中央アルプスの経ヶ岳へ
権兵衛峠の北側、開山から1200年という仲仙寺から登山道が始まる。
山門を過ぎてすぐの左側に寺院の駐車場があり、20台ほどが停められるスペースがある。
トイレは麓で済ませて仲仙寺へと向かうと、さすがに降雪の予報と雪が少ないとはいえ積雪期のためか登山の駐車は無い。
雪がちらつく中、駐車場から寺へと向けてスタート。
石段の手前の二股を右へと曲がり、土に落ち葉の積もった登山道へと入っていく。
緩やかに登っていく登山道。
地元の中学生の「強歩大会」が行われる山でもあり、登山道の序盤は歩きやすい。
右へ左へと緩やかに標高を登り坂を進んでいくと、日影には雪が残るようになった。
見上げると枝の間からは経ヶ岳の隣に聳える黒沢山。
あの高さを目安に登山道を上っていく。
斜面をトラバースするように上っていく登山道は幅が狭く、擦れ違うときには気を遣いそうなほど。
仲仙寺の登山口から約50分。
大泉所ダムからの登山道と合流地点になる4合目に到着した。
さらに緩やかに登っていき、4合目から5合目までは20分ほど。
このあたりまで登ってくると、それまで日影だけだった雪も3センチほど積もっていた。
5合目からは斜面も徐々に厳しくなっていく。
目の前には高く見える尾根、そこへ向けて登山道を登る。
6合目付近では急登に変わり、枝の間からは伊那の街を見下ろすことができた。
雪の下に岩の露出した6合目を過ぎ、登山口から2時間ほどで7合目に到着した。
経ヶ岳を見上げると尾根が長く続いている。
7合目からは山頂が見えず、中間に見えるピークが8合目。
さらにその先に高く見えるのが9合目。
まだまだ先は長い。
7合目からいったん下り、尾根に向けて登りが始まる。
積雪はソールほど。
そう気にするほどの雪ではないものの、ときどき吹き付ける風が冷たい。
鞍部からの急な登り返しを過ぎると、いったん登り坂は緩くなった。
周りを見渡せば真っ白に凍り付いた枝。
登山道は霧氷に囲まれていた。
空に張っていた雲も流れ、青空が徐々に広がってきた。
7合目から登り続けること約50分。
望郷と書かれた8合目に到着した。
木が開けた8合目からは、周囲の山々を見渡すことができる。
遠く八ヶ岳は雲に覆われ、その雲が一際高くなっているところはおそらく赤岳。
南アルプスの甲斐駒ヶ岳は山頂が雲から抜けそうで、大きな仙丈ヶ岳は一面覆われていた。
眼下の街並みが明るく太陽に照らされているのが対照的な眺めだった。
すぐ近くに高く見えるピークは9合目。いったん下り、ふたたび登り返す。
すぐ近くに見えた9合目も、雪の樹林帯を進むと意外と時間も体力も消費する。
9合目直下の急登を登り、木に囲まれたピークに辿り着いた。
地蔵と標が建てられた9合目。
わずかに経ヶ岳の山頂らしい尾根が見える。
樹林帯に覆われた登山道は膝下ほどの雪が積もり、踏み跡はすっかり消えている。
いったんピークを下りて笹と針葉樹の登山道を進んで行く。
ところどころで道を見失いかけるので、注意深くテープを探し、踏み跡らしき窪みを探って進む。
膝下まで埋まる登山道は、一面の霧氷と広がった青空が綺麗で、見上げていればいつまでも立ち止まって眺めたくなるほど。
風も収まらずに、吹かれていると体温が下がるので、ゆっくりでも雪を踏みながら山頂へ。
9合目から最初のピーク、大泉山を過ぎると、霧氷の向こうに山頂が見えた。
足首から場所によっては膝下までの雪。眺望のない登山道。
山頂の場所が見えないままに登り進むと、突然目の前に山頂の標が見えた。
経ヶ岳山頂
木に覆われた山頂。
一面の雪の中に地蔵が建っていた。
登山口から3時間40分ほどでの到着だった。
木の合間から風が吹き込み枝に付いた霧氷がパラパラと落ちていた。
そう長くも休んでいられなかったため、早々に登ってきたルートを下山。
積雪は登りには苦労するが、下りでは膝の負担もなく楽に歩くことができた。