中出コースから荒島岳へ
福井市方面から大野市へ向かい中出登山口へと向かう。
最寄りの駅はJR九頭竜線、下唯野駅。
国道158号線から蕨生地区の集落へと向かっていく。
登山口の看板に従って杉林の狭い道路を上っていくと広い駐車場がある。
大野もガスってるし今日は眺望無いかも・・・
小荒島岳へと向かう西側を登る中出コースは、林道が終点を迎える数百メートル下に、整備された舗装の駐車場が用意されている。
およそ40台ほどは停められそうな広い駐車場で、トイレや靴を洗うための水場が整っている。
靴や持ち物の身支度を整え、駐車場より上へと続く林道を歩いて登っていく。
幅4mほどで足元はコンクリートで舗装されているため歩きやすい。
林道を登って5分ほど、登山口に着いた。
登山口の矢印通りに舗装路へと入り、しばらく歩くとコンクリートの舗装は細かな砂利に変わった。
広々と歩きやすい林道で、人が並んで歩いても余裕があるほど。
緩やかなカーブを描きながら続く登り坂は、ところどころで急斜面があり、駐車場から25分ほど登ったところで登山道らしい道へと入った。
登山道は蛇行している林道を何度も横切ってショートカットして登っていくようで、狭く木々に囲まれた登山道から林道に出ては、矢印に従って再び登山道へと入ることを繰り返した。
3・4度目かの林道横断から登山道へと入ると、急な登り坂が続いた。
雨が残り濡れた葉の落ちる登山道は滑りやすく、そのわりには水はけが良いのか泥濘むようなところは少なかった。
標高を上げていくほどに深い樹林帯は葉が落ちて無くなり、振り返ると大野市街を覆うガスで真っ白な景色ばかりだった。
斜面は急だけど比較的歩きやすい
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木にビッシリ生えてるコレ。気になって足を停める。 -
落ち葉になる前に来られたら楽しいのだろうなと想像できる。 -
完全に葉が落ちたようなところまで登ってくると、急斜面が終わってなだらかになった -
雨降り展望台を通過。展望は無かったと思う。
1時間と掛からないペースで雨降り展望台を過ぎ、ますます深くなるガスの中を登っていく。
登山道は左右へ緩やかに折り返し、歩きやすい勾配の登り坂が続く。
雨降り展望台から10分ほどでおおばこ展望台を通り、登山道が急登へと向かっていく。
折り返しながら急登を登り、杉が目立つようになると平坦な登山道へ変わり、再び登るようになるとブナが目立つように変わっていく。
赤い落ち葉が綺麗。意外と。想定外。
周囲を覆うガスは濃くなっていく一方で、陽の射さないブナ林は幻想的でもあって眺望が無くとも楽しめる。
葉の落ちた登山道は、雨で濡れたおかげで色が濃く赤茶色が華やかだった。
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杉林の中を通り抜ける。見上げるとガスだらけ。 -
杉の次は、落ち葉の急斜面 -
眺望は無かったけれど、このあたりの登山道は幻想的な雰囲気で良かった。 -
落ち葉も良いなと感心しながら、ガスの中を登っていく -
この辺は木が曲がってる。きっと積雪の重みのせい。 -
落ち葉の中を登っていくと、平らになって歩きやすくなった
アレか?
何度も折り返しながら登山道を登り、ひえ畑あたりまで来ると、目の前には一際高い峰が見えた。
小荒島岳だと思われたこの峰へ向かい、緩やかだった登山道が再びキツく登っていく。
何気にガスにも飽きてきてた
山頂へと向かう登山道と小荒島岳との分岐は、駐車場から1時間45分。
分岐から小荒島岳へは1分強だった。
小荒島岳
小荒島岳は標高1186m。
荒島岳の前衛に聳えるピークで、荒島岳を一望する絶好の展望台となっている。
今回はガスのため、20分ほど滞在していても山頂部を見渡すことができなかった。
ここに来るからには、小荒島岳からの荒島岳と大野市街を見下ろしたかった。
流れの速い雲を眺めながらガスが切れることも無さそうだったため、分岐へ下りて山頂へと向かった。
待っていれば晴れると思ったのだけど。
分岐からは下り坂が続く。
緩やかな下り坂で、いつの間にか鞍部を過ぎて登り返しもゆっくりとなだらかに始まる。
いつの間にか登りって感じ
シャクナゲ平
シャクナゲ平での合流は突然だった。
なだらかな登り坂から、わずかに急な登りが続くと思った矢先、小荒島岳から15分ほどでの到着。
勝原からの登山道と合流する場所で、広く休憩がしやすいほどに開けている。
特段、見るべき物もなく通り過ぎ、再び下り坂が続く。
すぐに佐開からの登山道と合流し、シャクナゲ平から5分ほど下ったところで登り返しになった。
登山道を囲むブナの中には大きなものもあり、たくさんの枝が白く煙った空に向かって消えていくのは幻想的だった。
今日はガスを楽しむんだ
もちが壁
シャクナゲ平を下り、登り返してすぐに始まる急な登り坂は荒島岳登山道の核心部。
もちが壁と呼ばれるこのあたりは、比較的登りやすい登山道の続くルート上で、滑落注意の看板が掲げられている。
急な斜面には木段が作られているものの、ところどころで破損して崩れ、高い段差がそのままに鎖が張られている。
濡れた木の根は、滑りやすそうな雰囲気。
足の置き場を見ながら、足を上げて高い段差を登る。
厚いガスで眺望が無いのが残念なほど、見晴らしは良さそうな急坂で、左右が切れ落ちた細尾根だからこそ、木々が眺望を邪魔することも無さそうな様子だった。
わりと大変な急登だと思う。
晴れてれば眺めも良さそうだけど。
鎖場を過ぎると少しの間、緩やかな尾根道が続く。
その後すぐに段差の高い登山道に変わり、登り切ると小さな峰の上に出た。
足元に刺さった杭には「前荒島」と書かれている。
中荒島岳
前荒島岳を越え、僅かに下って登り返す。
緩やかな登りの尾根から一気に急な岩場になり、笹の合間を縫うようにして登ると中荒島岳と書かれた方向指示標が経った峰に出た。
駐車場からは2時間46分ほど。
雰囲気から山頂が近いと思われるものの、周囲が見渡せないほどのガスで、行き先がどんな様子かも分からない。
そう長くないことも分かっているし、危険な場所が続くわけではないことも知っているものの、先が見えないのは体感的に長く時間に思える。
中荒島岳を背にして、少し下ると再び登り返す。
先がはっきりと見えない中で、おそらく次の登りを越えた先が山頂だろうと想像をしながら、笹に囲まれた中を歩く。
山頂はまだか。。。
荒島岳山頂
登山口から2時間56分での荒島岳山頂到着だった。
何も見えないばかりか風が強く、滞在中の体温が奪われていく。
広くなだらかな山頂部には、代わる代わる人が訪れて、次々に下山をしていく。
山頂の傍らには荒島神社の社殿が祀られ、中にはたくさんの石造が置かれているのが見えた。
眺望があれば、景色を楽しみ思いを馳せることもあるのだろうところ、特に何ということもなく、時間を過ごして山頂を後にすることにした。
けっこう寒くて。
長居はしたくない感じ。
しもやまコースでの下山
「下山」と書いて「しもやま」
しもやまへ下山する
荒島岳からの下山は越前下山駅があるしもやまコースを下りる。
荒島岳を貫通するように、登ってきた登山道を後にして下りていく。
腰の高さまで茂り露が付いて濡れた笹を分けながら、細尾根の下山路が続く。
左右には木々が少なく、笹が続いていく様子が見えるところから、晴れていればこれ以上ないほどの眺望があるのだろうと思えた。
細尾根の平坦な登山道と、一気に下る急斜面、登り返しを繰り返しながら山頂から標高を下げていく。
ほとんど景色が見られない中でも、変化のある細尾根は楽しく、きっと景色が良いのだという妄想も入ると気持ちが高まる。
写真:いちのトレッキングブログ
もしかしてココが一番のハイライトなんじゃないか?
30分ほど下ったところで笹から木々が多くなってきた。
だんだんと雲が流れて景色が見えるようになり、眼下に流れる九頭竜川や、荒島岳を囲む山々が見渡せた。
45分ほど下ったところからは、まるで転げ落ちるかのような急な下り坂が続いた。
眼下には九頭竜川。
登山道を外れればそのまま谷間へと転がっていくのだろうと思え、登山道上であっても足を滑らせれば、どこで止まるのかも分からないほど。
ましてや濡れた土に落ち葉が積もった滑りやすい状況で、ところどころに倒木が登山道を塞いでいる。
下りるのに苦労する荒れた登山道でも、真下に見える九頭竜川が徐々に近づいてくるのがおもしろい。
意外と近く見えるけど。
ちょっとコレは角度がキツすぎるだろ。
写真:いちのトレッキングブログ
延々と下り続け1時間を越えたころ、ようやく登山道の急な下り坂はなだらかになった。
振り返ると下りてきた峰が壁のように高く近い。
高低差はそう大きくなくても水平距離は少なかったのだろう、と目視の距離感から勾配を思う。
手元の地形図から、急坂は終わりしばらく平らな下り坂が続くことが見てとれた。
いつの間にか九頭竜川が近くなっている。
下山する越前下山駅のトンネルも近く見える。
標高が500mを切って、紅葉も戻ってきた。
登山道上を囲む黄色や赤、谷間に見える色が華やかで、下山が近いことの安心感が高まったこともあって楽しめた。
まさかこんなところに登山口とは・・・
下山の登山口は、神社の横にふと出た。
矢印に従って進んだ結果、建物の裏に出て、そのまま階段を下りて振り返ると「登山口」と掲げられていた。