虫倉山東側の尾根を登る
虫倉山へは県道31号を旧中条村へ。
旧中条村から林道岩井堂峠線を進む。
トンネルを過ぎて、やきもちやへの看板が出ている三叉路を鋭角に入っていく。
道なりに上り坂を進み大西地区方面へ。
車が擦れ違うには難しそうな細い道路を上がっていくと、斜面の上に岩井堂が見えた。
停めるところが無いです
登山口には登山届のポストと看板が建てられている。
まわりに停められるような広い場所も無く、路肩の広いところに車を停める。
林道は作業用の大型車両も通るため、邪魔にならないようにしっかりと端に寄せ、準備を整えて登山道へと入っていく。
また熊注意か・・・
岩井堂
登山道に入ってすぐに岩井堂への入口に差し掛かる。
岩井堂は江戸時代後期に建てられた寺院建築。
巨岩を背負うように建てられているばかりか、廻り縁の下は高さ2・3階ほどの高さがある。
真下には林道が見え、路肩に停めた車が低く見えた。
こんなところに建ってて壊れていないところがすごいと思った
急登から緩やかな尾根道
登山道へ戻り、九十九折りに登り進める。
落ち葉が積もり柔らかい土質の登山道は滑りやすく、斜面を横切るように折れ曲がって登山道が続いていく。
斜面の上を見ると、ところどころに今にも落ちてきそうな巨岩があり、その真下を通るときには何かが頭上に降ってくるのではないかと不安になる。
熊も出るんじゃないか?と。
20分
20分ほど歩いたところで、尾根の方向が明るく見えてきた。
斜面は急な勾配で柔らかい。
季節がら葉が落ちていることもあり、登っていくほどに周囲の景色が見えてくる。
葉っぱが落ちて地味な季節だけど、これはこれでアリ。
斜面を折り返しながら尾根上へ、巨岩を過ぎるとそこまでの急な斜面が緩やかに変わる。
陽の当たるおだやかな登り坂で、落ち葉のカサカサとした音だけがよく聞こえる。
急斜面と緩斜面を登りながらもなかなか登ることのなかった尾根上へ。
登山口から28分ほど経ったところで、尾根上の分岐点に着いた。
廃道・・・??
30分
分岐点には廃道進入禁止の文字。
右にはいかにも廃道になっていそうな藪道が見える物の、左は明らかに整備がされている登山道。
看板は二方向を指しているようにも見える。
ここまできて廃道というのも残念なので、進んでみて判断しようと考え、ひとまず登山道を先へと進む。
岩井堂コースが廃道なんてどこにも書いてなかったし。
落葉樹の中を歩くように進んできた登山道はここから杉に囲まれる。
葉が落ちた木々に囲まれ明るかった登山道から、杉の茂る薄暗い登山道に変わり、視界も遮られるようになった。
36分
登山口から36分、林道との合流地点に着いた。
岩井堂峠から10分余りでここへ登ってくることもできる。
林道から来た方が歩くのには楽らしい
相変わらずのなだらかな登山道で、ゆっくりと登り坂が続いている。
一面の杉林のどこに落葉樹があるのだろうかと思えるほどに、足元は落ち葉が深く、その中に登山道を埋めながら登り坂を歩く。
ほどよい登り坂はペースが変わらずに歩きやすい。
尾根が細くなってくると虫倉山っぽい感じ
緩やかな登りからふたたび尾根上に出ると、枝の間から八ヶ岳や戸隠方面がチラチラと見える。
虫倉山らしく、登山道は細い尾根の上を進む。
細かにアップダウンを繰り返し、だんだんと近づいてきた高い峰は、きっと小虫倉だろうと想像ができる。
小虫倉を越えれば、いよいよ虫倉山山頂へ向かって核心部が近づいてくる。
小虫倉
55分
小虫倉の到着は、登山口から55分のところだった。
木々に囲まれて広く、腰を下ろすのにもちょうど良さげな場所。
十分な眺望はなく、おそらく葉が茂っている季節では見える物もないだろう。
虫倉山40分って・・・
傍らには大姥神社の祠が建ち、虫倉山を眺めるような方向を向いている。
虫倉山は高く、影になるところには前日までに降ったと思われる雪が薄く残っているのが見える。
標高の数字以上に高く見える山頂部と、これから向かう核心部に雪が残っているのではないかということ。
建てられている看板に見える「虫倉山へ40分」の文字が、まるで嘘のように思えるほど、小虫倉からの山頂の高さを感じた。
登ることはできると思うけれど、帰りにここを通るのが嫌だな
岩井堂コースの核心部
小虫倉から虫倉山へ。
山頂との間にある鞍部へと下りていく。
下りって帰りには登りになるということだよね
緩やかに登ってきた小虫倉までの登山道とは一変して急な斜面の下りで、あまりに一気に下りていくので、どこまで下りるのかと不安になってくる。
小虫倉から見えた山頂の高い印象はまだ濃く、この状態で大丈夫だろうかと不安を強くなっていく。
ようやく登り返しに差し掛かり、登ることができる安心感を持ったものの、薄く残っている雪、湿った落ち葉と土の滑りやすさに足元が安定しない。
登山道は急登を折り返しながら登るわけではなく、上に向かって直登するように続き、ようやく平坦な部分が見えたと思ったところは小さな峰だった。
特に足を休められるわけでもなく、小さな峰の先は急激に下る。
いきなり鎖の下りって。
高さ10mほどの急な下りを過ぎて再び登り返し。
そこはいよいよの核心部で、急登の細尾根に鎖が掛かったところだった。
柔らかな土の上に落ち葉が積もり登山靴が埋まって滑る。
眺めだけは良い
露出した岩や木の根に足を掛け、尾根の上に乗ると戸隠連峰と妙高が見渡せる。
ただし足元は崩落した状態で、場所によっては登山道下まで抉れるように崩れてしまっているのも見える。
足を乗せる場所にも注意をしなくてはと思いながらも、上を見ればさらに高い段差と急な斜面。
手を掛け足を高く上げながら鎖場を登り、ようやく核心部を過ぎたころには小虫倉は低く見え、周りにも高い峰は無くなっていた。
振り返って見たら、けっこう登ってて意外な感じはありがち
山頂が見えたときにはホッとする
葉が落ちきった木の間を縫いながら、緩やかになった登山道を進んで行くと、木々の間に山頂部が見えてきた。
崩落のため立ち入り禁止と書かれた看板と山頂を囲う鎖。
1時間28分ほどでの到着だった。
ほんとうの山頂はこの先でした。とかあるかと思った。
虫倉山山頂
1時間28分
雲が多くなってしまったものの、山頂からは期待通りの眺望。
すっかり白くなった北アルプスや、霞んで見える浅間山と志賀高原。
振り返って見れば戸隠と妙高山が間近に見える。
見慣れた感があるけれど、安心感もある
数週間前に訪れていたこと、今までに数回来ていたこともあり、すっかり見慣れたような景色で、見渡すことのできる遠い山々よりも眼下に見える集落の方が趣があるように思えた。
山頂には他に訪れるひともないようで、12月ながら雪のない景色を堪能できた。
下山
虫倉山山頂からの下山は、予定では岩井堂コースのピストンだった。
ただ登ってきた感触と登山道の様子を鑑みて、違う登山口へ下りて舗装路を戻った方が良さそうに感じた。
時間を考えるならピストンで戻ることが早く確実ではあったものの、連続した鎖場を下りることと、小虫倉への登り返しは、柔らかく湿った土では躊躇われた。
ロードになるけれど。
不動滝かさるすべりかという2択で、今回はさるすべりコースから虫倉神社へ下り、車道を岩井堂へ戻ることに。
不動滝から戻るよりも距離が短く、登山道自体も急斜面ではあるものの早く下りられる算段だった。
山頂からの立ち入り禁止の鎖に沿って、さるすべりコースへと下りると、いきなりの急斜面が続く。
岩井堂コースほどではないものの、こちらも難路といえ、特に山頂直下は急坂が続く。
初見で下りに使うのは辞めた方が良いと思う
鎖に沿いながら、段差を踏み外さないように注意をしながら下りる。
この急登や鎖場も長くはないことが分かっているので、今回の下りに選んだものの、もし初めてのコースであれば下りには使いたくないところだった。
鎖とか岩じゃないけれど、落ち葉も意外と転びそう
鎖場を下り、落ち葉の積もった急斜面へと変わっていく。
尾根からもう一度鎖場を下りると、岩壁を背後にして虫倉神社奥の院が建っている。
これから向かう登山口にある虫倉神社のもので、旧中条村を見下ろし、北アルプスを見渡すような方向を向いている。
特に装飾のない建物で、足元に枯葉の積もったところに、どこか趣があるように見えた。
ここまで来ると散歩みたいな感じ
虫倉神社奥の院からは歩きやすい登山道が続く。
まるで散歩道とも言えるような穏やかさで、5分ほどで不動滝へと続く分岐点に着いた。
虫倉神社へと進み杉林へ入っていくと、木々の間に建物が見えてきた。
虫倉神社を避けて登山道を下りることもできるが、今回は境内を突っ切って石段を下りた。
特に見たいものがあるというわけではなく、岩井堂から大姥神社、虫倉神社奥の院と、意図せず宗教建築を巡ったのでついでにというつもりだった。
石段もちょっと緊張感。
転びそうで。
虫倉神社を過ぎると登山口まですぐ。
山頂から30分ほどでの下山だった。
登山口からは岩井堂まで舗装の車道を歩く。
スマホの地図アプリでは約6キロ。
畦道や農道を使って2キロほどショートカットし、30分掛けて岩井堂登山口へと戻ることができた。
山村の長閑な風景を満喫した。。。
岩井堂まで遠かったけど。