路のため、ゲートを潜って入っていくことはできない。
登山口に入るとさっそく雪が固まって山になっていた。

まっすぐに上へと伸びていく登山道と蛇行する管理用道路。
何度か道路を横断しながら緩やかに高度を上げていく。
登山口から20分ほど登ったところで正面に針ノ木岳が見え、いよいよ本格的な登山道へと入っていった。

濃い緑に囲まれた登山道は、ところどころに水が染み出しているので、足元が悪く歩きづらい。
とくに勾配もきつい場所もなく、ほぼ水平に移動するようなイメージで針ノ木雪渓を目指して進んでいく。
途中、3箇所ほど小さな雪渓を横断した。
朝早い時間帯は固まって滑りやすくなっている可能性があるので注意。

大沢小屋は扇沢から50分ほど。
ここが針ノ木岳への登山道で最初の山小屋になる。
大沢小屋は規模の大きな山小屋ではないかわりに、テント場もあり針ノ木雪渓の最寄りの宿泊施設になっている。

針ノ木大雪渓を登って針ノ木峠へ

扇沢から1時間と掛からずに針ノ木雪渓の下部に到着した。
見上げるとまっすぐ上に針ノ木岳の山頂が見える。
雪は解けかけてシャリシャリとして滑りやすいため、早々にアイゼンを装着して雪渓の直登を開始。
白馬大雪渓のような広さや周囲の山の高さは感じないものの、勾配は針ノ木雪渓の方がきつく感じる。
ところどころに大きな落石があり、クレパスが大きく口を開けているところも。
雪渓の中ほどで振り返ると爺ヶ岳が青空に映え、そこから続く稜線と鳴沢岳が見える。

雪渓は徐々に勾配がきつくなっていく。
序盤の滑りやすいと感じた箇所はまだまだ序の口で、先へ進むほどにしっかりと爪先を雪面に差し込みながら登っていく。
雪渓を大きく左へ折れると、正面に目指す針ノ木峠が見えた。

目標地点が見えても、ますます勾配を増していく針ノ木雪渓。
雪の急登になかなか高度を上げていくことができず、少し登っては足を休め、振り返っては周囲の景色を楽しんだ。

針ノ木峠に到達

針ノ木雪渓に取り付いて2時間足らず。ようやく針ノ木峠に到着した。

大きな雪庇が丘のように盛り上がって、それを越えると針ノ木小屋があった。
小屋の表に出ると、槍ヶ岳とその先に穂高岳。
高瀬ダムから続く裏銀座の稜線が見渡すことができた。
まだ雪が深い。
ここで一旦アイゼンを外し、岩がむき出しになった尾根を山頂に向かって登っていく。

同じ急斜面でも、雪の上と石の上では歩きやすさがまったく違ってグイグイ進むことができる。
そんな登りやすいルートも15分ほどで再び雪に。
しかも尾根の上を歩くのでは無く、斜面をトラバースするようなルートに変わった。

右側を見下ろすと眼下には針ノ木雪渓。
足を滑らせればそのまま落ちていきそうな急斜面。
緩い雪のトラバースはスリル満点だった。
岩と雪の接するところは、だいぶ雪が解けてクレパスのように大きく口を開けている。
足を乗せた瞬間に崩れないとも限らないので、できるだけ怪しげな場所は避けて斜面を横切っていく。

山頂直下、ガレ場のルートが少しだけ露出していた。
傾斜は山頂に近づくほどにキツく変わって来ていたため、雪の上から岩の上へと足を移して登っていくと、またすぐに雪がルートを塞いでいた。
山頂はすぐそこ。
ただし最後の雪がとにかく高く急勾配。
しかも緩んだ雪のせいでアイゼンがほとんど利かない。
足を差し込むだけでは足らず、手を突いて四つん這いのようにして登っていく。
雪を登り切るとなだらかな石の砂地の登山ルートに変わり、すぐに山頂の標が見えた。

針ノ木岳山頂

扇沢の登山口から3時間31分。
ようやく針ノ木岳の山頂に到着した。
針ノ木峠からは予定の倍近い70分ほど掛けての到着だった。

針ノ木岳の山頂からは立山がとにかく大きく近く見えた。
黒四ダムが湛える水は近く見え、そのわりには湖面に浮かぶ船が小さく見えた。
残念ながら槍ヶ岳の穂先部分には雲がかかってしまったが、北アルプス奥地の稜線はキレイだった。
そして種池へと続くスバリ岳、赤沢岳は思っていた以上に険しく感じた。
後立山連峰の三南端に位置する針ノ木岳からは、爺ヶ岳、鹿島槍、白馬岳と連峰をすべて見渡すことができた。

針ノ木岳山頂からの下山ルート

下山はスバリ岳方面へ。西側に位置するルートは雪も無かったが、崩れやすい薄い岩が散らばったガレ場で、浮き石も多く注意深く歩く必要があった。
下には黒部湖が見えるため、足を踏み外そうものならダムまで落ちるのでは無いかと思えるほど。

針ノ木岳とスバリ岳の鞍部からは雪渓へと方向を変える。
登りとは違う西側の雪渓を下山ルートに選んだが、こちら側の方が勾配がきつく歩きづらい。
登りで苦労したトラバースのことを差し引いても下山ルートにはオススメできない。

この日、ちょうど針ノ木岳の開山祭「慎太郎祭」だったため、たくさんの人が針ノ木岳を目指していた。

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下山後に立ち寄った温泉

大町市コミュニティセンター 上原の湯

扇沢へと続く大町温泉郷に近い温泉。大町市民浴場として親しまれていた温泉が2005年に大町市コミュニティセンターとして再オープン。広間と有料の個室のほかにも、体が不自由な方でも楽しめるように介護風呂も備えられている。湯船はひとつのみで、半分ほどの面積が浅くなっているため半身浴が楽しみやすい。

安めの料金と比較的空いているので、入りやすい温泉です。
食べ物などはありませんが、登山後にゆっくりと休むこともできます。
温泉は透明で浅い湯船で疲労した足を伸ばしながら入ることができました。近隣の温泉に比べてノンビリできた印象です。

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