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神林さんに聞きました

神林さんに聞きました

ふだんは会社に勤務するサラリーマン。
休日には木々の生い茂る樹林帯を走り抜けるハイスピードクライマー。
そのスピードと体力から、時に「ヘンタイ」とも呼ばれる神林さんに聞きました。
(2016.06)

山で走り回るのはいつから?

神林さん

山に登り始めたキッカケは?

小学生のような物心が付いたころから山に入るようになりました。山の段差や枝があるところをアスレチック感覚で遊んでいるところから山に慣れて親しんでいきました。
近所の山の中に入って走り回っている子供という感じです。

中学に入ったらサッカー部に入りました。でもレギュラーにもなれずにいて、担任の先生が陸上部の顧問だったことから陸上の大会に呼ばれてました。
800mや1500mといった種目で走ってました。本来のサッカーの部活とは別に。

あの頃は走ることは好きではなくて、ただ走るにしてもサッカーのようなゲーム的なことが好きでした。

岩場を歩く

今のように「走る」ことが多くなったのは大人になってから?

高校生になってからは部活動もなにもやらなくて、そのころからマウンテンバイクを乗るようになりました。
マウンテンバイクを担いで山に登って下りでダウンヒルとか・・・

マウンテンバイクってホームセンターにあるような?

そうです。普通の。若干良いヤツで。

そのころからおかしかったんですね

おかしいですかね?
マウンテンバイクで、志賀高原とか峰の原に登って一気に下ってくるとか。

部活動もせずに。

仲間はいなかったんですか?

仲間いないですね。
さすがにその遊びに付き合ってくれる人もいなくて。

小学生の頃に野山を走ってたそのままの感覚で?

自分が子供の頃ってまだ周りの道路も畦道のようなところも多くてオフロードだったので、舗装の道路を走るよりも楽しくて。その感覚で。
山の中を走った方が起伏もあって楽しくて。

走るのは遊び感覚

スピード

「走る」というとトレランと思われがちですが、小さな時の遊び感覚だったらトレランとは全く違いますね

意識も全く違うし、走るにしても「遊んでいる」という感じ。
トレランをしよう!というので走っているわけではないので。

特徴的な写真を撮っていますがカメラは?

ケータイにカメラ機能が付くようになって、それからしばらくして初めてのケータイを買いました。写真もその頃からですね。
山の中を走ってきて、ケータイを開いてパシャ!っていう感じで。
登山というよりは山を普通に走ってたという感じです。

神林さんが撮る写真は、葉や足元の景色が多い印象ですがこだわりは?

行ったその場で「いいな」と思ったものを撮っているだけなので。基本的には森好きなので、稜線や広い風景というよりは森の中にいるのが好きです。樹林帯が好き。

北アルプスなどの森林限界も良いのだけれど、森林限界はオープンスペースで自分としては道路を走っているのと変わらないです。でも森の中に入ると上からも下からも木や枝があって、上下に沈んだりとか横に振られたりとか体の動きがあって好きです。

避けたり潜ったり、枝を掴んで越えたりとか。
広い稜線を走るというよりは森の中が好きです。

もちろん稜線も気持ちが良いですけど、樹林帯でアスレチックしてるのが楽しいです。

山への持ち物

花も見る

持って行く物は?

気候や行く場所によって変えてます。少ないときではウォーターボトルだけだったりとか。なにも背負わずに。

気合いを入れて登るときでも?

ぜったいに持っていくものはウィンドシェルかな。あとは万一のことを考えてテーピングやバンドエイドなんかの簡単なファーストエイドキットを持って行きます。

履いている靴は?

行く場所によって靴は変えますが、比較的ソールが薄目で地面の感覚が感じられるヤツが良いです。
メーカーでいったら、イノヴェイト、アルトラが好きでよく履きますね。
イノヴェイトはたしかイギリスかな?。イギリスというとマットな感じのトレイルが多いので、スパイク形状がシッカリしている感じです。
アルトラはアメリカで、ナチュラル走法といって足裏を感じながら体に優しくというか。もともと人間が持っている走り方によって膝に当たるダメージを少なくしたりとか、体のダメージを少なくしたりとか。そういう提案をしてます。

この辺の靴が好きですね。

進んだ分だけ景色を堪能

山に登るシーンで、自分で決めていることはありますか?

単独行が多く天候に関係なく山に入ってます。晴れても雨でも。
天気によって登る山を変えてます。
晴れたら稜線とか。雨が降ったりガスっているときには樹林帯とか。鍋倉山は雨が降っている時の方が良いですよね。
鍋倉のブナ林はお気に入りです。バックカントリーでも。好きですね。

長い距離と時間を走ってますが、ドキッとしたようなことは?

今のところ無いです。その時々で対処しているというか。

行ってみたい山はありますか?

もう少しクライミングの要素があるようなエリアへ行ってみたいというのはあります。

でも戸隠は行き過ぎているほど行ってますよね?

行きすぎてますね。もう少しスケールの大きな感じ。長い感じだとか。
戸隠でも西岳とか楽しいですけどね。西岳というと岩が少しもろいので、ただ危険なだけという印象もありますけど。
戸隠山でも蟻の塔渡りだけではなくて、全体として稜線も好きだし、あの森の中も好きだし。一番手ごろなのが戸隠かな。

山頂を背に

ボルダリングやロッククライミングは

全体として移動するとか、そういう感じの方が好きです。

振り返ってみると・・

森の中を走って体の動きを感じていると獣になったような気持ちになります。
狼のような動物に憧れるところがあって、稜線に出たらアイベックスのような動物に憧れるところがあって、樹林帯の方が好きだけれど、それはそれでいいなと。
動きを通して動物になりたいのかな。

日本にもいますが、ハイタカというのを目にしたとき「カッコいいな」と思ってDVDを借りて見たりとか。