西穂高岳は行きたい山のひとつでした。
そうはいっても経験も知識も浅い中で立ち入ることは危険なだけと思っていました。
行くとしたら日帰り。
山に登り始めた土屋を見て、これなら行けるだろうと思いました。
土屋の運動能力と、自分の運動能力を比較して。
彼があれくらいなら・・・
時が過ぎて変わったところも多くなりました。
でも土屋と同じ時間を過ごした高校時代、身長も体重も同じ、座高は僅かに違うという程度。
15年ほどの時間を経て、また一緒にバスケをするようになりましたが、そんな様子を見て決めました。
ロープウェイの始発時間。
西穂山荘までの時間、西穂山荘から山頂まで・・・
行程を練って日帰りできると思いました。
もちろん、西穂へ行くということは、西穂ラーメンも食べるということで。
時間がギリギリだったら食べないけれど。
食べることも山頂と同じくらいの重要度で行きたい。
日ごろから体を動かして、バランス感覚の良い土屋も、山に登り始めて日が浅い。
彼が持ってきたヘルメットは工事用でした。
ズボンは作業服。
ドキドキしながらも無事に山頂へ。
予定していた時間の半分ほどだったと思います。
土屋も山頂でテンションが上がったらしく、楽しそうに過ごしていました。
西穂高岳から激しく誘惑をする吊り尾根から奥穂高岳。
今立っている場所から向かうには、ここ以上に難易度が高いコースを通らなければ。
いつか行くかもしれないけれど、今日は行かない。
ウロウロとしている様子を、土屋は手持ちのスマホで撮る。
それも思い出でありがたい1枚。
単独行とは違って、自分の姿が思い出として残せるのも良い。
「今日は時間が足りないかもしれない」
そういう話をしながらやってきた西穂高岳。
下りてみれば、時間に余裕があってもっとのんびりと楽しんでも良かったと思うほど。
でも早足で歩くのも楽しい。