奥志賀高原から登る焼額山
丸池から発哺ブナ平へと向かい、一の瀬を過ぎて焼額山スキー場を過ぎていく。
リフトやホテルなどのスキー場関連施設が疎らになって、近くまで緑が迫り出してくるような林道が続く。
第2ゴンドラ第1ゴンドラと過ぎて、奥志賀高原ゴンドラを過ぎる。
秋山郷へと続く北信州もみじ若葉ラインの入口でスキー場センターハウス方向へ向かった。
スキー場だけあって駐車場は広い。
夏季整備中の車がいくつも見えるなかで、駐車場の片隅に車を停めて準備を整えた。
焼額山スキー場からすぐかと思ったら意外と遠かった
駐車場から見えるのはひたすらゲレンデ。
登山道らしいものもなく、ゲレンデを自由に登ったら良いのか、整備用の林道のような道を上ったら良いのか。
上に見えるリフト降り場はとても高く、山頂はその先だと思うと気が遠くなりそうなほど。
ひとまず林道に沿って歩くことに決め、ゲレンデの中の砂利道を上っていく。
綺麗に刈り払われたゲレンデは陽を遮るものはなく、街の気温で30度以上の陽射しが照りつける。
頭にジリジリの暑さを感じるばかりか視界が眩しい。
正面に見えるリフト乗り場までいったいどれだけの時間がかかるのだろうか。
あのリフトのところまで歩くと1時間くらい掛かるか???
振り返ると、いつの間にか駐車場が下の方に見える。
左側に見えるなだらかな稜線は裏岩菅山。
岩菅山は平らだな
ゲレンデの砂利道を進んで行くと、道は右にある森の中に吸い込まれていくよう。
左側に急斜面のゲレンデがあり、確実に山頂へ向かっていくのが分かる。
なだらかに林道を上りたいところではあるものの、このまま砂利道を歩いて森の中へと入ったら、違うゲレンデへと進んでしまう可能性もある。
登りながら、どっちに進むのが山頂へと確実に近づけるのだろうと考えながら、昔、スキーでやってきた記憶を呼び覚ます。
記憶の中では、そう広くはないはずのゲレンデ。
多少、左右に振られたところで、大きく遠回りすることもなく上へと登るはず。
ゲレンデの急斜面を横目に、林道の砂利道を進むことにした。
退屈そうな方を選んだ
林道は車一台が余裕を持って走れるほどの幅。
林間コースや、急斜面のコースの迂回路として楽しまれそうな雰囲気だった。
ただ今は陽射しの強い砂利道で、見えるものも少ない。
右へ左へと折り返して、それなりに急な登りが続いていく。
カーブの途中で、鳥甲山が見えていることに気が付いた。
鳥甲が近い!!
鳥甲山といえば長野県最北端の栄村にある名峰。
志賀高原もじゅうぶんに北側といえる位置ではあるものの、鳥甲山ほどは奥地ではないため、それが間近に見える景色に驚きもあった。
砂利道を15分
林間コースのような砂利道を15分ほど上ったところで、前方に空が大きく見えて景色が開けた。
先ほど回避した急斜面のゲレンデの途中に出た。
上にはリフトのワイヤが続き、まだ上があるのかという思いでゲレンデを見上げ、景色が開けた方を見るとスタートした場所が遠く見える。
その先にはなだらかな山頂部の又七山、その裏のような位置でわずかに苗場山が見えた。
山頂部にはまだ雪が残っているようだった。
裏岩菅山は視界と同じような高さに見える。
まだ登るのは分かってたけど飽きた
まだ上へと続く砂利の林道へ。
そろそろ飽きてきた気持ちを抑えつつ、きっともうすぐ終わるのだろうと。
砂利道が眩しい
駐車場から40分
ゲレンデの上に着いたのは、駐車場をスタートしてから40分ほど。
リフト降り場にはエキスパートコースと書かれていた。
どうりで見るからに急だと思いながら、ゲレンデ上部から見える鳥甲山や、先ほどよりも見えるようになった苗場山に目をやった。
焼額山の山頂はまだ先で、ゲレンデは上へと続いている。
リフトの近く敷かれたコンクリートの道を登っていく。
変化もなく、ただ暑い陽射しの中を登る。
コンクリートの照り返しが眩しい
ときどき鳥甲山や苗場山を振り返って、登ってきた達成感と山深さを堪能する。
ついさっきまで少なかった雲が、北の方から徐々に薄暗く広がってきているのが見え、明らかに雨が降り出しているような雰囲気に感じられた。
そうのんびりと登ることもできないように見えた。
山頂どこ?
リフト降り場が間近に見えたところで、ゲレンデが二手に分かれていた。
これはきっと焼額山スキー場からの連絡通路だろうと勝手に判断をしてそちらに進んでみたところ、どうもそれは違うようで。
ならリフト降り場へ行くのが山頂だと思い、少し戻ってみても、それは違っていたようで。
登り切ったところは、奥志賀高原ゴンドラとの合流地点だった。
山頂へ行くにはリフトを1本分登った先だというのが見えた。
山頂はまだだった・・・
このあたりは5月ぐらいが楽しいのかな?
ゴンドラ駅へ一段下りると、ゲレンデは湿地状態で花や植物が多く見えた。
その脇に木道が置かれ、植物を踏んだり泥濘に足を付けたりせずに済むようになっていた。
ゲレンデの端を迂回するように木道と階段が作られ、焼額山の山頂へ向かって登っていく。
ゲレンデトップのリフト降り場の上には木々が生い茂っている。
あの森の中を過ぎると山頂の湿原を見ることができる。
やっとここまで来た
暑いなか急斜面を登って、もう少しの所まで来たという高揚感を沸いてくる。
森の中へと入っていく木道の上を歩くと、1・2分ほどで稚児池の畔に出た。
出た
焼額山の山頂
標高2000mを越える焼額山の山頂に広がる稚児池湿原。
水捌けの良くない泥炭層の上に、雪解けと雨水が溜まって形作っている。
ワタスゲやイワカガミなどの高山植物が多く見られ、稚児池西側に広がる湿原の景色が楽しめる。
池の西側に小さな祠があり、東側には焼額山神社と書かれた鳥居の建つ祠が置かれていた。
しばらくうろうろと木道の上を歩き回って、ワタスゲやイワカガミを見て楽しむ。
どちらもまだ少し早いのか、ワタスゲはフワフワとした質感がなく、イワカガミはまだつぼみのようだった。
その茎の下で、モウセンゴケが粘液を光らせていて存在感があった。
期待していたワタスゲはいまいちだったけど・・・
登ってくる途中には雲があったものの陽射しが眩しく感じられた空は、雲が流れて池の上に吹き込んでくる。
青空を映すような水面を期待していたところは、思ったとおりの景色にはならなそうだった。
雲が水面を流れるって幻想的なんじゃないかと思って
下山
稚児池でワタスゲと湿原の景色を見たあと、池を周回して下りることにした。
対岸へ向かって木道を歩き、焼額山神社の鳥居を潜る。
下りてきた雲が水面を流れるように動き、とても幻想的に見えた。
雲はすぐに消えてしまったけれども
祠の前で少し足を停めて稚児池を眺めた。
ところが期待していたほど景色が長続きすることもないまま、すぐに雲が消えてしまった。
目を向けるほどの景色が無ければ長居をする気にもならないので、すぐに荷物を背負い直して奥志賀高原へ向かって木道を歩いた。
厚い樹林帯に囲まれた木道の上には、踏み潰してしまいそうなほどにハエがたくさん留まっていた。
たぶん・・ハエ踏んだ
ゲレンデまで戻ると、北側に見えていた雲はさらに厚く暗くなっていた。
夕方には雨が降るのかもしれない。
登りで暑さにウンザリしていた舗装路は、下りでは今にも太ももがプルプルしそうなほど。
やはり傾斜がキツかったのか、体重に耐えられる四頭筋ができていないのか、下っていく体を支えられる力がなかった。
なんとかスタート地点が見えるところまでゲレンデを下りて、登りと同じ林道を下りるか、このままゲレンデを下りていくかという選択になった。
林道は眺望もない折り返しの砂利道。
ゲレンデはエキスパートコースと呼ばれるほどの傾斜角。
後で平均斜度23度、最大で30度だと知った。
急なゲレンデを下りてみる!
向かう先が見えている安心感と、これくらいなら歩くことができるという気持ちとで、エキスパートコースを下りてみることにした。
雲が多くなってきたものの、なかなかに眺めが良い。
とはいえ、なかなか下りが捗らず体感時間が長い。
砂利道に戻るのが待ち遠しい。
ようやくに下りてきたあとも、まだ駐車場までは砂利道を下りる必要があり、さすがに飽きたという気持ちが強かった。