初狩駅から登る高川山
JR中央線に乗って初狩駅で下りる。
南北を山に囲まれた谷あいの街といった印象で山の木々が近い。
電車と車が走る以外に聞こえる音も無さそうな静かな場所で、駅の前には登山口を示す看板が建てられていた。
その矢印の方を見ると、意外なほど低く見える稜線と、削られた山肌。
あれが高川山か?と想像を膨らませながら、矢印に沿ってアスファルトの道を歩いて線路の下を潜る。
高川山って近いというか低く見える
駅の周りには古くから建っているような趣のある住宅が多く、寺院の石段を見上げながら高川山登山口の矢印に沿って歩く。
だんだんと木々が厚く茂っている林道へと入っていき、どこからが登山口なのか分からない雰囲気になった。
もしかしてもう登山道??
どこからかアスファルトの道路は未舗装に変わり、駅から20分ほど歩いた所で駐車場のような広い場所に着いた。
簡易トイレらしいものと、カウンターが置かれていた。
いちおうココを登山口だろうと決め、高川山へ向かっていく。
数分、緩やかに登った後、沢の横に登山道を示す標が建てられていた。
なだらかな沢コースと、男坂・女坂といった急斜面を登るコースとの分岐。
今回は高低差と距離が短いこともあり、男坂を登ることにした。
せっかくだから登り堪えを求めたい
厚い木々に囲まれた薄暗い登山道。
登り坂はなだらかで、緩やかに折れ曲がっている。
左側の間近には、重機が通ることのできそうなほどに木々が開かれ、山肌が削られているのが見えた。
そういえば大きな機械が動いている音も聞こえる。
掘っている山といえば武甲山を連想する
登山道の左側にはネットが張られ、登っていくと、これが掘削現場の安全確保のためだと分かった。
まだ男坂にも差し掛かっていないのに、九十九折りの急斜面に変わり、ネット側には重機が動いているのが見える。
駅から見えていた削られた斜面はココのようだった。
登山口から18分
登山口から18分ほどで男坂と女坂の分岐に着いた。
ネットに沿ってきた登りもじゅうぶんに急坂で、ここが男坂か?と思っていたところでの分岐は意外だった。
登山道に沿って急斜面をトラバースして、掘削工事に背を向けて進む。
このあたりから落ち葉が多くて登山道を埋め尽くすようだった。
高川山へ来たのは、遅くなりながらも紅葉を期待していたこともあり、最盛期とは呼べなくても赤い葉を見上げることを楽しみにしていた。
ただすっかりシーズンを逃してしまったようで、見上げるよりも足元に落ちた葉を踏みしめるほうが多くなっていた。
鮮やかさが無くなった枯葉でも、赤茶色が広がった登山道は目を惹くものがあり、これはこれで美しい秋の山だった。
紅葉目当てだったけど、落ち葉の橙色もキレイだと思う
葉が落ちた枝の隙間から、初狩の街並みと、間近にある山が見える。
どこの山も紅葉らしい景色は残らずにすっかり葉を落としていた。
足元に落ちた枯葉も、陽が当たると橙色が強く、鮮やかさを落とした中にも華やかさがあるような楽しさがあった。
枝に残っている葉っぱも一枚ずつの存在感が増している気がする
落ち葉の斜面を右左へ折り返して登っていると、上に大きな岩が見えた。
その岩を左に巻くようにして登山道が続いている。
ここが男坂の男らしい所で、高い段差と岩の固い足元、ロープが架けられた急勾配だった。
それも僅かな距離と高さではあるものの、ここまで穏やかに登ってきたこともあり、急な雰囲気の変化には驚いた。
これが男坂か!
岩の段差を登り10mほど高くなったところからは、東側にある高い山が見える。
そろそろ富士山が見えるころか?と思い、景色が開ける方向を眺めてみるものの、真っ白な空には富士山の存在感もなく、今回は諦めるしかないように思えた。
すぐに女坂との合流地点になり、分岐から20分ほどの男坂だった。
合流地点の少し上に、荷物を置いて腰を下ろすのにちょうど良い程度の広さがあり、そこで足を止めて登ってきた登山道を振り返る。
すると見えないと諦めていた富士山がうっすらと見えた。
どうやら先ほど眺めていたのは見当違いの方向で、慣れない山で方向音痴になっているようだった。
今日は富士山ムリだったなって思っていたのに良かった
男坂と女坂の分岐から続く急勾配は、合流してからすぐになだらかに変わった。
掘削工事の上部になったようで、左手の谷側にはネットが張られている。
初狩駅と高川山を指した標識を過ぎると、いったん下って笹の中を上り返す。
なだらかで山頂のような雰囲気も間近に感じるような眺め。
あともう少し登れば山頂に着くと分かりながらも、いったん下って休ませた太股が重い。
最後の登りは緩やかだけど我慢の登りだった
高川山 山頂
登り始めて49分
登り始めて49分ほどで高川山の山頂に到着した。
木々に囲まれた高川山の、山頂部だけは景色が開け、南側の都留市や富士山に向かって眺望が広がる。
まずは何よりも富士山を眺めた。
石の上に乗り、視線の下にある木々が視界に入らないように少し高い場所から眺めてみる。
絶好の青空とはいかず、雲が白く広がる空でも富士山の存在感は大きかった。
噂に違わない眺めで満足
東側には秩父の山々が高く聳え、その稜線には雲がかかっていた。
富士山以外の方向は木の枝が張っているために眺望を楽しむことができず、富士山の景色に飽きたころ、高川山を下りることにした。
ちょっと呆気なかったけど・・
下山
下山は初狩とは反対の方角にある田野倉駅の方向の古宿登山口へ。
山頂をからの急な段差を下りると、右側の眼下にリニアの線路が見えた。
山体を貫通して、わずかに見える線路。
走り抜ける音を聞いたときに視線を向けても、もう車体が過ぎてしまっているのには驚いた。
大きな音がしたと思ったら、どこにいるのかも分からないうちに静かになる
山頂を下りてすぐに大月方面へと下りる分岐になった。
田野倉駅へ下りるには右の斜面を下りていく。
落葉樹に覆われた九十九折りの下りで、足元がとても滑りやすい。
うかつに体重を掛けると、肩足が滑り出して尻餅を突そうなほど。
落ち葉が滑る
下り続けて杉林に入り、それを抜けると勾配は緩くなった。
大きな石が転がる涸れ沢があり、それに沿ってなだらかな斜面を下りていく。
途中で分岐が一つ、左が田野倉駅の最寄りになる中谷、右は禾生駅方面へと続く古宿。
ここはいかにも下りていきそうな古宿へ。
登山道はだんだんと林道のような広さの道に変わり、分岐から25分ほどで民家の横に出た。
傍らには車が停められそうな空き地があり、はっきりとした立て看板などは無いものの、おそらく登山口なのだろう。
野鳥の声がたくさん聞こえてジョウビタキが見えた
ここから富士急行の駅に向かって舗装路を下りていく。
JR初狩駅から高川山へ登り、下りは反対側の富士急行の駅方面へ。
下りの方が時間の掛かる行程だった。
駅まで遠かった