薬師岳

2926m

日帰り北アルプス深部

折立登山口 2016年6月19日

薬師岳 登山(折立) (6月)|日帰りで登る北アルプス深部の山
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立山連峰の南に位置し標高2900mを越える薬師岳。
北アルプスでも奥深い地域に位置し、麓の立山町から有峰林道を通り折立の登山口へ向かう。
周辺には最も日帰りが難しいとされる黒部五郎岳や雲ノ平があり、向かい合うようにして裏銀座の山々が並ぶ。
古くから立山と並んで信仰を集めた山で、山頂部には薬師如来が祀られている。

太郎平の広い平原とそこから見上げる薬師岳の存在感は、北アルプス奥地ならではの景色。
北アルプス南部のような賑やかさを感じず、奥深くまで立ち入った山を楽しめる。
花が咲く季節でもあるので足元に注目するのも良い。

日帰りという行程を予定していたため、長いルートの中でどれだけ時間を巻いて歩くことができるのかを楽しむ目的にした。

梅雨の晴れ間ということで、決してスッキリと晴れ渡った天候では無かったものの、雨は降らない予報だった。
折立から太郎平へ向かう間では青空が広がり、雄大な景色を楽しめるほどの余裕がある天気だったが、山頂に近づくにつれて雲が広がり風が強くなった。
下山時の太郎平ではいよいよ雨が降り出し、折立までシトシトと降り続いた。

歩いたコース

登り
折立
下り
折立
最高標高
2926m
登山口標高
1365m
距離
20.62km
累積標高
1721m
1726m
平均斜度
9.5度
時季
2016年6月
天気
曇りのち雨
日程
日帰り
歩行ペース
登り3:54/下り2:26/合計6:28
平均の歩行速度
3.28km/h

この日のペース

  1. 折立
  2. 太郎平(2:12)
  3. 薬師岳(3:54)
  4. 太郎平
  5. 折立(6:28)

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山と高原地図 剱・立山
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20キロを超える距離と1600m近い高低差で、日帰りするには比較的難しい方の登山道だと思います。
梅雨の合間で晴れる日もそう多くは無く、都合で日帰りをしたかったのでがんばってみましたが、高低差のわりに距離が長いことで緩やかに登ることができた印象です。
とくに樹林帯を抜けてからは北アルプスの山並みを眺めながらノンビリと歩くことができ、山頂へ取り付く坂では、広大な山の雰囲気も味わうことができました。
山頂まで好天が続かなかったのが残念ですが、薬師岳は登り甲斐のある良い山でした。
ぜひ複数日程で登りたいです。

使った登山道具

持って行った水の量

折立から薬師岳への日帰り登山

北陸道立山ICから県道6号線を立山方面へと走り、亀谷温泉へ常願寺川を渡る。

立山町の亀谷温泉から折立へと続く有峰林道。
有峰ダムのある林道から入る。
朝6時のゲート解錠を待って進んで行く。
折立キャンプ場まではおよそ45分。
50台近くは車が停められそうな広い駐車場が作られている。
キレイにされたトイレと自動販売機が置かれた登山口から薬師岳へと向かう。

樹林帯に囲まれる序盤は勾配もきつく、急坂と平坦な場所を細かく繰り返しながら標高を上げていく。
振り返れば有峰のダム湖が木の間から見える。
登山道のまわりは植物が豊富で花も多く見られ、登っていく足元を楽しませてくれた。
登り始めて40分ほどのところでアニメキャラクターが書かれた「大好き薬師岳」の標識を過ぎた。

この辺りから段々と勾配が緩く変わっていく。
前方の木の間からは、遠くに平坦な台地が見え、あれが太郎平かと思わされる。

まだまだ序盤では薬師岳どころか太郎平も距離があり、樹林帯の隙間から見えるものはどれも遠い景色。

一時間と経たないほどで、だんだんと頭上が明るく空が見えるように変わってきた。
いよいよ森林限界を抜けるのかと思えるような雰囲気になるが、標高は2000mを越えたかどうか。
密集した木が数本も生えている株を横に通り過ぎると、一面が岩肌の斜面に差し掛かった。
一枚の岩がそのまま登山道になっているような印象で、ボロボロと崩れているところもある。
小石に気を配りながら登っていくと急に木々を抜けて視界が広がった。

ベンチが置かれているほど眺めの良いこの場所からは目指す薬師岳が見渡せ、遠くには立山や剱岳も見えた。
急な勾配の樹林帯を我慢して登ってきたのもここで気持ちが晴れるよう。
ここから僅かに下りると、再び樹林帯に戻っていく。

土だった足元は大きな石が目立つようになって崩れやすく歩きづらい。
この樹林帯もすぐに抜け、ダラダラとした石の勾配を登っていく。

周辺に背の高い木がなくなり、前方を見ても振り返っても眺めがよく、薬師岳を見上げたり有峰湖を見下ろす。
続いていく登山道の先には建物が見え、目指している太郎平小屋だと分かった。

太郎平周辺は歩きやすく登山道が整備された状態で足元に咲く花を見たり薬師岳を眺めたりと、楽しみながら歩いていける。
遠くに見えていた太郎平小屋も気が付けばすぐ間近になっていた。

太郎平から薬師岳へ

折立から太郎平まで2時間12分。
片道10キロを越える行程の中で8キロほど通過した。
標高も約2330mと残すところ600mあまり。
高く聳える薬師岳に火なり近づいてきた感があった。
周囲を見渡すと鷲羽岳や三俣蓮華岳などの山々と雪形が残る。
山頂部の割れた水晶岳が印象深く、木道を進んで行くことで見えてくる槍ヶ岳にテンションが上がった。

太郎平の木道は緩やかな登り坂。
薬師峠の手前で一気に下り、峠に差し掛かったところではテン場と最終の水場がある。
沢が流れる薬師峠からは再び樹林帯へと入っていく。
この登山道上で難度の高い場所といえば薬師峠のガレ場で、全体的に長く平坦なルートであってもここだけは気をつけて登りたいところ。
雪解け水が流れて沢のようになっている岩の急坂をマーキングに沿って登っていく。
足元ばかりを見ているとマーキングと違う岩場へ入っていきそうで、しっかり前方を見ながら岩場を抜けた。

登り切ったところでは沢の元になっていたと思われる雪が多く残っていた。
雪の端を踏みしめながら冷たい空気を楽しむ。

    残雪を過ぎて登っていくと木道の脇に1963年に起きた愛知大学の遭難を悼むケルンがあった。
    振り返ると太郎平を見下ろすほどの高さまで登っていて、山頂もいつの間にか近い。
    長く雪渓のように残っている雪を踏んでいくと、薬師岳山荘まで15分の看板を過ぎた。
    太郎平の手前から眺めたときには、肩に建っている小屋が遠く小さく見えていたものが、すぐ近くにあると思うと感慨深い。

    オープン前の薬師岳小屋のすぐ前を通っていくと、山頂はますます近くに見えた。
    この辺りからは遮る物が無い稜線で、風も強くなり体感温度も下がってくる。
    左側の斜面を見ると遠く立山町が白く霞んで見える。

    足元は細かな礫の登山道で、足を置くとジャリジャリと崩れていく。
    細かく折り返しながら徐々に山頂に近づいて行く。
    山頂の手前に見えるピークには岩でできた小さな避難小屋があり、ピークを巻くように登山道が続いていく。

    稜線上は一気に眺望が広がり、黒四ダム周辺の山々や、裏銀座、すぐ近くの赤牛岳が存在感がある。
    山頂へと続いていく緩やかな稜線はガレガレの岩場。
    近づいていくと山頂に建つ薬師如来が見えてくる。

    薬師岳山頂

    登山口から3時間54分。
    2,926mの薬師岳の山頂に到着した。周辺の山々を一望でき、槍ヶ岳やその周辺の山々、立山や剱岳を見渡すことができた。
    山頂に建つ祠は、中に金色に輝く仏像が祀られていた。
    太郎平は遥か下に見え、登山道が続いていく様子を見下ろすとここから先に歩きたい気持ちを掻き立てられる。
    風が強く雲も多かったため、山頂では長居をせずに早めの下山。
    登ってきたのと同じ登山道をピストンで折立へと向かった。

薬師岳へと向かう太郎平の眺め

薬師岳へと向かう太郎平の眺め

北アルプス薬師岳へと向かう主要な登山口として、富山県の折立があります。
薬師岳や黒部五郎岳などの北アルプス最奥部へと続く登山口で、長い長い距離を歩いて行きます。

長い登山道なので、目的の山頂に至るまでにも山小屋がいくつかあり、太郎平も山小屋が建つ地点のひとつです。
折立からは最も近い山小屋で、薬師岳を見上げる立地と、遠くに槍ヶ岳、水晶岳などの峰々を望むことができます。

折立から歩いてくると、緩やかな登りに広々とした丘のような土地が見えます。
ここからは遠く大きく見える薬師岳。
あの山頂に立つにはまだ長い時間が掛かるのではないかと思えるほど大きく、太郎平は遠くまで広がっています。
登山道の脇には山小屋までの距離を示す標も立っていますが、それがなかなかに近づいてきません。
折立からここまででもそれなりの距離と高低差を歩いているので、山小屋が待ち遠しく、一度リュックを下ろして休みたいと思える場所です。

黒部五郎岳は北アルプスでも最も日帰りが難しいと言われる山です。
くわえて薬師岳も日帰りを行う人は多いですが、北アルプスの絶景と距離や高低差を考えたら、ジックリと行程を組みたい山です。

できることならば新穂高から折立へと歩き抜けたいと思うところです。

下山後に立ち寄った温泉

亀谷温泉 白樺ハイツ

折立へと続く有峰林道の入口にある亀谷温泉。その林道入口近くになる国民宿舎。宿泊も可能で休日には温泉で賑わう。富山駅前からの送迎バスもあり、立山町の奥地の立地でも訪れやすい。アルカリ性の透明なお湯は関節痛や疲労回復にも効果があるとされている。

入口から少し離れたところに浴室がありました。山をたっぷりと歩いたあとでは、長い廊下と階段がちょっと辛いですが温泉は浸かりやすい温度で気持ちが良いです。少しトロミがあるようなお湯で硫黄の匂いはありません。内湯と、屋根の掛かった露天風呂で、どちらもノンビリとお湯を楽しめました。

お世話になった山小屋

太郎平小屋

標高2330mの太郎平にある山小屋。
師岳や黒部五郎岳への分岐点上にあり、小屋の前からは北アルプスの広大な景色を楽しむことができる。
幕営は100張り可能。

折立から薬師岳へと向かうルート上にあって、休憩場所にちょうどいいところでした。
眺めも良く宿泊もできるとなれば、ここを起点に北アルプスの山々にチャレンジしたいところです。雲
ノ平までは3時間ほど。薬師岳へは2時間ほど。折立から槍ヶ岳方面へと向かって歩いて行くのを夢見てしまう素敵な場所です。

周辺の山

同じ時季に登った山