とある昔の写真を見て穂高岳へ行きたいと思いました。
その写真は間違いなく奥穂高岳なのだけれど、日程上、それは無理そうで。
ならばせめて前穂高岳へ。
前穂高岳へ日帰りをするとしたら重太郎新道の一択でした。
岳沢で泊まって朝早くに出発するというのも選択肢ですが、それは早い時間なら上高地から出発しても同じかなと。
朝5時半、河童橋をスタートしました。
岳沢は吊り尾根の真下にある重太郎新道の入口のような場所。
上高地から2時間半を目安にしました。
5時半に出たのなら8時前に通過できれば。
以前に岳沢へ来たのは奥穂高岳へのテント泊の時でした。
あのときのゆったりとした行程とは違って、今回は短時間の日帰り。
山頂に着くまではできるだけ時間を巻きたいところでした。
懐かしさもありながら、サッと通り過ぎていきます。
上高地を出発して、青空が広がっていて。
暑そうだけれど気持ちの良い天気になるような予感がしていました。
でも登れば登るほどに雲の面積が増えて。
間近に見えるハズの穂高岳の稜線は真っ白になっていくばかり。
鎖場と岩の高い段差が続く重太郎新道。
難しさは感じないけれど、浮ついて躓きでもしたら、それはもうシャレにならない。
そんな登山道を登り続けて紀美子平まできました。
ココまで来たら、前穂高岳へはひと息という感じです。
上高地から意外とペースが速く、これはもしかして奥穂高岳まで日帰りして良いのでは?
そんな風に思っていました。
でも紀美子平から眺めたとき、壁のように高く見えて。
奥穂高岳はそう気軽に来る場所じゃないと存在感を示しているように見えました。
前穂高岳の山頂から、涸沢カールを見下ろします。
たぶん、この眺めがこの日の一番印象的な景色でした。
思い入れのある涸沢カール、まだ見たことのない緑の景色でした。
日帰りしようと決めてやってきましたが、実際、山頂に来てみると心地よく、いつまでもココにいたいと思えるほどでした。
時間はどんどん過ぎて、のんびりとしているほどに、帰る時間は遅くなっていきます。
上高地から帰りはバスだし。
重太郎新道の下りは初めてだし。
前穂高岳でゆっくりと過ごした分、時間が過ぎてガスが上がっていくかと思えば、そういうわけにもいかず。
時間が経つほどに白くなるばかりでした。
重太郎新道は思っていた以上に短時間で下りることができ、拍子抜けするほどに身近な下山時間でした。