斑尾から峠を挟む袴岳
斑尾山の山頂から北へ。
信越トレイルのコース上に位置する袴岳。
斑尾山頂を起点にしてゲレンデを下り万坂峠。
袴湿原からふたつの峰を越えるて袴岳へと至る。
前峰、中峰、袴岳と連なり、どの峰も急登と平坦な山頂部という形状をしている。
信越トレイルのコース上ということで整備が行き届いている点、近くまで車道がある点、高低差や距離が少ない点など、マイナー山でありながら立ち入りやすく歩きやすい。
コースによっては斑尾山へ登るよりも、袴岳のほうが手軽で眺望も得やすいかもしれない。
主なコースは、万坂峠や赤池からの信越トレイルから入るもの。
そのほかに中継地点といえる県道から入る。
特に冬季は万坂峠か、県道かの2択が多いようで、車で訪れた場合、間近に駐車ができる県道のほうが便利だ。
県道から袴岳へ向かう
案内板が立つ県道の空きスペース。
無雪期なら乗用車が5台ほど停められ、ここから遊歩道のような登山道が続く。
地図では登山口として掲載されていないものの、確かに道があり、袴岳へ向かうことができる。
連日の暖かさで踏み跡が消え、向かう方向がはっきりと見えない斜面へ足を踏み込む。
先行しているスキーヤーが何人かいるようで、腐った雪の上に当日のものなのか前日のものなのかというような跡が残っている。
斜面からは斑尾山の樹林帯と、飯山の市街地が見下ろせる。
すぐ近くに車が走る道路があるというのも安心感がある。
10分ほど登ったところで登り坂は緩やかな下りに変わった。
右方向へ続く道のような地形が見えるが、スキーで滑った跡が真っ直ぐに続いている。
真っ直ぐに続くその方向にも道のような地形が見える。
登山道に見える場所を歩くのかスキーの跡を歩くのか考えつつ、踏んだ跡の方が足が埋まらないだろうと思い、そのままスキーに沿って歩いていく。
緩く下ってる感じだけど帰りは登りになるとダルそう
登山道から離れているせいか、雪の上でも小さな段差がいくつかあり、踏み跡から外れると足首ほどまで埋まる。
スキーでも踏み跡に沿うと、埋まるのは踝ほど。
ザクザクに解けた雪は重く少しでも埋まるのが防げると楽だった。
土手のような斜面にできた細い段差。
無雪期なら登山道になっていると思われる場所に戻る。
雪の重み折れ曲がった枝が邪魔をしているのを跨ぎつつ歩いていく。
両側がこんもりと高くなっている間を通ると池が見えてきた。
梅雨を迎えたころ、この池から北側の湿原ではワタスゲが咲く。
その湿原も地塘のような大きさのものは無いらしく、おそらく泥地のようになっているのだろう。
池を巻くと山頂と万坂峠との分岐に着いた。
県道から登り始めて19分ほど。
建っている標は山頂を指し、その方向を見ると雪の斜面を登っていくのが見える。
登るの大変そう
10mほどの杉林を抜けると、陽当たりの良い斜面が続いていく。
斜面を登るためにつま先を雪に差し込んだ。
シャリシャリと雪を踏む音が小さく聞こえるくらいに、小鳥の声がまわりで大きく聞こえてくる。
落ち着かずに枝と枝を渡っている野鳥が視界に入った。
足を留めて眺めているとシジュウカラのようだった。
木々はまばらで、葉や草が茂っていないおかげか、周囲の見晴らしが良い。
北に見えるのは、おそらく妙高高原。
街や車道が近いとはいえ、山々が連なって見えると山の深さを感じる。
斑尾や飯山市方面を見るには標高が足りない様子だった。
前峰
5分ほどで斜面を登ると平坦になった。
登りとも下りともいえない窪みと盛り上がった地面が広がる。
木々は疎らで、右側に見える少し高い峰がおそらく袴岳。
下山してから知ったのは、少し登って着いた平坦な峰が「前峰」といい、袴岳に向かうには次に「中峰」へ登って下りるのだという。
事前に地形図を見て、登ったり下りたりすることは頭に入っていたが、名前のある峰だとは思ってもいなかった。
夏季にここを訪れて同じように眺望が得られるかは分からないが、葉の落ちた積雪期、南側には斑尾山が見えた。
距離的に遠い場所ではないはずが、ここから見ると意外なほど距離を感じる。
万坂峠を挟んでいるだけなのに
ただ、前峰の下りに差し掛かったころ、タングラムからゲレンデの気配が伝わってきた。
スノーボードが斜面を削る音、リフトが揺れる音が間近に聞こえた。
きっと前峰の南面を下りればゲレンデの前に出るのだろう。
おそらく登山道であろう場所は陽当たりが良く、地面が露出していた。
正しい道の上を歩こうとすると、枝が張りだしていたり斜面の際だったりで歩きづらい。
まだ雪の残る尾根の真ん中を選び、次の中峰へ向かって鞍部に向かう。
深い雪で登山道は見えないまま、ただ木が開けていることと地形は分かることで山頂の方向は確か。
ただ見上げる斜面は、なかなかに角度がキツい。
登った先の青空が見えているので、高低差は大きくないことは察することができるが、そうはいっても高い。
序盤から追っていたスキーの踏み跡は、雪解けで薄くなりつつも見えていたため、そこから大きく外れることがないように地形に沿って登っていく。
中峰
前峰から中峰の斜面にかけて、鳥の鳴き声がひときわ大きく聞こえる。
だからといって姿は間近に見えず、羽ばたいて遠ざかっていく影ばかり。
暖かな斜面を、鳥を追って下りていくのも楽しそうだと思いつつ、現実にはキツい斜面を登っていく。
坂タイヘンだった
県道から47分ほど経って、中峰に到着した。
特になにかの目印があるわけではなく、ただ前峰と同じように平坦な形状をしている。
前峰ほど広くはなく、すぐに袴岳への鞍部へ下りていく。
下り始めると、袴岳の本体が大きく見え、どこを登っても山頂へ着きそうな印象だった。
ただ沢があるのか、いくつかの窪みがあり、雪を踏み抜いて泥の中に足をツッコみそうで、歩く場所を選びながら鞍部へ下りた。
一番低いところへ下りると、そのまま急な斜面を直登している足跡が見えた。
見るからに地形は左へ巻いて登った方が楽そうに見える。
直登しても山頂に着くのだろうが、同じ山頂へ向かうのなら楽な方が良い。
少し左へ登って、頃合いを見て右へ戻っていく感じで登ろうと決めた
袴岳
木々の間を縫って斜面を登っていく。
先は明るく雰囲気では山頂が近い。
どこを歩いても、高い方へ行けば山頂には着きそうなので、できるだけ木の間を真っ直ぐに抜けられそうな場所を選んだ。
県道から1時間2分。
袴岳の山頂に着いた。
広い山頂部は、どこを山頂といっても良さそうなほど。
西にある妙高山への眺望が開けているところに山頂標が建っていた。
スキーの踏み跡は、先行していた一行がいたようで、何人かがくつろいでいた。
間近に見える妙高山と黒姫山。
袴岳に来て楽しめる眺望ではあるものの、ここまで近く見えるのならすぐ近くにある木が邪魔で、もう少しよく見せて欲しい。
欲が出る
眺望があるのはこの方向だけ。
他には見えるものもなく、むしろ登山道のブナ林のほうが見どころとしては良い印象だった。
下山
袴岳からの下山は登ってきた道を折り返す。
赤池へ向かうのも良さそうだと思いつつ、それは登山道が明瞭な無雪期にしておこう。
登り返しを繰り返した斜面も下山は早く、中峰、前峰とすぐに戻ることができた。
登り返しが苦労すると思ってたのだけどそうでもなかった
万坂峠との分岐点までは山頂から27分ほど。
弛んでいた雪は、さらに柔らかくなっていた。
ここからは県道へ向かって緩やかな登りに変わる。
池の端を過ぎ、土手のような間を通って県道へ近づいて行く。
登りでは前峰付近で見られた野鳥が、このあたりへ移動してきたようで、たくさんの声が聞こえる。
ふと木の根から飛び出した影が見えた。
ヒタキ系のサイズで、尾がピンと立ち上がっている。
雪の逆光で影になってしまいはっきりと色を見ることができないものの、なんとなく明るい橙色のように見える。
「ヤマガラか?」と思って様子を伺っていたが、尾の形はヤマガラではない。
近づいて見ようとしたら、10mほど離れた木の根元に飛び立ってしまった。
さらにそれを追うと、遠い斜面へと飛んでいった。
その様子を見ていても、色はやはり橙のようで、尾が立っているように見えた。
コマドリじゃないか?と
鳥はあきらめて県道へ向かう。
袴岳の山頂から42分ほど。
登り始めた場所へ戻ってきた。
