塩尻にある好展望の霧訪山
旧中山道と三州街道が重なる塩尻市。
その地点を見下ろすように聳える標高1300mあまりの霧訪山は、登山道の登りやすさと山頂部の眺望の良さとで親しまれている。
西には鉢盛山が大きく聳え、北へ伸びる北アルプス、西側には八ヶ岳と、南側には南アルプス。
すぐ眼下には小野宿が見える。
周辺の山との縦走など、複数の登山道や登山口が整備されている。
今回は主要な登山口の下西条から。
塩尻市街から山の神自然へ向かった。
わりと道が狭くて不便な感じ
狭い道路を山の神自然園へ向かうと、入口に砂利が敷かれた駐車場が作られていた。
傍らに置かれていたは簡易トイレを横目に、準備を整えて林道を登山口へ。
林道を15分
山の神自然園から登山口までは林道を15分ほど歩く。
林道の分岐もあり、知らなければ間違ったほうへ進みそうなところで、分かりやすく看板が建てられている。
小さな沢を渡り、駐車場と書かれた広いスペースを横目に進むと登山口に着いた。
ここまで車で来られるのか・・・
大きな看板が建つ登山口から。
いっぱいの緑の斜面はそれなりに角度のキツい登り坂で、右左に折り返しながら標高を上げていく。
登山口から10分
10分ほど登ると、角度のキツい斜面は尾根の登り坂に変わった。
落ち葉が降り積もっているせいか足元が柔らかく、登山道を横切るように木の根が張っていた。
その段差を階段のように踏みながら歩き、20分ほどが経ったころに鉄塔の下に出た。
霧訪山の北側には東西に大きな鉄塔が並ぶ。
標高は1000mを越えた。
この鉄塔が目印のひとつのようにも思う。
登山道が続く尾根も少しは角度が緩くなって歩きやすくなった。
いっぱいの緑の中は、とくに景色もなく同じ景色が続いて行く。
5分ほど歩いて平坦だった尾根がまた登りに差し掛かるころ、左右の斜面のなかに赤いヤマツツジを見つけた。
緑の中で鮮やかな赤い花は目立つ。
ツツジはよく見かけるとはいえ、期待をしていないときに不意に目に入ると、山を歩く楽しさが増すようにも感じる。
鉄塔から10分
鉄塔から10分ほど登ると、尾根の上に少しだけ木々が開けているところがあった。
光が射す方を見ると、塩尻の街が見える。
家々が経つのは松本との境あたりだろうか、奥に見えるのは三才山などが連なる美ヶ原からの峰。
ヤマツツジの花があちらこちらで見られるようになり、緑だらけだった登山道が少し華やかに見えるような気がした。
花がいっぱいなのは嬉しい
登山口から42分
尾根に沿って登山道を登り、登山口から42分ほど経ったころ、大芝山との分岐点に出た。
「ブナの別れ」といわれる分岐点で、霧訪山への山頂と大芝山、山の神との三叉路になる。
看板に「山の神自然園1時間20分」と書かれているのを見ると、早めのペースでここまで登ってくることができたようだった。
看板の矢印に従って右に山頂方向へと歩く。
するとすぐに男坂と女坂の分岐に出た。
迷うことなく男坂へ
ふたつの道の分岐は、迷うことなく男坂へ。
急斜面を直登する。
約50mほどの高低差、すぐそこに坂を登り切った到着点が見えるようで、なかなかに遠い。
息を切らせて登ると、女坂との合流地点で、ツツジがいっぱいに咲いていた。
山頂へ向かって穏やかな尾根道になり、左右に咲くツツジを見ながら登っていく。
行く先が明るく、山頂が近づいてきた雰囲気を感じると、到着は目と鼻の先。
登山口から52分
登山口から52分ほどでの霧訪山山頂だった。
着いた
霧訪山山頂
霧訪山の山頂は、噂に聞くとおりの眺望の良さ。
山頂標の前に立つと、南側へ続く伊那谷が目に入る。
その向こうには北岳と南アルプスの山々が連なる。
西側にはひときわ高く鉢盛山、その右側には穂高岳と、うすく槍ヶ岳、常念岳が見えた。
東側には塩尻峠と、その山々の中を縫う鉄塔が点々とし、八ヶ岳が霞んで見える。
登る時間を考えると、眺望を楽しむにはとても手軽だった。
山頂にはベンチと鐘が掛けられており、中心には麓の小野神社の境外社として會地社が祀られていた。
この山頂は気持ちが良い
下山
霧訪山からの下山は、えぼしを経由して山の神自然園へと下りる。
登りよりも1キロほど距離が長く、途中登り返しながら下りていく縦走路。
駒沢山や鳴雷山といった周囲の山へと向かうことができる。
山頂から下ってすぐに見える分岐があり、看板の矢印が指すほうへ従って、えぼしの方向へ。
急な下り坂に変わり、一気に標高を下げるように真っ直ぐに下りていく。
なかなか大変な下りがいきなり
登りでも楽しめたツツジは、この登山道でも多く見られる。
左右の斜面に咲き乱れているのが目に留まっては、木々の緑との色合いを楽しむ。
山頂から20分
登山道は細かくアップダウンが続き、花以外に楽しめる眺めもない。
山頂から20分ほど下りたところで、いよいよえぼしへの取り付きになった。
ここまでの細かな登り返しとは違って、40mほどを一気に登るなかなかの急登。
登ったえぼしの上では、大きな木が一本立ち、駒沢山との分岐を指す看板が建てられていた。
えぼしからは小沢峠へ向かって下りていく。
ここまでの登山道と変わらず、特に景色に変化もない。
途中、杉林の一帯を過ぎたほか、たまにヤマツツジが見られて朱色に目が向くぐらいで、そろそろ下りるのも終わって良いころと思えてきた。
ちょっと飽きてきた
えぼしから20分
えぼしから20分ほど下って、鉄塔の下を通過した。
そこから15分、ようやく小沢峠の分岐点に出る。
まっすぐに登り返すと久ノ井山、その稜線を繋いで鳴雷山やその先の床尾へ下りることができる。
小沢峠からの下りは10分ほど。
下りた先の林道は、登山口よりも少し上部に登ったところで、林道を20分ほど歩いて駐車場に戻った。