北岳

3193m

日本第2位の高峰へ

広河原大樺沢 2015年11月7日

北岳 日帰り登山 (11月)|広河原からの周回ルート
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日本第2位の高峰、南アルプスの中央付近に聳える北岳は白嶺三山の南に位置する。
北側には甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、東には鳳凰三山が聳える。
主な登山口は林道バスを利用した広河原から。
広河原からは大樺沢、二俣、白根御池などの登山道を登ることができる。

広河原から大樺沢を登る北岳の登山道は、バットレスと呼ばれる大きな岩壁を見上げ、八本歯のコルを過ぎたあたりからの眺望が見もの。
北岳といえば標高が高いイメージが先行するが、荒々しい岩の山容や、山深い南アルプス北部の景色が楽しめる。

降雪と結氷が見られる11月上旬。
天候は雲が多いながらも雪が降るような予報ではなく、山頂からは近隣の山々の眺望が良かった。

登り
大樺沢左俣
下り
白根御池
最高標高
3193m
登山口標高
1522m
距離
10.52km
累積標高
1682m
1630m
平均斜度
17.5度
時季
2015年11月
天気
晴れのち曇り
日程
日帰り
歩行ペース
登り3:36/下り2:21/合計5:57
平均の歩行速度
1.91km/h

この日のペース

  1. 広河原
  2. 八本歯のコル(2:41)
  3. 北岳山頂(3:36)
  4. 北岳肩ノ小屋(3:53)
  5. 白根御池(4:53)
  6. 広河原(5:57)

歩いたコース

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山と高原地図 北岳・甲斐駒
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南アルプス林道が閉ざされるギリギリに広河原から登りました。
冬季期間は夜叉神峠から先は行けなくなるので、それまでにというつもりで張り切ってバスは芦安から5時15分発。日帰りなのでできるだけ早い時間での出発でした。
広河原からは北岳が近く大きく見えて良かったです。
登山道には様々な標が多くて、とっても迷いました。
どの標の通りに歩いても登れたのですが、歩きやすさも違うと思うと大変でした。
北岳山頂からの景色は最高です。

使った登山道具

持って行った水の量

広河原から北岳へ登る

甲府駅から出発する南アルプスへの林道バスで広河原へ。
林道の入口になる芦安、鳳凰三山への登山口がある夜叉神峠と経由して広河原へと向かう。
朝5時台の始発に乗るため、広い駐車場で車中泊している車もチラホラと見られた。
バスに揺られて約1時間、北岳を見上げる広河原へ到着した。
終点のインフォメーションセンターで下車。
登山口は北沢峠方面へ50mほど進んだところにある吊り橋から入っていく。

長い吊り橋を渡って登山道へ。
さっそく左右に矢印が出ているのを左へ。
左手に吊り橋を見ながら、一見するとそちらが登山道のようにも見えるところを右へ。
緩やかな登り坂を進んでいくこと10分ほど。
白根御池への分岐に出た。分岐を大樺沢へ。
沢の音に沿って登山道をゆっくりと標高を上げていく。

登る先にはずっと北岳が見える。
徐々に陽が高くなりモルゲンロートから北岳の岩肌に色が変わっていく。

登り始めてから1時間ほど登ったところで、沢を跨ぐ鉄製の橋を渡る。
振り向くと鳳凰三山の稜線が見え始め、ルートに向き直ると北岳がさらに高く聳えていた。
このあたりから登山道上にはペンキの印が目立ち始める。

二俣への分岐や肩ノ小屋への分岐、登山道上の印など様々な岐点がある中で、明らかに多すぎる印。
2つに別れている行き先で、両方に印が付いていることも。
下から登山道を眺めながら、どちらが歩きやすいかを判断しながら登っていく。
沢には厚い氷が張っていたので、できるだけ氷や霜を避けながら。

登山口から1時間半ほど登ったところで、ロッククライミングで知られているバットレスを見上げる場所に辿り着いた。
ここからは勾配が一気にきつく変わる。
バットレスはロッククライミングが楽しまれている大岩壁として有名で高低差は600mもあるという。
過去には遭難も起きている。
朝日を浴びたバットレスの大きな岩壁を見上げ、足元はすっかりガレ場に変わり、岩に付いた霜に注意しながら急勾配を上がっていく。
右側を見ると、高く見えていた北岳に徐々に近づいてきたことを感じる。

稜線直下のハシゴ

北岳への稜線直下では、いくつもの階段が続いていた。
ところどころに雪が残っているものの、乾燥しているせいか滑りはしない。
目の前に次々と出てくる階段。見下ろすと断崖で、振り向くと急な勾配に驚く。
鎖ではなくハシゴで良かった。

ハシゴを登ること20分。いよいよ稜線に出た。
目の前には農鳥岳と間ノ岳。
左側へ目を移すと、富士山が雲海に浮かんでいた。
最後の長い階段を登りきると、八本歯のコルへ。

大きな岩がゴロゴロと転がって足元の安定しない八本歯のコル。
ペンキが付いていてもイマイチそのルートが正しいのかが分からないまま一歩ずつ上へ。
上へ上へと進むほどに白嶺三山の景色は素晴らしく、北岳の影に隠れていた甲斐駒ヶ岳もその山頂が見えるようになった。

ガレガレの岩場を登りきると吊り尾根。
北岳山頂と間ノ岳への分岐点にあたり、ここからは北アルプスと中央アルプスが見える。
山の麓にはうっすらと伊那の街。

細かな石と大きな石が散らばる登山道は、木段が整備され八本場のコル付近と比べると歩きやすくなっていた。
急な斜面をトラバースするように付けられた木段。左側の斜面は遥か下まで続いていた。
坂を登り切ったところで岩の尾根。
鎖を伝って台形のようになった山頂へ到着した。

北岳山頂

広河原から3時間36分。北岳山頂に到着。
北岳山頂からの眺めは周囲の山が360度見渡せた。

すぐ近くに聳える3000m峰の仙丈ヶ岳。
東側に並ぶ鳳凰三山。
甲斐駒ヶ岳は花崗岩の白さが際立っていた。
遠く北アルプスは雲がかかっていたものの槍ヶ岳や穂高岳も。
ひととおり景色を楽しんで下山ルートは白根御池へ。

北岳からの下山ルート

山頂を北側へ。肩ノ小屋を目指して下山開始。
所々に雪が残っているものの大樺沢のような氷は無かった。
両俣小屋との分岐を過ぎさらに下っていく。

約20分ほどで肩ノ小屋を通り過ぎた。
見晴らしが良く甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳を見渡しながら歩く稜線はとても気持ちが良い。
農鳥岳までの3,000m級の稜線も良いのだろうけれど、この稜線歩きも良かった。

20分ほど下って小太郎山分岐を過ぎると、ここから登山道は一気に急な下り坂へ。
九十九折りを繰り返しながらの急勾配を下りていく。

白根御池に到着したのは北岳山頂から1時間ほど。
実際の時間以上に長く感じる下り坂。
さらにココからは細かなアップダウンを繰り返していく。
斜面をトラバースする場所もあり、白根御池のような急勾配も多い。

広河原に到着したのは北岳山頂から約2時間半。長い長い下り坂だった。

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北岳山頂へと近づく稜線

北岳山頂へと近づく稜線

南アルプスの北岳は日本第2位の高峰です。1時間近く林道バスに揺られて広河原からの登山口が一般的です。

バスに乗っているので、あまり感覚はありませんが実は南アルプスは山深いところばかりです。山梨県に属する北岳もすぐ近くには長野との県境があり、仙丈ヶ岳はすぐ隣に聳えています。
さらに3000m級の稜線が続く白嶺三山のひとつとしても人気で、シーズンになれば高山植物も多く咲き誇るという富士山並みに一度は登りたいと思う山です。

この日、朝一番のバスに乗り、広河原から大樺沢の登山道を通って北岳へと登りました。すでに雪も降り始めた11月。風の当たる稜線は肌寒く、立ち止まっていれば凍えそうな気候でした。

稜線からは白嶺三山、鳳凰三山、雲の先には富士山が見え、日本第2位に相応しい眺めでした。山頂に到着する前から満足度の高い眺望が楽しめたのですが、広河原からの高低差は1600mほどあります。
景色を楽しみながらもそれなりの高低差を登っているので、山頂に近づく頃には少しずつ足にも疲労が溜まってきていました。稜線から見えるピークのうち、山頂はどれなのだろうと思いながら歩みを進めて行きます。

登山中に良くあるのが「あれが山頂だ」と思っても、そこに辿り着くと実はその先が山頂だったということ。

北岳の稜線から見えたこの風景も、「あの奥が山頂だろう」と思って登っていました。
実は北岳の山頂は真ん中のピークだったので、到着したときは拍子抜けした印象もありました。

北岳へ大樺沢登山道からの眺め

北岳へ大樺沢登山道からの眺め

南アルプスの林道バスが終わる11月上旬。
北岳へと向かいました。

日本2位の高峰で南アルプスの中でも人気の高い山。広河原から大樺沢のコースを登りました。

この写真は広河原から1時間ほど登ったところです。沢に掛かっていた単管の橋を渡り、見上げた先には来ただけが大きく聳えていました。
とても近い場所にも見えるのに、、、実はそれが北岳の大きさからの錯覚だと感じたのはもう少し歩いてからでした。
正面に見える岩壁は有名なバットレス。このときには崩落があり登ることは禁止されていましたが、北岳といえば高難度ルートのバットレスの知名度はとても高いです。このときのコースはそのバットレスを右手に見ながら北岳の左側の沢を登っていきました。もう雪がうっすらと積もり、気温が下がって水たまりは厚い氷に変わっていました。
軽アイゼンや滑り止めが無ければ、大樺沢は登ることすらできない状況で、ゆっくりと足元を確認しながら北岳へと近づきました。

北岳の稜線から白嶺三山への眺め

この地点から見える大きな北岳の稜線に経つと、一気に眺望が開けます。正面には間ノ岳、農鳥岳。振り返れば鳳凰三山。左手には富士山とそこまでの長くて急だった斜面の苦労が報われます。
広河原から北岳へのルートでは、北アルプスの岩場のようなスリリングな場所はありません。かわりに広く大きな眺望を楽しむことができます。これが南アルプスの魅力だと思います。

下山後に立ち寄った温泉

南アルプス温泉ロッジ 白峰会館

芦安温泉の上部、南アルプス林道の入口にある施設。南アルプス温泉ロッジの施設のひとつとして温泉と食事が楽しめる。林道バスの発着所にもなっており、広い駐車場もあるため、利用する登山者も多い。内湯と露天風呂が楽しめ、眺望の良い露天風呂からはパノラマが広がる。

駐車場の横に建っているので、近くて立ち寄りやすい温泉です。見た目が温泉らしくない印象なので、幟旗が立っていなければ気にも留めないのですが、近いというのは魅力的でした。玄関前の階段が登山後にはちょっとキツイですが、入口から浴室までも少し歩きます。
本館と離れといった感じで併設している建物に浴室があり、温泉が楽しめます。温度はぬるめですが疲労した筋肉にはちょうど良く、空いていればストレッチをしながら入れそうなくらい広いです。食事も楽しめますが、早めの終了時間なので要注意です。

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