荒島岳

1523m

待冬のブナ林 霧煙る落葉の登山道

中出コース 2018年11月10日

荒島岳登山 (11月)|初心者にも登りやすい北陸の百名山へ
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福井県大野市に聳える荒島岳、標高は1523mで多くの山々に囲まれた人里から離れた深い山という印象がある。
山頂部の荒島岳、それを見上げる展望台のような小荒島岳や、山頂部と尾根を繋ぐ中荒島岳、前荒島などいくつもの峰を従えている。
晴れていれば周囲の山々を見晴らすことのできる眺望の良い山で、冬季でも人気が高くたくさんの人が登っている。

11月の荒島岳はブナ林を飾った紅葉も落ち、登山道は赤茶色の落ち葉が積もり雪を待つ季節といった装い。
最盛期ならばたくさんの人が歩いているのだろうと簡単に想像ができるような、木々が美しく茂っていた。

この日、前日までの雨が時間を経過するほどに雲が流れて午前中には晴れるだろうという予報。
それを信じて余裕を持った計画で登山口へと向かう。
雨で湿った登山道が滑りやすいことを想定し、けっして急ぎすぎないこと、雲の様子を見ながら景色を楽しむことを考えながら荒島岳へと向かった。

歩いたコース

登り
中出コース
下り
しもやまコース
最高標高
1523m
登山口標高
362m
距離
10.56km
累積標高
1303m
1257m
平均斜度
12.83度
時季
2018年11月
天気
曇り
日程
日帰り
歩行ペース
登り2.56/下り1.50/合計4.46
平均の歩行速度
2.21km/h

この日のペース

  1. 中出登山口
  2. 小荒島岳(1:46)
  3. シャクナゲ平(2:05)
  4. 前荒島(2:41)
  5. 中荒島岳(2:46)
  6. 荒島岳(2:56)
  7. 下山登山口(4:46)

Amazonや書店で買える地図

山と高原地図 白山 荒島岳・能郷白山・金剛堂山
山と高原地図 白山 荒島岳・能郷白山・金剛堂山
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福井には縁があり荒島岳にはいつか登りたいと思っていました。
1500mあまりの標高で、上信越の里山と大差のない高さですが、登山口からの高低差が大きく、くわえて細かなアップダウンがあるので、それなりに大変なルートだと思います。
特に下山に使用した下山ルートは急登続きで、登るにも下りるにも苦労するようなところでした。

ブナがとても綺麗な山だったので、もし次に登る機会があるとしたら、葉のある時季に来てみたいと思いました。

使った登山道具

持って行った水の量

中出コースから荒島岳へ

福井市方面から大野市へ向かい中出登山口へと向かう。
最寄りの駅はJR九頭竜線、下唯野駅。
国道158号線から蕨生地区の集落へと向かっていく。
登山口の看板に従って杉林の狭い道路を上っていくと広い駐車場がある。

荒島岳登山

大野もガスってるし今日は眺望無いかも・・・

小荒島岳へと向かう西側を登る中出コースは、林道が終点を迎える数百メートル下に、整備された舗装の駐車場が用意されている。
およそ40台ほどは停められそうな広い駐車場で、トイレや靴を洗うための水場が整っている。
靴や持ち物の身支度を整え、駐車場より上へと続く林道を歩いて登っていく。

幅4mほどで足元はコンクリートで舗装されているため歩きやすい。
林道を登って5分ほど、登山口に着いた。

登山口の矢印通りに舗装路へと入り、しばらく歩くとコンクリートの舗装は細かな砂利に変わった。
広々と歩きやすい林道で、人が並んで歩いても余裕があるほど。
緩やかなカーブを描きながら続く登り坂は、ところどころで急斜面があり、駐車場から25分ほど登ったところで登山道らしい道へと入った。
登山道は蛇行している林道を何度も横切ってショートカットして登っていくようで、狭く木々に囲まれた登山道から林道に出ては、矢印に従って再び登山道へと入ることを繰り返した。

3・4度目かの林道横断から登山道へと入ると、急な登り坂が続いた。
雨が残り濡れた葉の落ちる登山道は滑りやすく、そのわりには水はけが良いのか泥濘むようなところは少なかった。
標高を上げていくほどに深い樹林帯は葉が落ちて無くなり、振り返ると大野市街を覆うガスで真っ白な景色ばかりだった。

荒島岳登山

斜面は急だけど比較的歩きやすい

1時間と掛からないペースで雨降り展望台を過ぎ、ますます深くなるガスの中を登っていく。
登山道は左右へ緩やかに折り返し、歩きやすい勾配の登り坂が続く。
雨降り展望台から10分ほどでおおばこ展望台を通り、登山道が急登へと向かっていく。
折り返しながら急登を登り、杉が目立つようになると平坦な登山道へ変わり、再び登るようになるとブナが目立つように変わっていく。

荒島岳登山

赤い落ち葉が綺麗。意外と。想定外。

周囲を覆うガスは濃くなっていく一方で、陽の射さないブナ林は幻想的でもあって眺望が無くとも楽しめる。
葉の落ちた登山道は、雨で濡れたおかげで色が濃く赤茶色が華やかだった。

荒島岳登山

アレか?

何度も折り返しながら登山道を登り、ひえ畑あたりまで来ると、目の前には一際高い峰が見えた。
小荒島岳だと思われたこの峰へ向かい、緩やかだった登山道が再びキツく登っていく。

荒島岳登山

何気にガスにも飽きてきてた

山頂へと向かう登山道と小荒島岳との分岐は、駐車場から1時間45分。
分岐から小荒島岳へは1分強だった。

小荒島岳

小荒島岳は標高1186m。
荒島岳の前衛に聳えるピークで、荒島岳を一望する絶好の展望台となっている。
今回はガスのため、20分ほど滞在していても山頂部を見渡すことができなかった。
ここに来るからには、小荒島岳からの荒島岳と大野市街を見下ろしたかった。
流れの速い雲を眺めながらガスが切れることも無さそうだったため、分岐へ下りて山頂へと向かった。

荒島岳登山

待っていれば晴れると思ったのだけど。

分岐からは下り坂が続く。
緩やかな下り坂で、いつの間にか鞍部を過ぎて登り返しもゆっくりとなだらかに始まる。

荒島岳登山

いつの間にか登りって感じ

シャクナゲ平

シャクナゲ平での合流は突然だった。
なだらかな登り坂から、わずかに急な登りが続くと思った矢先、小荒島岳から15分ほどでの到着。
勝原からの登山道と合流する場所で、広く休憩がしやすいほどに開けている。
特段、見るべき物もなく通り過ぎ、再び下り坂が続く。
すぐに佐開からの登山道と合流し、シャクナゲ平から5分ほど下ったところで登り返しになった。

登山道を囲むブナの中には大きなものもあり、たくさんの枝が白く煙った空に向かって消えていくのは幻想的だった。

荒島岳登山

今日はガスを楽しむんだ

もちが壁

シャクナゲ平を下り、登り返してすぐに始まる急な登り坂は荒島岳登山道の核心部。
もちが壁と呼ばれるこのあたりは、比較的登りやすい登山道の続くルート上で、滑落注意の看板が掲げられている。
急な斜面には木段が作られているものの、ところどころで破損して崩れ、高い段差がそのままに鎖が張られている。
濡れた木の根は、滑りやすそうな雰囲気。
足の置き場を見ながら、足を上げて高い段差を登る。

厚いガスで眺望が無いのが残念なほど、見晴らしは良さそうな急坂で、左右が切れ落ちた細尾根だからこそ、木々が眺望を邪魔することも無さそうな様子だった。

荒島岳登山

わりと大変な急登だと思う。
晴れてれば眺めも良さそうだけど。

鎖場を過ぎると少しの間、緩やかな尾根道が続く。
その後すぐに段差の高い登山道に変わり、登り切ると小さな峰の上に出た。
足元に刺さった杭には「前荒島」と書かれている。

中荒島岳

前荒島岳を越え、僅かに下って登り返す。 緩やかな登りの尾根から一気に急な岩場になり、笹の合間を縫うようにして登ると中荒島岳と書かれた方向指示標が経った峰に出た。
駐車場からは2時間46分ほど。
雰囲気から山頂が近いと思われるものの、周囲が見渡せないほどのガスで、行き先がどんな様子かも分からない。
そう長くないことも分かっているし、危険な場所が続くわけではないことも知っているものの、先が見えないのは体感的に長く時間に思える。

中荒島岳を背にして、少し下ると再び登り返す。
先がはっきりと見えない中で、おそらく次の登りを越えた先が山頂だろうと想像をしながら、笹に囲まれた中を歩く。

荒島岳登山

山頂はまだか。。。

荒島岳山頂

登山口から2時間56分での荒島岳山頂到着だった。
何も見えないばかりか風が強く、滞在中の体温が奪われていく。
広くなだらかな山頂部には、代わる代わる人が訪れて、次々に下山をしていく。

山頂の傍らには荒島神社の社殿が祀られ、中にはたくさんの石造が置かれているのが見えた。
眺望があれば、景色を楽しみ思いを馳せることもあるのだろうところ、特に何ということもなく、時間を過ごして山頂を後にすることにした。

荒島岳登山

けっこう寒くて。
長居はしたくない感じ。

しもやまコースでの下山

荒島岳登山

「下山」と書いて「しもやま」
しもやまへ下山する

荒島岳からの下山は越前下山駅があるしもやまコースを下りる。
荒島岳を貫通するように、登ってきた登山道を後にして下りていく。
腰の高さまで茂り露が付いて濡れた笹を分けながら、細尾根の下山路が続く。
左右には木々が少なく、笹が続いていく様子が見えるところから、晴れていればこれ以上ないほどの眺望があるのだろうと思えた。
細尾根の平坦な登山道と、一気に下る急斜面、登り返しを繰り返しながら山頂から標高を下げていく。
ほとんど景色が見られない中でも、変化のある細尾根は楽しく、きっと景色が良いのだという妄想も入ると気持ちが高まる。

なんだ気持ち良いじゃないか!
荒島岳登山

もしかしてココが一番のハイライトなんじゃないか?

30分ほど下ったところで笹から木々が多くなってきた。
だんだんと雲が流れて景色が見えるようになり、眼下に流れる九頭竜川や、荒島岳を囲む山々が見渡せた。

45分ほど下ったところからは、まるで転げ落ちるかのような急な下り坂が続いた。
眼下には九頭竜川。
登山道を外れればそのまま谷間へと転がっていくのだろうと思え、登山道上であっても足を滑らせれば、どこで止まるのかも分からないほど。
ましてや濡れた土に落ち葉が積もった滑りやすい状況で、ところどころに倒木が登山道を塞いでいる。
下りるのに苦労する荒れた登山道でも、真下に見える九頭竜川が徐々に近づいてくるのがおもしろい。

荒島岳登山

意外と近く見えるけど。
ちょっとコレは角度がキツすぎるだろ。

下りも飽きたのだけど

延々と下り続け1時間を越えたころ、ようやく登山道の急な下り坂はなだらかになった。
振り返ると下りてきた峰が壁のように高く近い。
高低差はそう大きくなくても水平距離は少なかったのだろう、と目視の距離感から勾配を思う。

手元の地形図から、急坂は終わりしばらく平らな下り坂が続くことが見てとれた。
いつの間にか九頭竜川が近くなっている。
下山する越前下山駅のトンネルも近く見える。
標高が500mを切って、紅葉も戻ってきた。
登山道上を囲む黄色や赤、谷間に見える色が華やかで、下山が近いことの安心感が高まったこともあって楽しめた。

荒島岳登山

まさかこんなところに登山口とは・・・

下山の登山口は、神社の横にふと出た。
矢印に従って進んだ結果、建物の裏に出て、そのまま階段を下りて振り返ると「登山口」と掲げられていた。

待冬の登山道

待冬の荒島岳

福井県の山深い場所に位置する荒島岳は、多くの積雪がある山で、積雪期にも登られています。
荒島岳へ登るのは紅葉が終わり、登山道に落ち葉の降る季節。
前日までの雨を残しているようにガスに覆われて、登山道からの景色は真っ白でした。
その景色とひんやりとした空気は、まるで雪の季節がくるのを待っているかのようで、落ち葉の上は今にも雪が重なりそうな雰囲気でした。
ガスと枝に残った葉の登山道は寂しげで、もう少し季節が進んで雪が降れば、雪の荒島岳を登る人で賑わうのだと感じ。
まるでその季節を待っているかのようでした。

下山後に立ち寄った温泉

九頭竜温泉 ホテルフレアール和泉

大野市下山にある宿泊施設。
日帰り温泉「平成の湯」が併設され、荒島岳へのしもやま登山口に近く、登山と併せて利用が可能。
内湯と露天風呂、サウナが楽しめ、泉質はアルカリ性単純泉。
畳敷きの休憩スペースがあり、食事のスペースは無い。

登山口から近くて利用しやすい場所でした。
少し温度が低めな印象がありましたが、トロミのあるお湯は浸かっていても気持ちが良かったです。
内湯よりも露天風呂の方が温度が高く感じました。

荒島岳のバッジの売店のひとつで、モンベル会員なら入浴後の飲み物を、無料でサービスしてもらえます。

周辺の山

同じ時季に登った山