荒倉山の最高地点 砂鉢山へ
荒倉山へは長野市戸隠にある荒倉キャンプ場へと向かう。
長野市街にある善光寺の門前から国道406号を白馬・奥裾花方面へ。
祖山郵便局前の分岐を戸隠栃原へと向かい、集落の狭い道路を縫って荒倉キャンプ場へ。
荒倉キャンプ場から、林道のような急カーブの続く狭い車道を登っていく。
車道をショートカットするように登山道が横切り、道路はくねくねと曲がりくねりながら上へ。
キャンプ場から10分ほど登ったところに龍虎隧道がある。
龍虎隧道の横には5台ほどが停められる空き地になっていた。
見上げるとそう高くも無い位置に尾根が見えるものの、そこまでは九十九折りの急斜面が続いている。
準備を整えて登山道へと入ると、すぐに紅葉伝説の岩屋への分岐点にさしかかった。
岩屋は登山道を真っ直ぐ、荒倉山は右へと登る。
右へ折れ、左へ折れ、距離を長く歩いていないうちに車は下にかなり見えた。
5分ほど歩いて尾根上に出ると、霧見岳縦走路の看板が見えた。
右にはキャンプ場から続く登山道、左が山頂へと続く尾根の道だった。
キャンプ場からの登山道は見るからに狭く険しい雰囲気で、とても下から登りたいとは思えない状態。
掛けられた矢印の方向も、これから向かうとはいえ急な登り坂で、見るからに先が思いやられそうだった。
安堵ヶ峰
尾根上に出てから迎えた急登は、岩が露出し、その上に落ち葉が降り積もった状態だった。
丸味を帯びた尾根の急登で、葉の落ちた木々の間からピークが見える。
安堵ヶ峰と呼ばれるこのピークは、鬼女紅葉を退治したあと平維茂が勝ち鬨を上げたといわれている場所。
飯縄山や長野市街を見渡せるというものの、いきなりの急登と狭い尾根でその余裕も無く、早々に安堵ヶ峰を過ぎていく。
ピークは、まるで三角錐そのものといった様子で広さがなく、すぐに急な坂を下りる。
右側は切れ落ちた崖で、高さ10mはあろうかという真下に急斜面が谷になって落ちていく。
木が茂っているために高さを感じることはないものの、落ちれば戻ってくることが簡単ではない以上に、ただごとでは済まない雰囲気が感じられる。
知ってはいたけれど、いきなり狭かった
霧見岳
安堵ヶ峰を越え、急な斜面を下りると右側に戸隠連峰が見え始める。
木々の間から覗き見るような眺望で、葉のある季節では見ることができないだろう景色に、落葉の季節に登った良さを感じた。
この角度で見る高妻山や戸隠連峰南部の西岳への距離感は貴重で、他の山からは得ることができない。
落ち葉が積もった中、丸く狭い尾根を下りては登り返す。
尾根の右側は高く落ちた崖、左側は急な斜面と、どちらも迷い込むことのできない状態で、木々を縫うように落ち葉が続いているのが道標のようだった。
ここも知ってはいたけれど、ちょっと急すぎやしないか・・・
木々の影に一際高い峰が見え、鞍部から崖のように急な登り坂が続いていた。
このルート上で唯一の鎖場で、滑りやすい落ち葉と土の急斜面。
木の根が張っているため、足の置き場所や、手がかりには苦労がないものの、戸隠特有の脆さや急斜面の高度感が不安にさせる。
鎖場を登り切ると平坦な細尾根が続き、その先に小さな石仏が置かれていた。
登山道を示す木の標には、エンピツで「霧見岳」と書かれていた。
ここが中継地点の霧見岳とばかりの標で、それと相まって木々が開けて戸隠連峰が一望できる。
一夜山から北方へと続く険しい稜線は、北端の乙妻山まで見通すことができた。
この角度からか、さらに北にある妙高山は高妻山とそっくりな山容に見えた。
とっても眺めが良くて満足度が高い
霧見岳と書かれた標をあとにして下る。
落ち葉の中を登り返して広い峰の上に立つと、霧見岳と書かれた看板が朽ちていた。
え・・・
どうやらここが本当の霧見岳らしい。
登山口からは37分ほど。
これまでの登山道上と同じように眺望は無く、さきほどのエンピツで書かれた場所がいかにも霧見岳山頂のようにも思えた。
霧見岳を後にすると、遠くに高い峰が見えた。
尾根は右へ巻くように続き、急な斜面が下りている。
これまで以上に狭い尾根と高さを感じる急斜面を見下ろす。
尾根から急斜面をトラバースし、大きな岩の真下を登って前岳との分岐を砂鉢山方向へと進む。
登り切ると狭い岩尾根があり、下りて登り返す。
霧見岳から見えた高い峰へと近づくと尾根はますます狭くなり、左右には高度感のある急斜面が下へと落ちている。
狭い尾根を渡るように通過して、何度目かの登り返しで峰の上に着くと、砂鉢山と書かれた木が建てられていた。
霧見岳から砂鉢山って意外と遠く見えた
きっとこの辺が核心部なんだろうな
荒倉山最高地点 砂鉢山
登山開始から1時間7分ほどでの到着だった。
山頂には小さな祠がひとつと、腰を下ろしやすい切り株がいくつか置かれていた。
事前の情報で知ってはいたものの、樹木が茂っているために眺望は遮られ、比較的に木が少ないところでも背の高い枯れ草が残り、十分な視界ではなかった。
それでも飯縄山や戸隠連峰といった近隣の山々、白馬岳北方の山、後立山から南へと続く稜線を見渡すことができた。
何も見えないと思っていたから、これくらいでも大満足の眺望だった
下山
砂鉢山からの下山は、登ってきた登山道をピストンで戻る。
高く狭い尾根は逆向きでは登りでは感じなかった高度が感じられたり、気を遣ったところが難なく通れたりと、まったく趣が違って感じられた。
アップダウンの多いルートは、登りのペースとさほど変わらず、登山口付近の岩屋分岐まで50分ほど掛けて下りた。
鬼女紅葉の岩屋
登山口をすぐ真下に見たところで、鬼女紅葉の岩屋へと立ち寄った。
分岐から2分ほど進んだところにある岩窟で、紅葉が隠れ住んだ場所されている。
広い方の窪みは、中に小さな祠と奉納の木杭が何本も立てられ、小さい方の窪みは暗く深く、物音ひとつせず薄暗く特殊な雰囲気だった。
岩からさらに先には、紅葉稲荷が祀られる奥の岩屋がある。
赤い鳥居をふたつ潜り岩の横を進むと急斜面を横切るように登山道が続いていた。
斜面が急なところには木段が設けられ、岩に鉄杭が打ち込まれた上に丸太で階段が作られているところもあった。
階段の先には落ち葉の積もった急斜面が続き、太いロープが架けられていた。
つい先ほど通ってきた尾根へ近づいていくようで、登山道へ戻るんじゃないかと思えるほど。
なかなかに不気味というか一人では来ないだろうな
紅葉の岩屋からは10分ほど。
ロープに沿っていくと尾根の下にある大きな岩の窪みに、ハシゴが掛けられているのが見えた。
脆く崩れやすい土と岩の急斜面で、真っ暗な窪みに向かってハシゴが続く。
ハシゴを登って窪みを覗くと小さな鳥居と祠が祀られ、そこには紅葉稲荷大明神と書かれていた。
奥の岩屋から見上げると、すぐそこに見える尾根へ戻れそうな雰囲気でもあった。
ちょっとこの辺、急斜面過ぎやしないか・・・
奥の岩屋から来た道を戻り、紅葉の岩屋から登山口へと戻る。
落ち葉で滑りやすく、アップダウンの多い登山道ではあったものの比較的歩きやすく、秋が楽しみな登山道だった。