深田久弥記念公園から茅ヶ岳へ
茅ヶ岳への登山口でもっとも一般的なのは深田久弥記念公園からの2本の登山道。
岩場のある女岩ルートと急登が延々と続く尾根ルートが公園から登ることのできるルートで駐車場も広めに用意されている。
公園近くにも駐車場があり、そこが最も近い駐車スペースになるが、今回は20分ほど下にある駐車場へ車を停めて登山道へと向かった。
駐車場からしばらくは広く車が通れそうな林道を歩いて行く。
緩やかな傾斜の林道で、足元は地面が凍らせて固く締まっているが積雪は僅か。
下山する頃には溶けてドロドロとした状態になることを予想しながら木の中を歩いていく。
寒くもなく、かといって暑くもないちょうど良い季候の中、緩やかな登り坂を歩くのは気持ちが良い。
20分ほど歩いて深田久弥記念公園近くの道路を横切った。
道路を横切ってからも、しばらくは同じ状態の緩やかな林道が続いていく。
幅も広いまま、車で入ってこられるのではないかと思うほど。
10分と歩かないうちに広く開いた場所があり、そこから先には急な斜面が続いているのが見えた。
斜面の勾配はキツく変わっても相変わらず広い林道は歩きやすく、乾いた雪が滑りやすく感じる程度。
さらに10分ほど歩くと自然と幅が狭くなり、登山道らしい様相に変わってきた。
見上げると木々の先には青い空がハッキリと見える。
山頂や稜線が近いのかと思えるほどの距離感で、駐車場からの数字ほどは高低差を感じないのかもしれないと思いながら先へと歩いて行く。
やがて緩やかな登山道は大きな岩がいくつも転がった地点に到着し、「山頂まで60分」という看板が立っていた。
女岩
登山道に付けられた女岩という目印の地点から、一気に急な岩の斜面へと変わる。
これまでの緩やかさとは比べられないほどの急斜面で、さらにはその斜面をトラバースするために狭い土と岩のルートが続く。
雪で目印が見えづらいところもあり、慎重に進む場所を見定めながら。
ここまでの登山の気分からは意外なほどの急登に苦労しながら岩の多い箇所を通り過ぎると、先に見える青空へと九十九折りに急斜面が続いていた。
延々と続く九十九折り。
良く陽が当たる場所のようで雪や氷は一切なく、フカフカとした落ち葉と緩んだ土が続いている。
積雪があれば直登するところと思われる九十九折り。ひたすら我慢の斜面だった。
振り返れば南アルプスと段々視線が合ってくる。
女岩から25分。
長い急斜面を抜けて尾根に出た。正面には金峰山と瑞牆山。
それを右手にするように尾根は左へ折れ、狭い登り坂が続いていた。
尾根を登り始めてすぐに深田久弥の名が書かれた石碑に差し掛かった。
「深田久弥先生終焉之地」と書かれた石碑。ここで脳卒中を発症したのだろうと思われる。
石碑の向こうには金峰山があり、眺めの良い場所であったことが日本百名山の著者らしいところか。
尾根はさらに先へと続き、ところどころに岩を乗り越えるような高さの段差、切れ落ちロープが張られているところなど、危険箇所とまではいかないまでも注意が必要なところを通過していく。
振り返れば富士山もよく見え、山梨の山らしく眺望を楽しめる。
茅ヶ岳山頂
駐車場から1時間28分。茅ヶ岳の山頂に到着した。
眺望の開けた山頂からは、すぐ間近に八ヶ岳が聳え、さらに近くに南アルプスの鳳凰三山、甲斐駒ヶ岳と高山が連なっていた。
一際高い富士山がその足元に山梨百名山を従えているようにも見え、その中でも櫛形山が存在感を示すように横に大きく聳えていた。
東側には秩父の山並みが連なり、特に金峰山は距離が近いこともあり存在感があった。
茅ヶ岳からの下山
下山は山頂から分岐して尾根ルートへ。
西側の尾根をひたすらに下りていくルートで、ただただ下っていくというもの。
眺望の良い場所はなく、急登と雪で足元が悪く登りにも下りにも苦労をしそうなルートだった。
実際の時間よりもあまりに長く感じられる下り坂で、女岩ルートで緩やかだと感じられたのは尾根までの斜面がよほど急だったのか、尾根ルートの距離が短いからかと考えながらの下山だった。
女岩ルートとは深田久弥記念公園で合流し、駐車場へ戻る緩やかな林道を再び歩く。
おだやかな登山道で遅い時間からでも登る人がいるほど。
駐車場やトイレも整備され登りやすい山だった。