三股から登る蝶ヶ岳
駐車場のある三股は秋山シーズンの突入で多くの車が停まっていた。
ざっと80台ほどが停められる駐車場の7割ほどが埋まっている。
300mほど下ったところに臨時駐車場もあるため、週末にはこちらも利用されるのだろう。
公衆トイレの横には、上の東屋へと通じる階段と、通行止めの策がされた砂利の道路とがある。
一見、階段が登山口にも見えるが、通行止めを避けて砂利道を進んでいくと10分ほどで登山口が現れる。
登山口の横には案内所と登山届のポスト。
蝶ヶ岳と常念岳へと続く登山道がココから始まる。
登山口を通過するとすぐに常念岳への分岐がある。
常念岳へは見るからに急な斜面の登山道で、比べて蝶ヶ岳へは緩やかな登山道が続いているように見える。
小さな沢に掛けられた橋を渡り、揺れの激しい吊り橋を渡ると、徐々に登山道は斜面がキツく変わってきた。
登山口から20分も登ると真っ直ぐに上へと伸びる階段に出る。
ここから登山道にはいくつもの階段が出てくる。
それなりの標高でここまで階段が多いのも珍しいと思いながら階段を登ると、すぐ「ゴジラのような木」が現れた。
ゴジラのような木を通過
蝶ヶ岳へと続く三股のルートといえば「ゴジラのような木」。
山頂にある蝶ヶ岳ヒュッテでは"ゴジさん"と書かれているこの木は三股ルートのシンボル的な存在で、登山関係のDVDやウェブサイトにも多く登場する。
ゴジさんは行く先を眺めるように首を持ち上げているので、横目に見ながら先へと登っていく。
標高が上がるにつれ、だんだんと木の間から景色が見えるようになってきた。
1時間も経たないうちに枝の間から常念岳らしき稜線が見えた。
三股から2km。階段が長く続く地点。
標高1,900mのまめうち平まで細かく階段が続き、標高はグイグイと上がっていく。
まめうち平は休憩するには広くちょうどの良い丸太が横たわっている。
ここを過ぎるといったん傾斜が緩くなり、アップダウンの続くルートに変わる。
周囲は深い緑に覆われ、ほんの少しだけ見えていた景色はまったく見えなくなる。
三股ルートからの眺め
標高2,000mを越えた頃、ちょうど蝶ヶ岳と三股の中間地点を通過。
徐々に木の間から明るい空が見えてくる。
蝶ヶ岳と常念岳を結ぶ稜線が見え、しばらく行くと小さな沢を越えた。
ここからはちょうど眺望が良く雲の上に大きく常念岳を見ることができた。
前常念から常念岳山頂へと続く稜線がいかにも気持ち良さそうで、蝶ヶ岳と常念岳の縦走ルートを歩きたくなる気持ちが分かるような景色だった。
階段の多かったルートは、大小の石が多く転がるガレ場へと変わってきた。
急な斜面をトラバースするように右へ左へと折れながら標高を上げていき、ところどころ高い木の間を縫うように登山道が登っていく。
このあたりからベンチの標識が目につき、2,300mを越えたあたりと、最終ベンチは2,500m地点に設けられていた。
樹林帯を九十九折りに登りながら木の間からの景色を覗き見ると下には雲海が広がっている。
高く見えていた常念岳もいつの間にか視線と同じくらいの高さに感じる。
覆われるような広葉樹のトンネルを抜けると、大滝山との分岐点に出た。
見上げるとハイマツが広がっている。
いきなりの樹林帯突破で、10分と歩かないうちに山頂の稜線に出た。
稜線上では、北側には蝶ヶ岳ヒュッテとその先に展望指示盤。
左側には最高到達点の長塀ノ頭。
まずは展望指示盤へ行き景色を堪能してから、それから長塀ノ頭へ。
三股登山口からは2時間52分での山頂到着だった。
蝶ヶ岳山頂
蝶ヶ岳からは北アルプス南部の眺めが素晴らしく良かった。
眼下の梓川を挟んで向かい側に見える穂高岳と槍ヶ岳の稜線はもちろんのこと、常念岳から続く大天井岳への稜線、燕岳もはっきりと見ることができた。
街が見えるはずの山頂の西側には広く雲海が広がり、時間が経つにつれて常念岳へと覆い被さるように広がっていく。
なだらかで広い山頂は景色を楽しむのには絶好の場所になっていた。
下山
下山は登ってきたルートをピストンで下りる。
ガレ場は崩れやすく、階段は足場が狭く要注意。
ゆっくりとした時間に登ってくる人も多かったので、擦れ違いに気をつけながら樹林帯の中を下りた。