虫倉山へのさるすべりルート
北アルプスや戸隠連峰などへの良好な眺望が得られる虫倉山。
市街地から近く、手軽な距離と高低差で登ることができるため、季節を問わず登るひとも多い。
さまざまな登山道がある中でも、一般的な登山道といえる不動滝コースは、登山口に落差のある滝が見られ、おだやかに登っていく歩きやすいコースで親しまれている。
その反面でさるすべりコースという急登続きの登山道もあり、歩き堪えのある山ともいえる。
今回は、さるすべりコースの急登から山頂を経由して、不動滝コースを下りるという周回コースを計画した。
長野市方面からの虫倉山へ県道31号を進み旧中条村に。
中条小学校への信号機から登り坂を進んで行く。
道なりに中条御山里地区へに進み、水車小屋のある交差点を細い山道へ入っていく。
林道を上り、行き止まりまで車を進めるとトイレと車が停められるスペースがあった。
以前は不動滝手前に車を停めることになっていたところ、今ではバスの周回のために滝よりもさらに車を進めるようになっていた。
ここが結構狭くてね。運転するのちょっと嫌だなと思いました。
登山口から入ると、最初は緩やかに下っていく。
木々の間からは近隣の山並みがチラチラと見え、暑くも寒くもない季節の中、気持ち良く歩き始められる。
5分ほど下ったところで、さるすべりコースについての注意の看板を見た。
さるすべりコースは、落ち葉の積もり、足元が柔らかく優しい。
その代わりに崩落しやすきく、細尾根やトラバース箇所では、滑落しないように注意が必要。
実際2012年には遭難死亡事故も出ている。
最初ってこんな下ったかな。。。
というくらいに記憶は曖昧。
緩やかな下り坂を終えると、徐々に登り坂に変わっていく。
序盤は岩壁と深く落ちていく急斜面を横切る細い登山道。
山側に鎖が張られ、幅はひとりが歩くのにちょうど良い程度。
けっして急ではないけれど深く落ちていく斜面は、きっと足を踏み出せば落ち葉の柔らかさで滑り落ちるのだろうと想像が付く。
山側には、30・40mほど離れたところで、カモシカがこちらの様子を伺って立ち止まっている。
こちらはといえば、できるだけ何もなかったかのように通り過ぎたいと思い、あまり気にして見ないようにしてみたり手を打ってみたり。
大型の野生獣は苦手です
鎖の掛かった狭い斜面を過ぎると、広々とした登山道に変わったものの斜面はとても急で、いきなり急登がやってきたように感じる。
ただ、すぐにそれも終わり、平坦な登山道に変わる。
そこで虫倉神社からの登山道と合流した。
合流をしてからは、急な斜面を登っていく。
落ち葉が深く積もり、その上を踏みしめるように登山道が続く。
いったん急斜面が緩まって、尾根のようなところに出ると、行く先には虫倉山さるすべりコースの看板が見えてくる。
直進をしそうな上に右にも曲がっていきそうで、テープが巻かれているため直進が正しいことは見た目に分かるものの、間違いやすい場所になっていた。
テープに沿って急斜面に取り付き、杉の間を登っていくと祠の前に出た。
ここからキツくなってくる感じ
岩壁を背にして建っている祠は虫倉神社の奥の院。
ここまでちょうど20分ほどの時間が経っていた。
奥の院を過ぎると、いよいよ鎖場と急登が始まる。
祠の左側の岩壁には鎖が架けられ、5mに満たないほどの高さ。
それでも角度があるため、慎重に足の置き場を選びながら登り、その先に急登が続いているのが見えた。
細かな九十九折りで、落ち葉の音しかしないような静かな斜面が続く。
時間にして5・6分ほどで登り切れるほどの急斜面で、ただ体感的には倍くらい歩いたような印象。
太股にもピキピキと力がこもって、何よりも呼吸が乱れて苦しい。
登り切ると、葉が落ちた枝の先に山頂部が見えるものの、あの高さまで登れるのだろうかと不安に思うほどだった。
もう肺が苦しくって。。。
いったん急登が緩まってからの山頂へ続く登りは、さるすべりコースの核心部。
これまで以上の急斜面に鎖が架けられ、場所によって極端に狭く足の踏み場を選ぶ。
何かの拍子に根っ子とかで躓いて転ぶかもしれないから
地面の段差に足を掛け、いちおう滑り止めのようなつもりで垂れた鎖を握る。
木々の合間から見える周囲の景色はとても低く変わり、それは気持ちの良いものではあったけれど、足元が深くことは気を抜けないところだった。
鎖場はなかなか終わる様子も無く、徐々に山頂部へ近づいている感覚はあるものの、登るほどに段差が高く斜面は急に変わっていく。
その上、足場が狭い。
肺が苦しいと思っていたけど、太股がそれどころじゃないくらいピキピキしてきた
一際高い石の上へと鎖が続く箇所を過ぎて、やっと鎖場がひと段落する。
急だった斜面も平坦になり、まるで階段の踊り場のような感覚だった。
ただ目の前には、山頂へ鎖場が続いているのが見える。
岩々とした上に落ち葉が積もりフカフカとしているのかという印象。
足を置くとしっかりとした固い地面が感じられた。
右へ左へと細かく折れ、そこからの登山道はこのコース上で最も高く狭い箇所だった。
20・30mほどの距離でしかないものの、何ごとか起きれば確実にただごとでは済まない場所で、息が上がっている上に太股が疲れている状態で緊張感も高まった。
もっとも狭い場所を過ぎると、ようやく安心感のある広さの登山道に戻った。
崩れたのは知っていたけれど、ココからだったのか。
きっと山頂まで僅かだろうというところで、登山道は「進入禁止」の看板で遮られていた。
数年前に山体が崩壊した影響で崩落部分を巻くように登山道が変更されていた。
山頂に近づいて行くほどに、周りを囲む木も少なくなり、行く先には青空が広がる。
登山口から56分、虫倉山の山頂に到着した。
虫倉山山頂
虫倉山の山頂は眺めが良く、360度ほとんどの景色が見える。
特に印象に残るのは西側に連なる北アルプスで、雪が積もり始めた白い山脈は美しかった。
東側には黒姫山や、妙高山、戸隠連峰があり、奥裾花深くにある山々も見ることができた。
南側には八ヶ岳をはっきりと見ることができなかったものの、富士山らしい山頂部を見ることができ、その東側には浅間山や四阿山の存在感があった。
陽を遮る物の無い山頂部は、この季節にゆっくりとするのにちょうど良く、眺めが良いこともあって長い時間を過ごしたい気分だった。
通算4度目の虫倉山で景色をシッカリ見たのは初めてな気がする
-
北アルプスがよく見える -
北側には戸隠連峰 -
東側は浅間山や八ヶ岳方向 -
目を凝らすと槍ヶ岳 -
高妻山と戸隠 -
あの特徴的な形は東山の方か? -
奥に見える妙高山も越後富士らしい形 -
鹿島槍ヶ岳が何よりも印象的だった
後立山が良い
とにかく
不動滝コースでの下山
山頂からの下山は不動滝コースを下りる。
山頂から若干のアップダウンを繰り返して稜線を歩き、そこから先はおだやかな九十九折りが続く歩きやすいコース。
全体が樹林帯なので眺望は良くないコースであるものの、この季節は葉が落ちた分だけ眺めが楽しめ、眼下に見える集落には山村らしい雰囲気も感じることができた。
きっと山頂の崩落で狭くなった分、こっちで景色を楽しんでねってことだと思う
北アルプスを眺められる展望台のようになっている東屋は、木々が刈り払われて後立山の眺めがとても良くなっていた。
数年前は眺望の少ない展望台という印象もあったところが、すっかりと変わっているのには驚いた。
長閑な眺めがとても良かった。
金倉坂の九十九折りを過ぎ、サンショウウオが棲息するという沢に差し掛かると登山口までは近い。
山頂部で葉が落ちていたのも、このあたりではまだ葉が残り、風が吹くたびにハラハラと落ちていく。
そんな様子を楽しみながら山頂から30分余り経ち、登山口へ戻ってきた。
葉っぱが落ちていくのは、秋だなっていう感じ