街からピョコピョコとふたつの峰が見える。
その山名は分からなくても、そんな風に存在感を示している山が鹿島槍ヶ岳。
山に登るようになって、この山のことを知り、行きたい行きたいと思うようになりました。
鹿島槍ヶ岳へ登ろうと思ったら、柏原新道を歩くか、赤岩尾根を登るかという選択肢になりました。
柏原新道は夏に撤退していて、距離的に近いのは赤岩尾根だなと。
藪に飛び込んでいく大きな塊を見ました。
黒くて、たぶん大きさは1mぐらい。
嫌な予感しかしない。
知ってはいたけれど。
赤岩尾根は林道が長いです。
ついさっき、登山口の手前で見た黒い塊が頭から離れません。
赤岩尾根の取り付きからは段差を上がるたびに大声を出したりして。
コースタイムを頭に入れながら、どこに何時ごろなんて計画をしていました。
事前に見てしまった黒い塊のせいか、なんだかあっという間に稜線が近づいて。
もうちょっと行ったら乗越じゃないかと。
冷池山荘の前まできたら、ちょうどヘリコプターが着陸する直前でした。
小屋の方から声を掛けられて、ヘリコプターが去るまで小屋へ避難。
タイミングは台風明け。
直後で登山道の様子は不明とのこと。
前日に降雪もありました。
晴れているとはいっても状況はベストではなかったのかもしれません。
台風と雪とがあるなかで、山頂には青空が広がっていました。
小屋で休んだせいか、一度、動きを止めた太腿は重くて。
布引山あたりで、足が上がらなくて。
もうすぐそこに山頂があるのにもかかわらず。
そのとき、4時に出発して柏原新道を登ってきたという人がサッと横を過ぎていきました。
良くあるパターンで。
山頂に着くころに山頂がガスに覆われる・・・。
来たことで満足だから良いのだけれど。
でもせっかく来たのだから晴天の山頂に立ちたい。
周りの景色が見えなかったとしても。
しかも下りたら晴れるパターンで。
山頂からの景色も望めず、気候的にはベストではなく。
そんなタイミングだったけれど、鹿島槍ヶ岳への登山道を歩けたことに満足をしました。
無事に山頂を踏んで帰ってこられたことに。