川上村から登る初冬の金峰山

金峰山

2599m

廻り目平 2023年11月19日

金峰山 (11月)|川上村から登る
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この記事は「山岳遭難対策制度ココヘリ」のPRを含みます。

金峰山は日本百名山に数えられる2599mの山。
長野県川上村と山梨県甲府市の境に位置し、山頂からは富士山や八ヶ岳をはじめとして多くの山々が見渡すことができる。
奥秩父山塊の西側、主脈に位置しているため、西側へ大弛峠を経由しての甲武信ヶ岳への縦走も可能で、遠く雲取山や奥多摩までのロングトレイルもできる。

ここのところ一度登った山を違うコースから登りたいという気持ちが強くなり、その中で金峰山も「また登りたい」と思う山のひとつになった。

9年振りの金峰山。
この時間の中で登りたいと思ったことは何度かあったものの、天候や都合が合わないこともあり機会に恵まれずにいた。
なかなか登ることができないまま他に登りたい山へ気持ちが向かい、あっちこっちと金峰山を後回しにして、ますます登る機会はこないまま。
一ヶ月前に登った山で、現時点での体力と筋力を知り、そこから時間を置いた自分の体力や筋力を考えて登りやすい山はどこだろうと考えたときに、金峰山へ行こうという思い浮かんだ。
高低差や距離で負担が無く、景色が楽しめて安心感の持てる山が金峰山だった。

歩いたコース

登り
廻り目平
下り
廻り目平
最高標高
2599m
登山口標高
1578m
距離
11.77km
累積標高
1051m
1051m
平均斜度
9.93度
時季
2023年11月
天気
晴れ
日程
日帰り
歩いた時間
登り2:32/下り1:59/合計4:01
平均した歩行速度
2.93km/h

この日のペース

  1. 廻り目平キャンプ場
  2. 八丁平分岐(0:49)
  3. 中間地点(1:24)
  4. 金峰小屋(2:11)
  5. 金峰山(2:32)
  6. 金峰小屋(2:45)
  7. 廻り目平キャンプ場(4:01)

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山と高原地図 金峰山・甲武信
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金峰山は山頂からの360度の眺望と、登っている道中に見られる巨岩が魅力的な山です。
山頂部にある五丈岩はとても有名ですが、山の中腹にも巨岩があり樹林帯の中からチラリと見られるのも楽しみです。
今回は廻り目平から登ったということもあり、序盤に歩く林道の横を流れる西股沢も綺麗でした。

雪の金峰山へ登る

標高2599m、山梨県と長野県に位置する金峰山はなだらかな山容ながらも、山頂近くにある五丈岩の特徴的な存在感から、近隣の山々からも見つけやすい。
その見つけやすさは親しみを感じられるからか信仰の対象になっていた歴史があり、山梨県側の金桜神社の本宮が祀られ、長野県側には金峰山神社と修験者の宿坊跡もあるという。

釜無川の源流を南側の斜面に持ち、千曲川の支流金峰山川が流れる。
長野県川上村の登山口からこの金峰山川の源流のひとつ西股川を沿った登山道が続く。

今回の金峰山はココヘリを持って登ることにした。
登山で遭難したときに、ヘリコプターや救助活動の費用が多額になり、本人だけではなく身近な人たちにも大きな負担を掛けてしまう。
その補填をしてくれるサービスで、会員証(発信機)を持ち歩くと常に現在地を発信して、もしもの場合には救助活動の助けになる。

以前から費用補填のサービスには入会していたものの、山へ向かう気軽さを持つためには、より安心感が必要だろうと思い、ココヘリを持ってみることにした。

金峰山登山

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だからといってゴリゴリに推すわけではないのだけれど、自分の身近な人たちが安心できる対策の1つとして持つのはいいと思います。
命知らずの冒険も、万が一の時には自分以外の人が迷惑を受けるので・・・

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迅速・確実に位置を特定することができる手段で、年会費5,000円、年間550万円まで捜索・救助を実施してくれます。
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朝早い川上村

朝が遅く仄暗い廻り目平に着いた。
キャンプ場だけあってテントがいくつかあり、火を焚いているひとも見られた。
広い駐車場には車は20台ほど。
ここではキャンプを楽しむほかに、金峰山への登山、小川山でのクライミング、釣りが楽しめる。
準備を整えながら見ていると、この時間から山へ向かうのは1組か2組か。

キャンプ場の中で登山口らしい場所はどこかと周りを見回し、駐車場の近くに建っている看板を見て、金峰山の方向を確認した。

金峰山登山

間違って小川山へ行ってしまったら・・・と思ったので・・・

キャンプ場の入口から川に沿って奥へと進んでいく道を見つけた。
川沿いにテントサイトがあり、その林道を上っていくと林道の終点がある。
登山口らしい雰囲気も無く、どこから登ったことにしようかと思いながら、ひとまずトイレの横で改めて準備を整えてスタートすることにした。

金峰山登山

山行記のブログだから、スタート地点は明確にしておきたい

林道を進んでいくと、左側にはテントサイトが続いていた。
森の中でテント泊が楽しめるようで、沢も近く楽しそうな雰囲気だった。
右側には小川山への登山口があり、斜面へと登っていく道が見えた。

2・3分

林道の終点は、キャンプ場のトイレから5分と掛からないほど。
チェーンが掛けられた先にも林道が続いているのが見え、登山道というような雰囲気はない。
歩き進んでいっても、緩やかに上る林道が続く。
すぐ横を流れる西股沢の流れがとても綺麗で、少し青みがかったところに目を惹かれた。

20分

20分ほど上ったところに、大きな岩壁があった。
林道に広いスペースがあり、何台も車が停められる。
岩の窪みには金具が取り付けられているのも見える。

金峰山登山

廻り目平はロッククライミングを楽しむひとにとっては、知られた場所なのかもしれない

林道は延々と続く。
木々の間を見上げると、高い場所に巨岩が見えたり、どこだか分からない稜線が見えたりと遠くない場所に金峰山があるように思える。

キャンプ場から49分

キャンプ場をスタートして50分近く経ち、車が停まった広い場所に出た。
端には進む方向を示す看板があり、まっすぐに行くと八丁平。
金峰山には左へ曲がるようだった。
どちらも金峰山には繋がっているようで、最短距離は左、1時間ほど多く時間を掛けて千代の吹上を通るのが八丁平経由だった。

金峰山のほうへ進むと、すぐに沢を渡る。
うっすらと雪があり、木の板で作られた橋の上を歩くのは慎重になる。

金峰山登山

すべりそうだよ・・・

登山道

橋を渡ると右側の斜面に登山道を示す看板があった。
ここまでの林道とは一変して、いかにも登山道というような狭く高い段差があり、ここが本来の登山口なのだろう。

左右には背の高い木々が茂り、急な登りが続く。
左右に折れ曲がりながら一気に高さを稼いだ後、5分ほどでなだらかな登山道に変わった。
このあたりで朝陽が差し込み、薄暗かった景色が一気に明るく変わっていく。
葉や地面に陽が当たると、うっすらと雪のある寒々しい景色が一変したようだった。

登山道はひとりが歩くのにちょうどいい程度。
木々が厚く、周りに見えるものは何も無い。
序盤の延々と林道が続くように、ここでは延々と森の中の道が続いていく。

金峰山登山

見えるものが無くてつまらない

分岐から34分

身近な針葉樹の葉や苔に付いた氷などを見ながら登っていく。
先が見えない退屈さを感じながら30分ほど経ったところで、木々の向こうに明るい光が射し込んでいるのが見えた。
木々に射し込む光は稜線が近い雰囲気。
もうじき山頂が見えるのではないかと期待をして、歩みを進めると「中間地点」と書かれた看板があった。

金峰山登山

ここで中間なんて先は長い

中間地点は腰を下ろせるほどの広さがあり、瑞牆山の方向に景色が見られた。
覗き込んで見ると、瑞牆山が間近に見える。
いまいる場所は、瑞牆山より少し低いくらいに見える。
山頂部の岩峰の向こうには八ヶ岳が見え、青空と雪をまとった赤岳と瑞牆山とで絶好の眺望ポイントだった。

中間地点を過ぎると樹林帯の中は雪が薄くなった。
ここから歩きやすくなるのか?と思ったのも束の間、周りには背の高い木よりもシャクナゲが多くなり、頭上を覆うような枝は無くなった。
おかげで雪はソールを埋めるほどになってしまった。

深い樹林帯の中は薄暗く、数センチの雪が積もる。
乾燥して滑りやすく、中間地点の手前で見られた稜線が近そうな雰囲気はどこにも無い。

金峰山登山

また景色もなく黙々と登るのか・・・

15分

15分ほど登ると登りは緩やかになり、左へ向かってトラバースするような登山道に変わった。
高い段差も減り、陽の射す方へ向かって歩いていく。

ときどき枝の間から太陽が射し込み、雪の上を黄色く照らしている。
徐々に空が明るく、登山道から少し離れた場所が見えるようになってくると、稜線上に巨岩のようなものが見えた。
そこに見えるのが五丈岩で山頂が近い眺めなのか分からないものの、もうじき山頂へ着くのだと感じられた。

中間地点から25分

木々の間を縫うように登山道を登っていく。
もうじき山頂や稜線が近いと感じながらも、それらしい景色も見られないまま、木々の中を歩く。
すると不意に2300mと書かれた丸い板が取り付けられているのが見えた。
山頂は2599m、あと300m登れば山頂に着く。

樹林帯の中とはいえこの標高まで来ると風が冷たく、吹き込み風の強さから木々の暑さもないと思えた。
歩みを停めているわけではないのに、風に当たって体温が奪われていくようだった。
登山口で脱いでいたパーカーを羽織りなおして登っていると、このあたりでよく見る岩の支え棒もあった。
なんとなく樹林帯の向こうが明るくなっているようにも見え、中間地点手前のような稜線が近い雰囲気が感じられた。

金峰山小屋に到着

2時間11分

不意に建物が見えた。
樹林帯の中に人が行き来しているのが見える。
金峰山小屋だった。

キャンプ場から2時間11分だった。
ちょうどここからが森林限界を迎えて眺望が開けた。
金峰山小屋の横を通ると展望台のような場所があり、そこからは八ヶ岳と南アルプスが見渡せる。
眼下に見えるのは小淵沢か清里か。
足元の真っ白な眺めと対照的に街は黒く、そこから上は白い山が連なる。
遠くは御嶽山まで見ることができた。

山頂は金峰山小屋から約20分。
ちょうど太陽が昇ってくる方向に山頂があり、眩しくて見上げることができない。
山梨側から登ってくるコース上、千代の吹上を見ると尾根上にある岩峰が印象的だった。

金峰山登山

早く山頂へ行きたい

ここからは風を遮ってくれる木々も無い。
ザックの中からカッパを出して羽織った。

ハイマツの間に作られた登山道を登っていく。
振り返ると近隣の山々が見え、金峰山小屋の展望台よりも眺めが良い。

金峰山登山

眺めを見るだけならここで満足した

大きな石の段差を踏み、風に当たりながら標高を上げていく。
露出した枝には雨露が凍り付き、雨氷のようになっている。
それが風に煽られるたびにキラキラとして、登っている最中に体に触れると小さくカチカチと音がした。

金峰山の山頂

2時間32分

金峰山小屋からは体感時間も感じずに山頂へ到着した。
やはり景色があると心持ちが違う。
久しぶりに見た金峰山からの眺めは新鮮さもなく、だからといって山頂直下の登山道から眺めを楽しんでしまったおかげで、達成感も減ってしまったようだった。

金峰山登山

ここまで登ることができて良かった

以前はこのあたりでよく見る丸い板を組み合わせた山頂標があった。
今は無くなって新しいものが建っていた。
岩だらけの山頂から360度の景色を眺める。
間近に見える富士山と、2年ほどまえに登った甲武信ヶ岳、1年前に登った雨乞岳、山頂へ登った達成感は減ってしまってもひとつずつの山を眺めるのは感慨深かった。

山頂で見てみたかったのは景色の他に、持ってきたココヘリの様子。
ココヘリとは、遭難した時に自分もしくは第三者からの通報で、自分が持っている会員証(発信機)から発している独自の電波を専用の受信機がキャッチし位置情報を特定。
その後、遭難者の位置を救助隊に伝えることによって、素早い救助をサポートしてくれる山岳遭難対策制度。
会員証(発信機)の右下で緑に点滅している部分がある。
これが3秒おきに点滅していれば、正常に電波が発信されている証拠。
ちなみにこの点滅の色は、電池の残量が減っていくとオレンジから赤に変化していく。
色が変わったら充電を忘れないようにしたい。

金峰山登山

小さなココヘリ会員証(発信機)をザックから取り出すのも、誤って落としてしまいそうで・・・
本来は持って歩くだけでイイのだから無駄に出さない方が無難そう

五丈岩

山頂での時間を楽しんだあと、せっかくなので五丈岩の間近まで行くことにした。
雪の付いた岩が乱立する山頂部。
滑りやすそうな岩の上を渡るのはスリルがあった。

五丈岩は巨石が積み重なってできた15mほどの巨岩。
真下には鳥居があり、一段高いところには祠が置かれている。
金桜神社の本宮はこの祠という。
富士山を望む場所にある象徴的な巨岩は、いかにも信仰の対象になるのだろう。

下山

五丈岩から金峰山小屋へ下りる。
乾燥した雪のわりには滑ることもなく歩きやすい。
景色を眺めながらの下山は気分が良く、あっという間に金峰山小屋まで下りてきた。

着込んだカッパを仕舞い、廻り目平へ向かって樹林帯の中へ潜っていく。

金峰山登山

風も穏やかになった気がするので

登りではなかなか山頂が見えずに、長く感じていた樹林帯。
下りでは足取りも軽く、どんどん標高を下げていく。
中間地点までも早く、足元の雪もだいぶ減った。

すっ転んだ
金峰山登山

チェーンスパイクを履きました

積雪量の減った登山道は、しっかり踏みしめられて固く凍っている。
体重を乗せて下りると、接地した拍子に足を滑らせることが多かった。

林道の終点まで降りてくると、すっかり足元の雪は無くなっていた。
陽が当たりやすく、気温も高く上がっているようだった。
穏やかになった林道を廻り目平まで。
朝は薄暗く長く感じられた林道も、周辺に見える岩峰群が楽しみな下山路になった。

持って行った水の量

  • 水2l

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