天狗岳を渋の湯から登る奥蓼科登山道
スタート地点の渋御殿湯へは乾いた雪の積もった幅員の狭い道路を通る。
標高1800mを越える渋の湯は、登山口から霧氷を見ることができた。
渋御殿湯では最初に駐車料金を払い、駐車場に車を停めさせてもらう。
駐車料金は1台1,000円。
20台ほどの車を停めることができる。
人気の山だしけっこうギリギリ
渋御殿湯の前を通り、川を越えて登山道へと入っていく。
サラサラの雪が積もり、なかなかに歩きづらい。
右へ左へと折り返す序盤の坂が、黒百合平まで続く行程の中では最も斜面が急な地点。
木に囲まれて陽も当たりづらい。
昨日までの雪がパラパラと上から落ちてくる。
冬の登山道らしい風景に囲まれて歩くのは気持ちが良い。
唐沢鉱泉からの合流地点
登り始めて30分ほどで唐沢鉱泉からの合流地点に到着。
渋の湯からはたくさんの足跡に踏みしめられているものの、唐沢鉱泉側には1つの足跡も無い。
かろうじて足を踏み入れたであろう跡が見えるのみ。
道しるべの通り黒百合平方面へ。
あっちから来る人は少ないのかな
序盤の急勾配は、だんだんと緩やかな登りに変わって歩きやすくなった。
さらに20分ほど歩くと、再び唐沢鉱泉との合流地点。
唐沢鉱泉からの足跡はさらに深く埋まって人の歩いた気配はどこにも無かった。
やがて周りを囲む木々が薄くなり、ところどころで青空が覗き景色も変わっていく。
左側に見える斜面には背の高い木がなく、高度が上がってきたことを感じる。
右側に大きな尾根が見えるようになってくると、林が開け黒百合平に到着した。
渋の湯から約1時間40分ほどでの到着だった。
もう???
黒百合平に到着
黒百合ヒュッテは通年営業している山小屋。
平らで木に囲まれているとはいえ、この時季でも気温は氷点下。
屋根にソーラーパネルを付けた板壁の建物は落ち着く。
外にはベンチが置かれ休憩もできる。
黒百合平からは5分ほどで中山峠に到着。
白駒池からの合流地点で、標高は2,410m。
中山峠の分岐を天狗岳方面へ進むと林の隙間から東峰が覗く。
急な斜面と険しい岩肌は硫黄岳の爆裂火山跡を思わせる。
ほどなくして急な斜面にさしかかり、駆け上がるように登ると、いよいよ森林限界に到達。
木に覆われていた視界は一気に開け、冷たくて痛い風が吹く。
目の前には天狗岳の2つの峰が見えた。
おお。。。
東天狗岳へ
登山道の右側は雪原が広がり、左は切れ落ちた斜面、振り返れば北アルプスと北八ヶ岳が並ぶ。
大きく開けた視界は歩みを進めると、一度背の低い林の中に入り、もう一度木の中から出たときには急な雪の斜面が待っていた。
ガリガリに締まった雪。アイゼンの爪が刺さる感触が気持ちが良い。
滑り落ちないように足裏に力を込め、アイゼンを刺しながら慎重に登る。
目指す先には東峰の険しい岩肌。
雪の下から伸びている木の枝には氷が凍みついている。
黒百合ヒュッテから約1時間。東天狗岳に到着した。
これまで登ってきた斜面以上に冷たい風が強く吹く。
こっちが山頂みたいな佇まい
南八ヶ岳との境に近いせいか、硫黄岳を歩く人影も見える。
遠く東を眺めると、浅間山の隣にうっすらと赤城山が見えた。
360度が見渡せる絶景の地点だった。
標高の高いあっちへ行こう
山頂の西天狗岳へは、いったん鞍部へと下りる。
15分で西天狗岳へ着く予定ではいたが、東峰から見下ろす鞍部は遠く低い。
西天狗岳にいる人影も小さく遠く見える。
予定よりも時間が掛かるかもしれないつもりで、雪の凍みついた西側の斜面を下りた。
北八ヶ岳最高峰の西天狗岳へ登る
低く見えていた鞍部は、下りてみると思っていたほどの距離は無く、下から東天狗岳を見上げると感じていたよりも近い。
次は西天狗岳に向かって登る。
東側の斜面にあたる登山ルートは雪が深く、新雪のようにフカフカに埋まる。
先に歩いたトレースはあるが、場所によっては足が取られて歩きづらい。
東天狗岳のような険しい岩の斜面では無く、丸みを帯びた柔らかな斜面だった。
東天狗岳から西天狗岳へは20分ほど。
ほぼ予定していた時間で到着できた。
西天狗岳は東峰よりも広く、風も弱く感じた。
若干、西側へ寄ったので、山頂からは赤岳や阿弥陀岳がよく見える。
眼下には根石岳と雪に埋まった根石山荘が見える。
行程が想像できなくて、すっごくいろいろな準備したけれど、思っていたよりは簡単に着くことができて、しかも眺めが良くて。
天狗岳から下山
山頂は風が冷たく強いので、景色を楽しんだあとは黒百合ヒュッテへ戻って休憩をすることに。
登りに1時間かけたルートは下りは40分ほど。
穏やかな天候のせいか、締まっていた雪は少し緩んだようだった。
黒百合ヒュッテから渋の湯へは1時間足らずで下山した。