6月の苗場山へ
長野県の北端にある栄村秋山郷。
苗場山と鳥甲山に挟まれた谷あいのエリアで、紅葉などの季節を感じる絶景を楽しむことができる。
小赤沢という秋山郷の中でも、比較的、賑やかな集落から苗場山の登山口へ向かうことができる。
道路の傍らに建てられた苗場山登山口への看板をアテに、細い上り坂を進んで行く。
だんだんと山深くなっていく林道を進み、途中、苗場山の1合目を過ぎていく。
さらに10分ほど、道路に合わせてクネクネと上った先に、上野原と3合目登山口との分岐があった。
秋山郷までなかなか道が狭くて・・・
小赤沢の駐車場は100台ほどが停められる広さ。
入口にはトイレがあり、百名山らしい便利さが感じられた。
午前11時
比較的、登山口に近い場所に車を停めて準備を整える。
すでに太陽が高く昇った午前11時。
予報では午前中に雲が多くなり、3時ごろから夕方に掛けて雲が増えるようだった。
絶好の登山時間は9時から正午、登山口の時点でその予定時間を大きく過ぎてしまっていた。
出遅れました。
いろいろあって。。。
三合目からの樹林帯
小赤沢の登山口から入ると、すぐに三合目という看板が建っている。
登山道は広く木の根がビッシリと生え渡っていた。
その段差を階段のように踏んでいく。
まわりには背の高いブナや杉が茂り、一面が緑に覆われているようだった。
20分を過ぎ
緩斜面と急斜面とを繰り返しながら、20分を過ぎて4合目に差し掛かった。
4合目から5合目に向けての距離と予定時間が書かれ、それを目安にして先へと向かう。
足元にはイワカガミなどの花もあり、乱れ咲くような派手さはないものの、足を向ける段差の上に咲いている様子を見るのが楽しみだった。
意外と花がある
樹林帯に覆われた登山道は単調で、前に見える高い峰はなかなか近づかず、急斜面と緩斜面が繰り返されるばかり。
序盤で多く見えた花も、だんだんと減ってきたのか目につかなくなり、時間的にも花を探す余裕もない。
ただ陽が高くなった蒸し暑さが辛い。
暑い
5合目が近づいてくると、場所によって巨石が登山道を覆うようになっていた。
遠く見えていたピークも直下に近づいた印象がある。
緩斜面と急斜面が交互にやってきていたのも、急斜面ばかりが続く印象で、一気に標高を上げていく。
笹藪の中には残雪も見え始め、場所によっては沢に渡るように溜まった雪を踏むところもあった。
暑い
五合目を過ぎて20分
五合目を過ぎて20分ほど、右側に高く見えていたピークへ、斜面をトラバースするような登山道に変わり、振り返ると周囲の眺望が楽しめる。
急斜面に巨石が多く転がるようなところも多く、鎖が掛けられている場所も続くようになってきた。
段差が大きく足を掛ける場所が多いため、難しさは感じられないものの、浮き石や躓きでの転倒にも注意をしたいところで、ましてや陽射しが強く蒸し暑さの中で注意が欠けることにも気をつけた。
暑い
急登に巨石の段差が続く中、7合目まで登ってきた。
樹林帯に覆われていた序盤と比べて空が開け明るい。
待ちに待った山頂湿原が近づいてきたという雰囲気が感じられる。
鎖場の段差が面倒くさい
だた7合目から8合目には、なかなかに辿り着かない。
木々が開けている分だけ陽射しが強く、高い段差の鎖場が続く。
周囲を多う笹の中、登山道に沿って登ってゆくと、今回の登山道のなかで最も長い雪渓に出た。
長さにして20mほどで、その距離も角度も難しさを感じるほどではないものの、完全な夏装備に溶けかかった柔らかな雪面。
不慣れで足を取られようものなら、下にある笹林に向かって速度を上げてゆきそうな思いもよぎる。
ロープが張られているものの、こういった場所のロープはあまり頼りにならず、ましてや握りづらい太さで、咄嗟に体を留めるには心許ない。
つま先を差し込み、踏み込むと崩れる雪面に足を置いて登っていく。
ずるずるの雪渓は滑りやすくて
雪渓を過ぎると、じきに8合目を過ぎた。
石の多い登山道は変わらず。
登っていくと周囲に笹が広がり、その向こうに雪が見えた。
空が広く、見るからに山頂湿原に近づいたという眺めだった。
あの高さまで登れば、景色だけを楽しみながら歩くことができる。
左側には、山頂と思われる高さのピークが見えていた。
8合目からが早かった
ついに・・・!
苗場山の山頂湿原を歩く
八合目から5分
8合目から5分ほどで山頂湿原に出た。
登りから湿原への取り付きは、石畳のように石が並べられ、その先に木道が整備されている。
湿原の北西端に出た形で、湿原をかすめながら北端の山頂へと向かっていく。
木道を振り返るようにして西側を見ると、間近にピークがあり、その左側に鳥甲山が見える。
さらに南側には湿原の南端にあたる大岩山、栄村最高峰の佐武流山。
特徴的な峰々が連なる景色が広がる中、あまりの峰の多さに、山座同定ができるのは主だった山ぐらいだった。
見える山が多すぎる
木道に沿って大きく曲がりながら湿原を歩いていく。
地塘が点在し、真っ青な水面が空を映すようでキレイだった。
その向こうには霞んだ雲が広がる。
快晴ではなかったことが、かえって雰囲気の良い空を見せてくれるようだった。
地塘のピカピカした色がヤバい
木道の登りはなだらかで、僅かな段差を越えて、ゆっくりと標高を上げていく。
9合目付近は雪が残り、ここから樹林帯の中へと入っていく。
笹が茂り、深い緑の中で、段差と水たまりを越えながら、平坦な森を歩いてゆく。
10分と経たずにふたたび木道に戻ると、すぐに湿原の景色が広がった。
九合目の手前
9合目の手前では見えていなかった三国山脈の山々。
雲が多く、広がる山々の全てを見渡すことはできなかったものの、その広さが感じられる。
赤倉山への縦走路の分岐を過ぎると木道をなだらかに登った。
左側には小高い丘のようなピークが見え、その斜面には進行を感じさせる石碑がいくつも置かれている。
右側はなだらかに下って、湿原を見渡すような景色が広がる。
以前ほど、とてつもなく広大だという印象が感じられなかったのが正直なところ
木道はすぐに残雪の上を歩くように変わった。
溶けかかって柔らかな雪面は、蹴り込むことができずに歩きづらい。
広がる景色は美しく楽しむことができるものの、進んで行く山頂の方向には雲が多く、空が曇り始めていた。
その眺めが歩みを重くするようで、なかなかに残雪が終わらない。
ようやく木道が見えて残雪が終わると、山小屋が間近に見えた。
周囲には残雪の上を歩き回る登山者もいる。
あれは良いのかな?
大きなお世話か・・・
雪の上だから、ということもあるのだとは思うものの、薄くなった雪の上で湿原に足跡を付けてしまうことも考えると、木道を外れることはあまり褒められたことではないのだろうと思いながら、確かなことも分からないため、その様子を景色のように思いながら山頂へと向かった。
なんだかね。
よく分からないから文句も言わない。
木道を歩いて役行者の石碑を過ぎると山小屋はすぐだった。
外のベンチに腰を掛けているひとが数人。
小屋の中は宿泊者がマスクを付けて入ることができるようだった。
ここまでで登山口から1時間53分。
山頂はすぐそこで、建てられていた矢印に沿って、山頂へと向かった。
バッジとか手ぬぐいとか見たかったけれど、財布を持っていなかったから・・・
マスクは持っていた。
苗場山山頂
小赤沢から1時間55分
登山口から1時間55分、苗場山の山頂に着いた。
山頂周辺は木々が生えているために眺望が無く、祓川方面の木道が僅かに見える程度。
特に見るものもなく、山頂部の傍らにある伊米神社の祠の前へと移動した。
そこにあったベンチに腰を掛けてひと息。
登山口の小赤沢へと登山道を戻った。
山頂には見たい景色が無かった
きっと廃道は9合目の方から入るのだろうな
通行止めだけど
小赤沢への下山
山頂部から小屋の前を通り過ぎて、木道を下りていく。
登りとは違った角度で見える湿原も良かった。
ただ予報通りに雲が広がりはじめていたために、そうノンビリとした気持ちではいられず、下山路を歩きながら湿原の雰囲気を楽しんだ。
雨が来ないうちに・・・
降る予報ではないけれど
鎖場の下りは登りの方が気持ちが楽で、下りになると高い段差を見下ろすようで転倒しないようにと気持ちが引き締まる。
7合目の鎖場が連続する付近を下りていくと、だんだんと樹林帯の新緑が近づいてくる。
登りでは暑くて大変だったのが、時間が経って曇ったおかげで、だいぶ爽やかに感じられた。
陽射しが無くなったからか涼しい気がする
5合目あたりまで下りると、緩斜面が多くなり、木の根の段差を踏みながら、緩斜面と急斜面を繰り返す。
そういえば花があったと、山頂の湿原では忘れていた景色を思い出しながら、登山口へと戻った。
赤いヘビがいたのだけど、あれなんだろうか。
ジムグリ?