三才山周回登山
上田市から鹿教湯を経由して松本市へ。
長い登り坂を進んでいくと、深い谷と、くねるような高低差を見せる尾根が現れる。
四賀村から美ヶ原へと伸びる長い尾根で、この道路が通るために開けた三才山トンネルが、その尾根を貫通している。
古くから峠道のあった場所で、山名の付いた三才山峠、少し南下して武石峠と交通の要所だった。
三才山トンネルがあることで、長野の東と中心とのアクセスが良く交通量はとても多い。
上田市からトンネルを潜り、三才山橋、本沢橋と渡りながら坂を下っていく。
左側に閉店したドライブインがあり、そこの広い駐車場を借りて車を停める。
朝早い時間でも大型のトラックや、乗用車が何台も駐車場の前を過ぎていった。
![三才山登山](https://tozan100kei.com/img/common/feel-icon.jpg)
けっこう交通量が多いイメージ
今回のコースは、三才山の北側にある戸谷峰から尾根を伝い、六人坊、三才山へと渡り、三才山峠から林道を歩く。
巨石がそそり立つ烏帽子岩と、最高峰の戸谷峰からの眺望が、コース上の見どころで、それ以外は樹林帯に覆われるため、木々を眺める以外には視界が楽しめるものは見当たらない。
枯葉を踏む音と、2月にもかかわらず初春のような長閑さが、街から近い山らしい雰囲気を感じさせた。
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実は、前にトンネルを通ったときに目を付けていた
戸谷峰へ
今回のコースの中でもっとも標高の高い戸谷峰。
938mから戸谷峰は1629mまで一気に登っていくような登山道が続く。
登山口は駐車場から道を渡った向かい側にあり、擁壁に作られた階段を登ってゲートを開けて登山道へと入っていく。
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けっこうな高さまで登る感じでテンションが下がる
ゲートから序盤は斜面をトラバースする細い登りが続く。
足元には落ち葉が積もり、一歩ずつ踏み込むたびにカサカサという音と、枯木の折れる音が聞こえる。
樹林帯の山に伸びた、尾根と尾根の谷間を登るように作られた登山道からは周囲の眺望はまったく見えず、葉が落ちた木々の間から三才山トンネルから伸びる道路が見えていた。
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地味だ
斜面をトラバースするように続いていた登山道も、20分ほど歩いたところで斜面を折り返しながら高度を上げていくように変わった。
右へ左へと折り返し、ゆっくりと戸谷峰へと近づいていく。
あまり見ることのできなかった眺望も、高さを得るほどに良くなっていき、遠くに王ヶ鼻が見えるようになっていった。
木々の茂った稜線の向こうに、木の無い丸い峰が見えているのは印象的だった。
ところどころで崩落の跡が見られ、木々が流れてガレ場のように石が露出している斜面も見られた。
登山道の序盤からその様子は見られ、九十九折りの登りに変わった辺りでは、広がるガレ場を横目に見ながら登っていくようなところもあった。
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きっとこれは崩落したあとに雨で洗われて石が現れたのだと思う
登山口から1時間ほど。
谷間を登る登山道から尾根上に出た。
長く続いてきた登りが、尾根に出たことで傾斜が緩まり、木々の向こうには三才山へと続く峰々が見えた。
それは、なかなかに遠いようで、眺める景色が直線距離のものだとしてもそれなりに遠く離れて見え、気持ちが下がるようだった。
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まだまだ先は高い
なだらかな登りは、ほんの僅かな間だけで、それを過ぎると細かな折り返しの急登になった。
岩が露出して段差が高いところもあり、それまでの落ち葉を踏んで登る雰囲気とは一変していた。
時間にして10分ほど。
僅かな岩場の登りではあったものの、雰囲気の変わりようと急登、左右を見れば深く落ちていく急斜面は緊張感もあった。
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ぐいぐい登る感じの急登が下がったテンションにはちょうど良い
岩場を過ぎると、一定した角度の斜面が広く続くような様子に変わった。
そのなかを登山道が九十九折りに続いていく。
大きな段差や角度の変化も無く、葉の落ちた木がまばらに生え、その下には落ち葉が積もっている。
折り返して登っていくうちに高く見えていた稜線が間近に見えてきた。
斜面をトラバースするように登り、登山口から1時間15分ほど。
ようやく稜線に出ることができた。
稜線付近では陽が当たりづらいのか雪が残り、それが冷えて固く凍っているところもあった。
固い雪を踏みしめながら、残っている足跡に沿って尾根を登っていく。
5分ほど登ったところで戸谷峰に到着した。
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着いてしまうと、あっという間な感じだった
戸谷峰
登山口から1時間19分、縦走最初の峰になる戸谷峰に到着した。
このコース上でもっとも眺望が楽しめる場所で、北アルプスが一望できる。
広くはない山頂の上で、木々に遮られていた眺めが一気に広がる。
そこまでの帳簿の無さが、かえって眺めの良さを際立たせるようにも感じられた。
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ココは良い。むしろココまでで良い。
西側に見える北アルプス。
麓には安曇野があり、その手前には四賀。
戸谷峰から東側を見ると、六人坊と三才山、美ヶ原へと通じる稜線。
美ヶ原の王ヶ鼻が見えた。
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四賀からも来てみたい気になる
戸谷峰から尾根伝いに北側へ。
一見して登山道が続いているようにも見える尾根の道。
六人坊へ通じる登山道ではなく、小さな祠が祀られているところへと通じている。
戸谷峰から5分ほどの祠で登山道は行き止まり、戸谷峰へと戻って改めて六人坊へと向かっていく。
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実は道を間違えて祠に来てしまった
戸谷峰から六人坊へ
戸谷峰からは急な斜面を下りていく。
まだ雪が残り、その下に埋まった登山道が滑りやすくなっていた。
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なかなかの急な下りだった
雪もあったし
山の斜面に陽の当たる右手側だけ雪が解け、左側には雪が残った状態で、その真ん中に登山道が続いていく。
木々の間から登山道の先に見えるのは、六人坊までの間に聳える峰々。
ひとつひとつは決して高いものではなく、数分で超えられる程度の峰が続く。
ただ連続すると、思いもよらないほどに大変で、太ももには疲労が溜まっていくばかりだった。
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登ったり下りたり
下り続けて鞍部に着くと鉄塔が建っていた。
その下を潜るようにして登山道が続いていく。
右側の斜面には本沢橋の登山口へと通じる登山道が分岐していた。
戸谷峰からのひとつめの峰を越え、再び鞍部へと下りていく。
まばらに生えた木々の間に登山道が伸びる。
北側の斜面にだけ雪が残っているようだった。
鞍部からふたつめの峰は頂上部にも雪が残り、足首ほどの雪を踏んだ。
六人坊との鞍部へと下りていくと、その斜面には雪の雰囲気も無く春山のような雰囲気。
ただ、その穏やかな雰囲気に反して、木々の間から見える六人坊は高く、本当にあれが六人坊かと疑いたくなるようだった。
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高いよ。。。六人坊
遠く高く見える六人坊。
うっすらと雪の残る斜面を登ると細い尾根を渡るように歩いていく。
尾根上はところによって雪が残っていたり、日影になっていたり。
左右の斜面は急峻で、木々が生えているために高度を感じることもないものの、どこまでも落ちていくような谷の深さ。
細尾根を過ぎると、いったん平坦でなだらかな尾根に変わる。
緩やかに下ったあと、六人坊へと取り付いた。
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気持ちとしてはもう帰りたい
10分ほどの登り坂。
けっして急登ではないものの、うっすらと残っている雪を踏みしめながら続いていく登りは、ここまでのアップダウンも重なって、なかなかに負荷の大きなものだった。
登り坂の先に、木々が切れて空が広く見えているのが見えてきた。
ようやく六人坊に着いたかと思えるような待望の空だった。
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着いたと思ったけど着いてない
ただ、そこまで登ってみると何もなく、尾根は続いていく。
細く左右は深い。
三角点の埋まった尾根上まで来ると、尾根の登り坂は平坦に変わった。
六人坊
三角点から廊下のような平らで長細い尾根を歩いていくと、ピンクのテープと積まれた石を見つけた。
松の木に括り付けられた六人坊のという寂れた文字。
登山口からは2時間33分、戸谷峰からは1時間10分ほどだった。
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着いた。
着いた?って何回思ったことか。。。
六人坊はここまでのコース上で2番目の高さ。
樹林帯に覆われて、特に見える物の無い景色だった。
東側の枝の隙間から、三才山らしき山影が見えた。
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三才山が目を疑うほどに低い
六人坊から三才山
六人坊をからは細尾根を緩やかに下っていく。
地形図を見ると高低差は小さく、ひとつの峰を越えて三才山へと続く。
尾根上には、まだら模様に雪が残る。
一度溶けて固まった雪の感触がサクサクと音を立てて、小さな登りと緩やかな下り。
その鞍部ともいえる平坦な場所から、三才山へ向かって登り返していく。
このあたりでの溶けかかって固まった雪は滑りやすく、雪の下に隠れた枝や石が見えず歩きづらい。
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もう太ももプルプル
三才山
不意にピークがあり、そこが三才山のようだった。
特に看板や標識が掛けられている様子も無く、ただ地形図や地図はそこを三才山と差していた。
登山口からの時間は2時間43分、六人坊からは10分ほどだった。
六人坊以上に見えるものもなく、ただピークのひとつを踏んだという印象。
ただここを目的地として戸谷峰からアップダウンを繰り返してきたという達成感はあった。
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アップダウンうんざり
三才山から下りる斜面は雪が多く残っていた。
木々は疎らに見え、左側の雁蟹は三才山トンネルへと入っていく車が見えた。
道路の向こうには鹿教湯温泉の建物が見え、正面には武石峠へと続く峰々。
周囲の様子を見渡しながら、7・8分ほど下りたところで、三才山峠へと到着した。
三才山から烏帽子岩へ
上田市の鹿教湯から続く三才山峠。
車が通れるほどの広さの林道が続き、この季節は冬季閉鎖中のために積雪がある。
登山道は美ヶ原ロングトレイルを辿るため尾根伝いに山の中へと続き、三才山から烏帽子岩へは林道を歩いて行く。
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締まった雪の林道が退屈で
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踏み跡とは歩幅が合わない
雪が積もり、深いところで足首以上にもなる。
トレースはあるものの歩幅が合わないと歩きにくく、固く締まった雪面を踏んで足跡を付けて歩くか、無理にでも歩幅を合わせて歩くかというところだった。
林道脇の木が疎らなところでは、行く先に烏帽子岩らしい大きな巨石が立ち上がっているのが見え、振り返るとこれまで歩いてきた戸谷峰や六人坊が見渡せた。
振り返った戸谷峰は思っていた以上に遠く見えた。
林道は眺望が得られる場所が少なく、足元の歩きづらさもあるせいか、とても退屈で我慢の時間になった。
固い感触の雪を踏み、まわりには葉の落ちた木々。
烏帽子岩までどれくらい歩くのかも掴めないまま。
三才山峠から40分ほど。
烏帽子岩への登山道を指す看板を見つけた。
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やっと
林道から外れて登山道を下っていく。
なだらかな斜面で、雪が積もった状態。
林道上よりも踏まれているような広い踏み跡になっていた。
5分ほど歩くと、登山口と烏帽子岩を差す標識が建っていた。
矢印が指すのは、どちらも同じ登山口へと向かっているようで、烏帽子岩を見るのか巻くのかというようなコース。
烏帽子岩を見るには、急登を登った上から見下ろす必要があり、ここまでの縦走の長さを思うと、烏帽子岩を見ずに巻きたくなる気持ちにもなった。
それでも、ここまで来て烏帽子岩を見ずに下りるのも、あまりに見どころを逃しすぎているようにも思え、ひとことふたことの文句も言いながら雪の急登を登る。
踏み跡の段差が大きく、しかも滑りやすいところもあり、急な角度の登り坂は歩きづらかった。
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この日に限っては急登が良かった
烏帽子岩
5分ほどで登り切ると、左側に赤い鳥居が見えた。
その方向へと歩いていくと、岩の上には祠があり、さらに先には烏帽子岩と書かれた石碑が建っていた。
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これはなかなか・・・
石碑の後ろにある岩に登ると、切り立った向こう側に烏帽子岩が立っているのが間近に見えた。
いくつもの巨石が積み重なって立ち上がっているように見える烏帽子岩。
その上にはロッククライミングのロープが残されていた。
烏帽子岩の後ろに見えるのは、美ヶ原の王ヶ鼻。
その斜面に見える木々の模様が印象的で、超自然的な烏帽子岩の存在感と相まって、とても見応えのある眺めだった。
烏帽子岩への眺めに見蕩れていたいところではあったものの、足元は切り立った岩の上。
一歩でも踏み出してしまえば、烏帽子岩との間にある谷間に落ちてしまいそうだった。
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ここで終了にしたい気分
烏帽子岩に背を向けて、街の方を見ると、松本と塩尻の境あたりを見ることができた。
風の強い日で、畑には土埃が大きく巻き上がっていた。
街の向こうには乗鞍岳。
霞んだ春らしい空で、はっきりとした景色を見ることはできなかった。
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まだ2月なのに、この春らしさは何だ
下山
烏帽子岩からの眺めを楽しんだあと、一ノ瀬登山口へ向かって登山道を下りる。
樹林帯を右へ左へと折り返しながら高度を低くしていく。
下りて行く途中、ところどころで登山道が分かれ、ピークを巻いて合流するという地点があった。
その度に、足を停めて方向を確かめ、歩き出すことの繰り返し。
日の当たり方によっては、雪が多く残っているところや、まったく雪が見られないところがあった。
斜面を横断するような踏み幅の狭いトラバースや、見晴らすことのできない樹林帯の中、なかなか見えてこない登山口まで体感時間が長く感じる下山路だった。
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眺望のない樹林帯の下りは退屈です
1時間ほど下りて、ようやく登山道から林道のような幅の広い道に出ることができ、そのまま下りて行くと川を渡って獣除けのゲートに着いた。
アスファルトの道路が見え、通行止めのロープを跨いだところで、車道に着いた。
ここから戸谷峰の登山口まで、500mほどの距離を登る。
登山道上に危険箇所はほとんど無かったものの、下山後の車道は交通量も多く、もっとも注意を払う核心部だった。
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ここの交通量は想定内