三峰口から雲取山へ
三峯神社の有料駐車場に車を停め登山口の奥宮入口へ向かう準備を始める。
駐車場からは登山道上にある霧藻ヶ峰や白岩山が並び、その先に遠く雲取山が見える。アスファルトの登り坂を登山口まで進むと、杉の木が立ち並んだ登山道が始まる。
しばらくはコンクリートで舗装された道が続く。
木々の間からの山並みを眺めながら緩い登り坂を進んで行く。
5分ほど進んだところで奥宮へと続く分岐に到着した。
道標には、真っ直ぐ進むと「山道」左の鳥居を潜ると「雲取山」と書かれている。
この山道をどう解釈したら良いか分かりづらくて、素直に矢印が差す方へ向かっていく。
鳥居の裏には登山届けが提出できるように用意され、壊れたカウンターも置かれていた。
鳥居からは根の張った登り坂が続く。
参道らしい雰囲気の大きな木に囲まれた登山道。
積もった落ち葉がフカフカとして歩きやすい。
三峰ルートの登山口から10分ほど歩いたところで奥宮への鳥居に到着。
鳥居の先は三峰三山のひとつ妙法ヶ岳になる。
鳥居を過ぎていくと、徐々に斜面の勾配が緩く変わった。
杉の中を過ぎると落葉樹の登山道に変わる。葉が落ちて明るく気持ちが良い。
10分ほどで再び杉に囲まれた登山道に変わり二股桧を過ぎていく。
厚く木に囲まれているため周りの景色も変わらないままひたすらに登り炭焼平へ。
昭和までは炭焼きが行われていた場所のようで、写真付きの解説が取り付けられていた。
斜面は平坦で、先に視線を移すと枝の間からこれから登る峰の影が見えた。
少し進んだところで斜面は急になり、足元のフカフカとした感触から見るからに石の多い登山道に。
登り切ったところで尾根に出ると根が生えた緩やかな登山道。
すぐに大日向からの登りとの合流地点の地蔵峠に到着した。
地蔵峠までは登山口から50分。
緩やかな登りの登山道もここからはアップダウンに変わる。
丘のような地蔵峠を少し登ると眺めの良い場所に出た。
北側が一望でき、両神山やその先に浅間山が見える。
ここからいったん下り、緩やかに登り返すと霧藻ヶ峰に到着した。
霧藻ヶ峰にはトイレと休憩小屋が作られ、崖側には柵が設けられている。
岩壁には秩父宮の御尊顔が取り付けられ霧藻ヶ峰から東側を眺めていた。
霧藻ヶ峰からは下りになりお清平まで高度を下げていく。
目の前には白岩山の大きな影が見え、坂を下っていくごとに影が高く高くなっていく。
霧藻ヶ峰からお清平は約100mの高低差。
一度に下ったあとの登り返しはキツい。
緩やかだった斜面はここから急な勾配になり岩もゴツゴツと露出している所が多い。
細かく折り返しながら登っていくと、このルートで唯一の鎖場が3mほど。
鎖場を過ぎるとすぐに階段があり、どんどんと高度を上げていく。
このあたりから風が強く吹き付けてきた。
左右は高く落ちているため、木に囲まれているとはいえ風の当たりが強い。
飛ばされそうな帽子を押さえながら急登を登り、ピークに到達したのはお清平から25分ほど。
約160mの登り返し。ここで白岩山だと思って登っていた急登は「前白岩の肩」だったことが分かった。
「前」ということは本物があり、しかも肩ということは更にピークがあるはず。
この急登が白岩山へと続くと思って登っていると失望感がある。
アップダウンの多いルートということは分かっていたので気を取り直して先へ。
前白岩の肩からはほぼ平坦な尾根の登山道。
細かなアップダウンを繰り返す。
前白岩山には10分ほどで到着した。
1420mのお清平から1776mの前白岩山までの登り返しは勾配もきつく大変な思いをした印象だった。
前白岩山まで来ると、周辺の山の上から僅かに南アルプスの白い峰が見えた。
前白岩山からは再び下り坂に。
枝の間から見える大きな山影は雲取山なのか白岩山なのかと考えながら斜面を下っていく。
下りきったところから鞍部の緩やかな登り坂を進んで行くと古い建物が1戸。
窓ガラスは割れ、中の様子を見ると寝ることはできそうな佇まい。
入口には白岩小屋の看板。
ここから一気に登っていく。
見上げと白岩山はとても高く、あの高さまで登って更に先があると思うと気が重い。
登り返しを繰り返しながらの急登は足に疲労感が溜まり、体感ではかなりの高さを登り進んでいるように感じる。
実際には15分ほどの時間。
白岩小屋から白岩山へ。
途中、標高が1800mを越えてきた辺りから日影には雪も残っていた。
登山口から2時間10分ほどでの白岩山到着。
山頂にはベンチや案内板が置かれ、休憩しやすく整備されていた。
眺望はそう良くもなかったので、このまま山頂を過ぎて白岩山を下っていく。
芋ノ木ドッケに着くと、遠くに雲取山らしき尖った形が見え、登山道はまだまだ下へと下っていた。
健脚向きと書かれた天目山との分岐点になっているが、ここまででも疲労感があるため、さすがにそちらへ進む気にもならず、芋ノ木ドッケから下っていく。
白岩山から雲取山への下り坂は、この登山道上では一番の難所で、雪の解けている時季は高く切れ落ちた斜面を横切るように狭いルートが続いている。
積雪期ではアイゼンが必要で、足を滑らせようものなら谷へ滑落しそうな場所だった。
遠くに高く見える雲取山を見ながら延々と下っていく登山道は、山頂に近づいているのに下りているという不思議な感覚と、帰り道の登り返しが心配になった。
鞍部の最下部の大ダワは標高約1700m。
白岩山から220mあまり標高を下げた。
ここから2000m以上の雲取山への登り返しが始まる。
大ダワからは男坂と自然観察路の分岐に分かれる。
男坂は直線的で近いが、これまで通りの勾配が続く。
自然観察路は巻いている分だけ距離があるが勾配は緩い。
男坂は思ったほどの険しさではなく、広く歩きやすかった。
ここまで雲取山に近づいていることもあり、長い坂道ということもなく10分ほどで登り切れた。
登り切った先には、以前の雲取山荘の建物が残っている。
半壊している建物を横目に進んで行く。
テン場だったと思われる場所からは眺めがよく、遥か遠くに見える駐車場とこれまで通ってきた稜線が一望できる。
古い雲取山荘を過ぎると、すぐに雲取山荘が到着した。
雲取山荘では水の補給ができDoCoMoの電波も入るため外のベンチで休憩を取る人もいる。
雲取山荘から山頂までは約700m、高低差にして150mほど。
樹林帯の急斜面を登っていく。
陽が当たりづらいせいか登山道には雪が固く締まって氷になっていた。
雪が解けているところでは、水分を含んだ土がドロドロになっているところもあり、氷よりも歩きづらく感じるところもあった。
山頂までのもうひと息のこの登り坂が意外にも大変で、もう少しなハズの山頂がなかなか近づかない印象だった。
雲取山山頂
登山口から3時間28分。
雲取山に到着した。
急坂から見える山頂の標が嬉しくて、ゆっくりと噛みしめるように登った山頂だった。
反対側に位置する鴨沢からのルートとの合流点になり、それまでほとんど出会うことの無かった登山者が、ここでは多く見られた。
山頂からは南アルプスが一望でき、遠く北には浅間山の存在感。振り返ると東側には立川市が見え、東京都ということが感じられた。
何よりも近く大きく見える富士山が見事で、秩父の山に登ったという印象が強く残った。