竜ノ峰雨首へ
独鈷山は上田市の西側、塩田平を代表する山のひとつ。
ごつごつといくつもの峰が並んで形成している風景は美しく、その麓では前山寺や塩野神社など信仰が見られる。
上田市中心地から塩田平の前山へ向かう。
塩田神社の近くから独鈷山登山口への看板があり、行き止まりのゲート前に4台ほどの車を停めるスペースがある。
看板の指示に従ってゲートを開け、登山道へと入っていく。
時間を想定したものの、雨首までの登山道の詳細が掴めなかったため、行けるところまで無理をせず多少の余裕が感じられても予定外のことはしないことを決めた。
雨露が残り湿度も高い。
太陽は雲に隠れて、杉林の中は薄暗い。
林業のためか整備された登山道は広く歩きやすい。
落石が多く、その上に苔が生している色が鮮やかで、落ち葉の褪せた茶色には良く映える。
緑が綺麗だなー
コンクリート舗装の登山道を過ぎ、古城の前門址は10分と掛からず過ぎた。
登山道を折り返して、左側に斜面を見ながら転がった落石を避けて登っていく。
「迂回コース」の看板が見えると、鉄城山の案内が木に括り付けられ、林の奥には雨首を指した矢印が掛けられていた。
雨首の案内板に従って木々の中へと入っていくと、いきなりの急登が始まった。
足元は杉の枝や葉が積もり、柔らかな土に登山靴が埋まる。
ところどころにある巨岩は苔が生して鮮やかな緑。
「直進」と書かれた看板からは、さらに急な登りに変わる。
まっすぐに上へと続く急斜面で、一気に息が上がる。
3分ほどで直登は終わるものの、右に折れて斜面をトラバースしながらの急な登り坂に変わり、急勾配に歩きづらさが加わったかのような登山道。
さらに3分ほど進んだところでトラロープが張られ、それに沿って山肌を直登をしていくルートに変わった。
相変わらずの急斜面で、ソールが埋まるほど柔らかく滑りやすい感触が続く。
ロープを手がかりになんとか急登を登り、ロープに沿って斜面を右へトラバースしていく。
斜面上部には茂った葉の上へと岩壁が伸びる。
木を縫うように張られたロープを手がかりにし、それに沿って斜面を進んで行き、先を見上げると黄色の看板が立つ尾根が見えた。
蒸した空気が息苦しい
雨首と鉄城山とを指した看板で、尾根上の右が雨首、左が鉄城山だった。
看板に従って右を見ると細い尾根の先に岩の登り坂が見える。
両側は深く落ち、木々に遮られて下の方が見えない。
登り切って進むと小さなハシゴが掛けられていた。
岩の窪みに手を掛け、ハシゴに足を掛けて登ると一気に景色が開けた。
暗い樹林帯から青空が開け、暑く蒸した空気が一気に流れるようだった。
竜ノ峰雨首
登山口から46分ほどでの雨首到着。
雨首の周囲は高い岩壁で狭く、足元は丸みを帯びている。
上田市街を一望するような眺めの良さで、雨雲が厚いために標高の高い山並を見ることはできないものの、空気の澄んだ景色が楽しめる。
見下ろすと真下には登山口付近の家々、小雨首といわれる岩峰。
振り返ると鉄城山が間近に見える。
その先に尾根伝いに続く山頂部は雲に隠れ、帰望峰と呼ばれる尾根のバリエーションルートが一望できた。
この景色はまた見たい
下山
雨首からハシゴを下り、登ってきた登山道を戻る。
登りで苦労した急登は下りでも苦労し、特に柔らかい足元は崩れやすく靴が流れやすい。
ただ体感時間は早く、あっという間に下りて迂回ルートと合流した。
登山口へ戻ると青空が広がり、振り返ると雨首がすぐ近くに聳えて見えた。
短時間だけど良く登ったと思う