折立から薬師岳への日帰り登山
北陸道立山ICから県道6号線を立山方面へと走り、亀谷温泉へ常願寺川を渡る。
立山町の亀谷温泉から折立へと続く有峰林道。
有峰ダムのある林道から入る。
朝6時のゲート解錠を待って進んで行く。
折立キャンプ場まではおよそ45分。
50台近くは車が停められそうな広い駐車場が作られている。
キレイにされたトイレと自動販売機が置かれた登山口から薬師岳へと向かう。
樹林帯に囲まれる序盤は勾配もきつく、急坂と平坦な場所を細かく繰り返しながら標高を上げていく。
振り返れば有峰のダム湖が木の間から見える。
登山道のまわりは植物が豊富で花も多く見られ、登っていく足元を楽しませてくれた。
登り始めて40分ほどのところでアニメキャラクターが書かれた「大好き薬師岳」の標識を過ぎた。
この辺りから段々と勾配が緩く変わっていく。
前方の木の間からは、遠くに平坦な台地が見え、あれが太郎平かと思わされる。
まだまだ序盤では薬師岳どころか太郎平も距離があり、樹林帯の隙間から見えるものはどれも遠い景色。
一時間と経たないほどで、だんだんと頭上が明るく空が見えるように変わってきた。
いよいよ森林限界を抜けるのかと思えるような雰囲気になるが、標高は2000mを越えたかどうか。
密集した木が数本も生えている株を横に通り過ぎると、一面が岩肌の斜面に差し掛かった。
一枚の岩がそのまま登山道になっているような印象で、ボロボロと崩れているところもある。
小石に気を配りながら登っていくと急に木々を抜けて視界が広がった。
ベンチが置かれているほど眺めの良いこの場所からは目指す薬師岳が見渡せ、遠くには立山や剱岳も見えた。
急な勾配の樹林帯を我慢して登ってきたのもここで気持ちが晴れるよう。
ここから僅かに下りると、再び樹林帯に戻っていく。
土だった足元は大きな石が目立つようになって崩れやすく歩きづらい。
この樹林帯もすぐに抜け、ダラダラとした石の勾配を登っていく。
周辺に背の高い木がなくなり、前方を見ても振り返っても眺めがよく、薬師岳を見上げたり有峰湖を見下ろす。
続いていく登山道の先には建物が見え、目指している太郎平小屋だと分かった。
太郎平周辺は歩きやすく登山道が整備された状態で足元に咲く花を見たり薬師岳を眺めたりと、楽しみながら歩いていける。
遠くに見えていた太郎平小屋も気が付けばすぐ間近になっていた。
太郎平から薬師岳へ
折立から太郎平まで2時間12分。
片道10キロを越える行程の中で8キロほど通過した。
標高も約2330mと残すところ600mあまり。
高く聳える薬師岳に火なり近づいてきた感があった。
周囲を見渡すと鷲羽岳や三俣蓮華岳などの山々と雪形が残る。
山頂部の割れた水晶岳が印象深く、木道を進んで行くことで見えてくる槍ヶ岳にテンションが上がった。
太郎平の木道は緩やかな登り坂。
薬師峠の手前で一気に下り、峠に差し掛かったところではテン場と最終の水場がある。
沢が流れる薬師峠からは再び樹林帯へと入っていく。
この登山道上で難度の高い場所といえば薬師峠のガレ場で、全体的に長く平坦なルートであってもここだけは気をつけて登りたいところ。
雪解け水が流れて沢のようになっている岩の急坂をマーキングに沿って登っていく。
足元ばかりを見ているとマーキングと違う岩場へ入っていきそうで、しっかり前方を見ながら岩場を抜けた。
登り切ったところでは沢の元になっていたと思われる雪が多く残っていた。
雪の端を踏みしめながら冷たい空気を楽しむ。
残雪を過ぎて登っていくと木道の脇に1963年に起きた愛知大学の遭難を悼むケルンがあった。
振り返ると太郎平を見下ろすほどの高さまで登っていて、山頂もいつの間にか近い。
長く雪渓のように残っている雪を踏んでいくと、薬師岳山荘まで15分の看板を過ぎた。
太郎平の手前から眺めたときには、肩に建っている小屋が遠く小さく見えていたものが、すぐ近くにあると思うと感慨深い。
オープン前の薬師岳小屋のすぐ前を通っていくと、山頂はますます近くに見えた。
この辺りからは遮る物が無い稜線で、風も強くなり体感温度も下がってくる。
左側の斜面を見ると遠く立山町が白く霞んで見える。
足元は細かな礫の登山道で、足を置くとジャリジャリと崩れていく。
細かく折り返しながら徐々に山頂に近づいて行く。
山頂の手前に見えるピークには岩でできた小さな避難小屋があり、ピークを巻くように登山道が続いていく。
稜線上は一気に眺望が広がり、黒四ダム周辺の山々や、裏銀座、すぐ近くの赤牛岳が存在感がある。
山頂へと続いていく緩やかな稜線はガレガレの岩場。
近づいていくと山頂に建つ薬師如来が見えてくる。
薬師岳山頂
登山口から3時間54分。
2,926mの薬師岳の山頂に到着した。周辺の山々を一望でき、槍ヶ岳やその周辺の山々、立山や剱岳を見渡すことができた。
山頂に建つ祠は、中に金色に輝く仏像が祀られていた。
太郎平は遥か下に見え、登山道が続いていく様子を見下ろすとここから先に歩きたい気持ちを掻き立てられる。
風が強く雲も多かったため、山頂では長居をせずに早めの下山。
登ってきたのと同じ登山道をピストンで折立へと向かった。