明覚山と坂田山の縦走へ
須坂市の東側の景色を形作る象徴的な坂田山。
坂田山からさらに標高の高い群馬県境へ向かって尾根を繋いでいく。
明覚山は坂田山から30分ほど。
高低差も大きくはなく、里山の日帰り縦走もしやすい。
明覚山まで全部のピークを踏んでみようかと思って。
明覚山へ向かう駐車場は、尾根の先端部にあたる鎌田山の麓にある。
ドブと呼ばれる池があり、10台ほどの車が停めることができる。
駐車場のそばには須坂市の文化財に指定されている吉向焼窯跡があり、近所にある保育園の園児達が散歩をしているところをよく見かける。
最初のピーク鎌田山
駐車場から未舗装の遊歩道歩き、鎌田山を巻くようにして松の木漏れ日の小径へ。
緑に囲まれた歩きやすい坂道が始まる。
登り始めてすぐに臥竜山や田中本家が見えて街の眺めが良い。
明覚山から続く尾根にあるひとつずつのピークを越えていくコースで、最初のピークは神田山。
神田山を越えて緩やかに登ってすぐに鎌田山へ到着。
ここまで8分ほど。
厚い樹林帯が続く中で、もっとも見晴らしが良いと言えるピークで、北信地域にある山々が見渡せ、雲が少ない日には北アルプスまで一望できる。
街からの高低差と距離を思えば、公園の丘の上にでも登るような印象でやってくることのできる鎌田山は、このエリアのベストビューポイントともいえる。
ちょっと雲が多かったのが残念
鎌田山を下りて和合峠へ
鎌田山を通過していったん坂を下る。
木々の間から小布施町などの北側の眺めがチラリと見え、5分とかからずに和合峠へ出た。
未舗装ながらも車が通れるほどの幅がある和合峠。
ここから坂田山への縦走路へ入るか、未舗装路を通るかの分岐になる。
どちらを通ってもすぐに合流するため時間的にも大きな差はできないが、せっかくピークを踏んでいくコースなので迷わずに縦走路へ入る。
鎌田山の次のピーク、桃山を通過。
こちらもこんもりとした丘のようで、名前が掲げられていなければ気付くこともなさそうなほどだった。
15分ぐらい歩いてジンワリ汗をかいた。
大丈夫か。。。?
和合峠口から坂田山へ
桃山から下りると再び未舗装路と合流した。
ここまで登山開始から15分ほど。
周りを囲む緑も徐々に深くなり坂田山へ近づいて行く。
山の周囲に張られた電柵のゲートを開け、さらに登山道へと入っていくと、それまでの丘を越えるような穏やかさから、急登が連続するように変わった。
ところどころに、登山道の様子を示した掲示板や標が立てられていた。
中には熊避けの鈴が掛けられたものもみられる。
急な登り坂と、緩やかな斜面とを繰り返していく。
足元には落ち葉が積もった柔らかな土でもろく、足を滑らせやすいようなところもあった。
膝に優しい柔らかな土も、指に力を込めて登るには厳しい。
ちょっと急登が厳しいかも。
40分ほどで古城跡に着いた。
古城跡はこのコースの象徴的なもののひとつ。
建てられていた看板には、標高678mほどで戦国時代の支城のひとつであろうと書かれていた。
北側の麓には古城温泉があり、そう大きな規模の城ではなくてもこのあたりを代表的なもののように思える。
古城跡までは・・・とチェックポイントのようにも思ってた
古城跡を過ぎてからも登山道の様子は変わらず、急斜面と緩斜面を繰り返して標高を上げていく。
8分ほど登って着いた大谷山は、登山道上に「景色が良い」と案内されていたピークのひとつ。
茂っている木々の間から街が見える。
木々が茂った細い尾根状になっているピークで、行動範囲が狭く緑が多いせいか「景色が良い」という印象は受けなかった。
ただ風が吹き込むため快適な場所だった。
期待したほどじゃない。正直なところ。
大谷山を過ぎると、左側には明覚山の山頂が見えてくる。
木々の間にチラリと見える程度でも、確実に山頂の高さに近づいたことが感じられる。
ただ登山道は大きく右へと巻いているため、距離的にはなかなかに近づかない。
尾根づたいに柏木平の峰へ登り、いったん下って登り返す。
坂田山へ続く3つの鎖場のひとつで、明覚山への縦走路では核心部といえる。
歩きやすく整備され鎖とロープが張られているため足元も手元もしっかりしていた。
ただ見た目に岩の細尾根で、それまでの穏やかさと比べて緊張感が高く思える。
段差も高く、もうじき坂田山の山頂に着くとはいえ、ここでの腿上げはなかなかに厳しい。
久しぶりの鎖はキツい
3つのうち2つの鎖場を過ぎると、右側の景色が開けた。
木々が伐採されて開けた眺望。
すぐそこにある坂田山の山頂へ鎖場が続いていく。
登山口からは1時間10分ほどだった。
着いた
坂田山山頂
坂田山は須坂市のどこからでも眺められるような位置にあり、山頂からは街が一望できる。
雲が多かったため遠くの眺望は無かったが、すっきりと晴れていれば後立山が見渡せる。
小さな祠が西向きに置かれ、登山道は明覚山へと続くコースと、麓の天徳寺へと下りるコースへと分岐している。
こんなに下りたっけ・・・
明覚山へ向けて、いったん坂田山を下りる。
下り坂はところどころに岩が露出し、細い尾根の左右には緑が深く続いていく。
この高さまで登った坂田山を下り明覚山へと登り返すと思うと、惜しいという気持ちが積もる気持ちが募る。
高低差の少ない里山とはいえ、アップダウンを繰り返して登っていくのは、道半ばの坂田山まででもキツかった。
明覚山への登山道
坂田山から明覚山へも、それまでの登山道のようにピークを繰り返して山頂へと近づいて行く。
周囲には盛りの過ぎたツツジが、色褪せた状態で残っているのが見え、こちらもピークの時季に見たかったと思えた。
山頂部への眺望が全くないことや、そもそも山頂が木々に覆われていることもあり、いったいいくつのピークを越えたら明覚山へ着くのかと、登り坂を越えるたびに気持ちが浮き沈みする。
この坂の先が山頂なはずと、登り切った先には下り坂が見え、いったいいくつの悪態をついたのかも分からない。
アレが山頂か!と言って違うパターン。
気分を落ち着けて周りを見渡せば、梅雨前の柔らかな緑が美しく、陽の光に透ける葉脈にも目を奪われる。
ただ腿を上げているときには、そこまでの余裕もなかった。
明覚山から20分ほど登り下りを繰り返したところで三角点を見つけた。
遠目に見て、山頂に着いたと思い、近づいて見ると「あと10分」の文字。
どこまでも近づかない山頂だった。
アレが山頂か!
三角点があったピークを下りて、緩やかな登り坂と巨岩が目の前に見えてきた。
岩の間をすり抜けるようにして登り、緩斜面を過ぎると小さなピークが見えてきた。
何度も山頂かと思ってきたピークが終わり、ようやく本物の山頂だった。
明覚山山頂
鎌田山から山へ入り1時間36分。
時間や高低差などの数字以上の疲労を感じながらの到着だった。
やっと・・・・
案の定、眺望は無い。
目を凝らせば、葉の間に麓の集落が見える程度。
山頂に建てられた祠は集落の方を向き、足元は転げ落ちそうなほどの急斜面が下まで続いていた。
セミなどの虫の声が大きく響くなかで腰を下ろしてしばらく休み下山することにした。
景色が見たいわけじゃなくて、ただココに来たかった
下山
明覚山を下りるコースは、山頂からさらに進んで峠の林道へ出るということも選択肢にはあった。
高山村か豊丘地区へと下りるコースで、どちらにしてもそこから鎌田山へ戻るにはロードを長く歩く必要がある。
今回は明覚山から坂田山へ戻り、坂田山からは天徳寺へ下りると計画でいた。
早く街に下りたい気もしてた
山頂で休憩を取ったからか登ることに慣れたのか、坂田山へと戻るアップダウンは簡単で、足取りも軽く下りて登り返す。
30分ほど掛けて登ってきた坂田山と明覚山の間は下山では20分ほど。
坂田山まで戻ってすっかり陽が高くなった街を見下ろした。
山頂から左手側へと進み天徳寺方面へ。
あれ。意外と楽じゃない?
鎌田山からの登山道に比べて斜面がなだらかで、危険な場所も無く歩きやすい。
ツツジもこちら側の方が多かった。
緩やかな登りと下りを繰り返し、斜面を折り返しながら山を囲む電柵まで下りてきた。
登山口には寺があり、境内を過ぎて石段を下りると、ようやく街に戻ってきた。
前回から体を動かさない時間が長すぎたように思う