硫黄岳

2765m

好天と強風の硫黄岳

本沢温泉 2017年2月4日

硫黄岳 登山 (2月)|本沢温泉から最高の好天の中を登る
  1. 登山百景トップ
  2. 八ヶ岳
  3. 南八ヶ岳

南八ヶ岳の北端に位置する硫黄岳。
丸みを帯びた山体は、過去の爆裂火山のために東側が吹き飛び、深い岩崖になっている。
穏やかな山容と周辺の山々の高さからもあってか、実は2700mを越えている標高には意外さを感じる。
西側に位置する美濃戸からの北沢ルートや横岳からの縦走など、様々な登山道から登ることのできる山で、今回は夏沢峠を経由する本沢温泉の入口から登ることにした。

登り
源吉新道
下り
源吉新道
最高標高
2765m
登山口標高
1594m
距離
15.72km
累積標高
1249m
1249m
平均斜度
9.0度
時季
2017年2月
天気
晴れ
日程
日帰り
歩行ペース
登り3:37/下り2:03/合計5:40
平均の歩行速度
2.88km/h

この日のペース

  1. 本沢入口
  2. 本沢温泉(1:40)
  3. 夏沢峠(2:40)
  4. 硫黄岳(3:37)
  5. 夏沢峠
  6. 本沢温泉
  7. 本沢入口(5:40)

歩いたコース

Amazonや書店で買える地図

山と高原地図 八ヶ岳 蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰
山と高原地図 八ヶ岳 蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰
Amazonで見る

これ以上ないほどの好天で、雲ひとつなくどこまでも見渡せそうな空でした。北アルプスはもちろん上信越の山々まで。
冬季の強風で知られる硫黄岳でも、強い風が吹いていなかったと思います。山頂から見渡す南八ヶ岳は大迫力で、立ち並ぶ山々のアレもコレも登りたいと思いました。
本沢温泉からの登山道は距離が長く時間も掛かりますが、これだけ天気が良いと歩くには気持ち良く、山頂から降りるのも名残惜しい気持ちでした。

使った登山道具

持って行った水の量

本沢温泉への登山口から登る硫黄岳

八ヶ岳の東側、稲子湯から本沢温泉へと続く道へと入っていく。
一般道路に本沢温泉まで10キロという看板を見ながら深い轍の林道へと車を進める。
林道はアスファルト上に厚く氷が張り乾いた雪にタイヤが取られやすいために、冬季は積雪や凍結のため通行止めになり、もっとも本沢温泉に近いゲートまで車を進めることができない。

本沢温泉宿泊者には雪上車の送迎があるという林道を行けるところまで車を進め、源吉新道という標があるところから登山を開始した。
案内板と登山届けのポストが立つ林道を緩やかに登っていく。

無雪期は車が入るだけあって歩くには広く勾配も緩い。少し積もった新雪に足を取られやすいものの歩きやすい林道が続く。
木々に囲まれた林道を右へ左へと登り、入口から40分ほどで本沢温泉へのゲートに到着した。

ゲートから本沢温泉へは夏季で1時間15分。ゲートを避けて林道をさらに進んで行く。
枝の間からは東天狗が見える。
ゲートから30分ほど登ると尾根のように左右の枝の間から空が見えるようになり、八ヶ岳の稜線を撫でるように視線を移すと、うっすらと富士山も見えた。

少し歩くと目の前には大きく硫黄岳が現れた。
1000mを越える高低差があるせいか、とてつもなく高く聳えているようにも見え、火山でできた崖の険しさの迫力がすごい。
ちょうど中間地点にある斜面に掛けられた橋のような場所からは、さらに硫黄岳への眺望が良く、夏沢峠と硫黄岳を一望するような景色だった。

緩やかに登り下りを繰り返しながら標高を上げ、登山口から1時間40分ほどの時間を掛けて本沢温泉へ到着した。

本沢温泉

日本一の高所にある野天風呂としても有名な本沢温泉の標高は約2150m。
ここまで600mほどの高低差を緩やかに登ってきた。
入口にあるベンチを借りて休憩を取りながら、本沢温泉の佇まいを見る。
古びた落ち着く雰囲気は、高所という特長以上に泊まってみたいという興味をそそられる。

温泉の母屋から少し登ったところには野天風呂があり、ここから見上げる硫黄岳も見事で、一度は浸かってみたいという気持ちになる。
ただ登山道から見下ろすように見えるため、脱衣も含めて難易度は高め。

本沢温泉での雰囲気と野天風呂の見学を楽しんで、ふたたび登山道へと戻り夏沢峠を目指して登っていく。

この付近から雪の質が一層サラサラとした状態になり、先行した足跡も少なくなった。
踏み跡が消えるというほどでは無いものの、踝ほどは埋まり足元も滑りやすい。
九十九折りに登っていく状態で、積雪期らしく所々で登山道をショートカットした踏み跡が残っていた。

周辺の木々も、本沢温泉の入口では落葉松が多かったのに対して、この付近では緑の葉を付けた針葉樹が多くなり八ヶ岳らしい雰囲気に変わっていた。

夏沢峠

九十九折りの坂を登っていくこと1時間ほど。夏沢峠の小屋が見えた。
夏沢峠には山びこ荘とヒュッテ夏沢というふたつの小屋が隣接して建っている。冬季は営業をしていないので、小屋周辺の空いた場所を借りて装備を整えた。
樹林帯を登ってくる際の暑さを考えた服装から、硫黄岳の強い風を意識した服装と滑り止めの準備をここで。

夏沢峠の標高は2440mで高く見えていた硫黄岳までは300mほど。
すぐそこに山頂が見えるようで、ここからの勾配がキツい。

樹林帯を抜けると一気に眺望が広がった。
正面に硫黄岳を見ながら、振り返ると北アルプスや上信越の山々、妙高山までもくっきりと見えるようだった。
風は強く吹き付けてくるが、強風で知られる硫黄岳なので穏やかな方ではないか。
足元の石には雪が着いて小さなエビの尻尾のようになっている。
樹林帯のフカフカした雪とは違ってカチカチに凍った雪にアイゼンを差し込みながら硫黄岳を目指して登っていく。

どこを見ても眺めの良い天候で、少し登っては振り返りカメラに収め、また歩いては振り返るということを繰り返した。
特に雪の着いた北アルプスの稜線が印象的で、最北まで見えるような眺めはそこへ登らなければなららないと思えるほど。

硫黄岳山頂へと続いていく登山道はところどころで石が露出し、点在しているケルンにはエビの尻尾ができていた。
山頂方向を見上げたときに陽の光でキラキラに見える斜面がキレイで、先行して登っている人たちの背中が格好良く見えた。

左側には硫黄岳の爆裂火山のあとが大きな崖になり、右側には峰の松目、そこから見下ろすとオーレン小屋が見える。
夏沢峠で準備を整えた山びこ荘は遥か下に見える。

硫黄岳

登山を開始してから3時間37分。硫黄岳の山頂に到着した。

丸みを帯びた広い山頂で、目の前に開けた南八ヶ岳の眺望が素晴らしい。
間近に見える赤岳から横岳への山の斜面に雪が着き、荒々しい形状が強調されたように見える。

360度見渡せる景色はいつまでも見ていたいと思えるほど鮮明で、覚悟していた強風も比較的穏やかだった。
山頂近くにある小さな小屋の影に座り風を避けながら見る南八ヶ岳を見、山頂を歩き回りながら周辺の景色を楽しんだ。

下山

硫黄岳からの下山は、登りと同じ登山道をピストンで本沢温泉の入口へと戻る。
登りで苦労したフカフカの雪も、下りるとなると膝への衝撃も緩くなって歩きやすい。
下っていくペースを上げて1時間ほどで本沢温泉に到着し、そこから1時間ほど下って入口に到着した。

本沢温泉はやはり人気の高い場所のようで、登りでは見かけなかった人も、下りるときには大勢の人たちとすれ違った。

こちらから記事の感想をお送り下さい

下山後に立ち寄った温泉

稲子湯旅館

八ヶ岳の東側、稲子湯にある温泉旅館。日帰り温泉の入浴が可能で、入口で入湯料を払って建物内部の内湯に入ることができる。
二酸化炭素を多く含んだ泉質で、動脈硬化や高血圧などのほかに疲労回復に効果があるとされている。

とても雰囲気の良い旅館でした。入口で入湯料を払って建物の奥に進むと温泉があります。
浴室は内湯だけで、6人ほどが入ったらいっぱいになりそうな広さです。少し温度が高めに感じるお湯で掛け流しだそうです。
お湯が注ぎ込むところにコップもありました。
鉄のような温泉の香りがとても心地良く、八ヶ岳に登ったらここに立ち寄りたいと思うほどの満足でした。

お世話になった山小屋

本沢温泉

標高2000mを越える高所にある温泉地。通年営業で冬でも訪れることができる。標高2150mの露天風呂「雲上の湯」は、硫黄岳を見上げる登山道の真下にあり、爽やかな空気と眺望を楽しみながら入浴ができる。周辺は硫黄の香りが漂い、温泉を楽しみながらの宿泊が可能。施設の近くには幕営地も整備されている。

静かな雰囲気の落ち着いた佇まいでした。八ヶ岳の山頂を目指さなくても本沢温泉が目的地で良いのではないかと思うほど良いところでした。露天風呂は登山道から見えてしまいそうな場所にありますが、若干濁っているので注意すれば迷惑を掛けることも無いのかなと思います。車で入ることのできるゲートからも遠くはないので、ふだんあまり歩かない人でも訪れることができると思います。

硫黄岳・天狗岳・にゅう・北八ヶ岳・南八ヶ岳の登山記事

周辺の山

同じ時季に登った山