冬の唐松岳へ
例年のように積雪量が少ない冬の唐松岳。
昨年もそう多い年ではなかったところに、さらに輪を掛けて今年は雪が少ない。八方尾根スキー場の中でも北側にあるゴンドラアダム近くの駐車場に車を停め、チケットを買うためにまずは登山届けを記入。
兎平までの往復チケット代1780円だった。
朝早くに来たけれど、以外と楽にチケットが買えた
ゴンドラとリフトを乗り継ぐ
今回は駐車場も空きが多くあったせいかゴンドラに待つこともなく順調に上へ。
ゴンドラの次はリフトを乗り継いでさらに上へ。
アルペンリフトは往復600円、次のグラートリフトは560円と、都度購入するため頻繁に財布を出し入れする。
お会計は一度で全部を済ませたいのだけど、それはきっと何か理由があると思いたい
リフトからは白馬三山はもちろん、五竜岳や鹿島槍ヶ岳といった後立山の主要な山々への眺望も良い。
決して山に登らなくてもスキーとして訪れても景色が楽しめる場所というのが八方尾根の魅力。
標高1850mからのスタート
最上部のグラードリフトを下りると標高は1850m近くになる。
すでに森林限界を超え、八方池山荘の横から視界を遮る物の無い登山道が続く。
左右には雪を称え真っ白な白馬三山と五竜岳。
後立山らしいゴツゴツとした冬の山容が楽しめる。
リフトを下りたところから最高の景色
天候が良くても風が強いと登ることができないルートでもあるが、ここまで天候に恵まれるとこれ以上ないほどの景色を楽しみながら登ることができる。
積もった雪は固く締まっており、ところどころにフカフカとした場所はあっても全体的に雪が少ない印象だった。
八方池
登る先は雲ひとつない天候で、左右の山とのコントラストも最高。
振り返れば白馬村を覆うような雲海が広がり、こちらも見ていて飽きない景色だった。
天気予報通りなら雲海も時間が経つほどに晴れて長野県北部の山並みが見られるはず。
振り返ってばかり
30分
登り始めて30分と掛からないところで八方池を通過。
石神井ケルン、第2ケルンと目印にしやすいポイントを通り過ぎていく。
雪に覆われた八方池越しに白馬三山を眺め、視界に近づいてきた不帰の険を眺め、その南端にある唐松岳の尖った山頂を捉えながら先を目指す。
このへんから振り返った景色は見飽きてる
八方池から丸山ケルンへ
八方池からすぐにわずかな樹林帯を抜ける。
その樹林帯が終わるかどうかという辺りから、一気に勾配がキツく雪の急斜面が始まる。
急斜面の距離が長いわけではないが、雪の状態によっては足元が安定せずに登りづらいこともある坂道。
今回はしっかりした踏み跡のおかげで苦労することは無かったものの、過去には埋まる雪に苦労したことも。
初めての積雪期唐松岳はズボズボだった・・・
丸山ケルンへ
徐々に標高を上げ、見上げていた五竜岳も徐々に視界と同じ高さに変わってきた。
右手に見え続けている白馬三山も角度が代わり、白馬鑓ヶ岳に杓子岳が隠れていく。
先には丸みを帯びた雪の丘のようなものがいくつも見える。
そのたびに急な斜面を登り、緩斜面になって息を整えて次の急斜面に備えるという連続が続く。
再び疎らな樹林帯に入り、いったん下ったところから一気に斜面の角度が急に変わる。
だんだんと近づいてくる不帰の険の手前に見える丸い丘。
ケルンがポツンと見え、そこが唐松岳への最後のケルンになる。
丸山ケルンと書かれたそのケルンは、風が当たりやすい場所のせいか岩が露出してゴツゴツとした夏の様子が垣間見える。
この冬は雪が少ないとはいっても、ここまで地面が露出しているというのも春の近づきを感じる。
土が露出してるのだけど、これが当たり前なのかな?
唐松岳頂上山荘
丸山ケルンを過ぎると唐松岳へ向けて近づいていく。
徐々に登山道の幅は狭くなり、両側は高度感のある谷になっている。
雪質は固くアイゼンが刺さりやすく音が気持ちが良い。
足元から視界を移して景色を眺めると、岩壁に張りつく雪はアイスクリームのように見える。
登山道の先、唐松岳の手前に見える尖った高いピークがこのルートの核心部で、ここに至るまでの手前付近が最も狭く、そして急な斜面を繰り返す。
谷のように切れ落ちた急な斜面でもバックカントリーの滑った跡があることに驚く。
リフトを下りて2時間
登山口から2時間ほど。
ようやく急斜面を乗り越えて、唐松岳頂上山荘の真後ろにある高台に着いた。
それまで視界を遮っていた高い雪の丘。
登り切った瞬間に一気に景色が広がり、立山や剱岳といった富山側の北アルプスを一望する。
五竜岳はこれまで見えていたどの角度よりも深く大きく、その背後にある鹿島槍ヶ岳は双耳峰が鋭く尖っている。
右側に目を移すとこれから登る唐松岳。
富山湾が雲の下に見える。
唐松岳頂上山荘からいったん鞍部へと下り、唐松岳へと登り返す。
絶景が広がりテンションが上がる中、最後の登り坂は見た目の想像以上にキツく、その意外な印象に毎回覚悟を決めている。
すぐそこのハズがなかなか辿り着かず、山頂からの景色が待ち遠しく逸る気持ちに足が着いていかない。
唐松岳山頂
2時間17分
登山開始から2時間17分。
冬の唐松岳山頂に到着した。
とても雪が少なかったためか、雪質も固く歩きやすく夏のような行程時間だった。
早かった
唐松岳の頂上からは想像していたとおりの絶景で、五竜岳はもとより白馬岳、剱岳とその南北の山々。
北アルプス北部の山々を十分に堪能した。
多く見える山並みの中から「今年はどの山へ行こうか」と品定めをするのも楽しく、北アルプスに目を奪われていると振り返って見える信越の山々の存在も忘れてしまう。
唐松岳から見える高妻山や妙高山も素晴らしくキレイで、雪の白さは無くなってしまっていたものの、冬はなかなか姿が見られない山並みを楽しむことができた。
唐松岳からの下山
下山ルートは登りと同じ八方尾根へ。
登りでは苦労した急斜面も新雪も、下山では楽しいだけの登山道に変わる。
太陽の角度が変わったおかげか、登りで見えていた景色も違った雰囲気に見えた。
景色を楽しみ、雪を楽しみながらの下山で、八方池山荘からはリフトを使い麓へと下りた。