霧氷に覆われた最長の登山道

独鈷山

1266m

沢山湖コース 2018年3月6日

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険しい岩峰が並ぶ独鈷山。
北側の塩田平からの見上げる山容は信仰の山に相応しい存在感で、上田市のどこからでもその姿が分かるような出で立ちをしている。
東西南北に複数の登山道があり、比較的歩きやすい南側の登山道から、信州の妙義山と呼ばれるに相応しい登攀技術が必要なバリエーションルートまで幅広いルートがある。

沢山湖からの登山道は独鈷山の西側に位置し、大きく巻くようにして稜線を進み山頂へと至る。
序盤の急登や、中盤からの稜線歩きがこの登山道の特徴で、西前山の登山口からも遠くないため、周回ルートとしても使用されることがある。

何気にどこから登ろうか迷う

沢山湖からの独鈷山登山

気温の高い日が続き、独鈷山を覆っていた雪や氷もかなり溶け、地面にはたくさんの水分が含まれていた。
そのためか朝晩には霧や雲に覆われるようで、気温が下がると標高の高い部分では霧氷が発生する。
気温が高すぎなければ稜線上で霧氷が楽しめ、春らしい陽気の中で独鈷山の登山を楽しめる。

歩いたコース

登り
沢山湖
下り
沢山湖
最高標高
1266m
登山口標高
603m
距離
5.74km
累積標高
678m
691m
平均斜度
13.4度
時季
2018年3月
天気
曇り
日程
日帰り
水の量
水900ml
歩いた時間
登り1:27/下り0:48/合計2:15
平均した歩行速度
2.55km/h

この日のペース

  1. 沢山湖登山口
  2. 独鈷山 山頂(1:27)
  3. 沢山湖登山口(2:15)

数多くある独鈷山の登山道の中でも中レベルかなと思います。
歩きやすい宮沢や前山からの登山道に比べて、急登の勾配がキツく、高度感のある稜線上を歩くルートになります。
雪が残り凍結しているこの季節ではちょっと気をつける必要があると感じました。
また登山道上のテープも不鮮明な箇所があるため、事前にコースのチェックはしておきたいところです。
里から近い山とはいえ、崖のような峰が続く急登の山なので、登山道から外れるのも避けたいです。
今回は運良く霧氷に覆われた稜線上を歩くことができて良かったです。
1000mを越える標高の場所では、多く霧氷が発生していたようで、周囲の山々も線を引いたように白くなっていました。
また沢山湖から歩くことがあったら、次回は夏季などの完全な無雪期にしたいと思います。

使った登山道具

稜線を歩く独鈷山沢山湖コース

塩田平の前山から独鈷山を巻くようにして沢山湖へ。
沢山湖の登山口は独鈷山の東側に位置している。
別所温泉への入口から前山方面へと進み、左手に独鈷山を見ながら沢山湖の畔を進んで行く。
池の形に沿って狭い道路を進み、堰堤の脇にあるスペースに車を停めた。
沢山湖の水を堰き止めている堰堤の横に5台ほどの車が停められるスペースがあり、そこから登山口まで5分ほど車道を歩く。
準備を整えて登山口までは約5分、堰堤の上を渡ると、登山口までは崖崩れのために通行止めという看板が立てられており、頭上には岩壁がそそり立っている。
いかにも何かが落ちてきそうな雰囲気で、石などの落下物に注意をしたいところ。

見上げると独鈷山の岩峰がいくつも連続しているのが見えた。
通行止めの荒れた道路を過ぎ、登山口に到着すると、いきなりの急登が始まる。

独鈷山登山

通行止めって入ってイイのかな?って迷う。

狭い谷間の登山道で、両脇には急な斜面から通り道になっているのか、ずっと風が吹いている印象だった。
沢の音を聞きながらの登り坂で、序盤の急登を登り切ると穏やかな斜面に代わり、落ち葉の上に残っている踏み跡を頼りに登山道を進んで行く。
雪が溶けたあとの季節だからか、枯れた沢のように斜面に窪みが出来ているところもあり、一見すると登山道が続いているようにも見える。
登山道を示すテープは疎らで、視線の遠くを見通しながら登山道を探っていく。

独鈷山登山

踏み跡はあるけど迷いそうな雰囲気

登山口から20分ほど登ったところで、独鈷山らしい杉の林に着いた。

独鈷山登山

杉の林は西前山のイメージ。

急斜面に生えた杉の間を縫うようにして登山道が続き、直登をするように勾配のキツイところと、急斜面をトラバースするような狭い斜面を繰り返して標高を上げていく。
行く先には稜線とも鞍部ともいえる山影と光りが見え、そこまで急登が続くことが想像できた。
とはいえ、左右には高く急斜面が続き、先に見える鞍部はフェイクではないかとも思える。

登山口から約40分、急登が終わり稜線に出た。
右側には稜線上の登山道の終わりを示す看板と、左側には山頂を示す看板があった。
稜線上の登山道の右側は高く切れ落ちた崖のようになった急斜面、そこに落ち葉が積もっているようで踏み入れれば落ちそうな雰囲気。
先にある木々の間からは、うっすらと山頂へ峰が連続しているのが見える。
狭く丸味のある尾根を渡り、急斜面をトラバースする狭い登山道が繰り返し続く。
ひとつの峰に辿り着く度に鞍部へと下り、すぐに次の峰への急登を登る。

頂上まで60分と書かれた看板を過ぎ、また鞍部へと下りるとテープやペンキの印が見つけづらく、ルートを見失うこともあった。
先に見える急斜面はどこも登山道に見え、だからといって歩きやすそうなわけでもなく、山の形状からしてこの峰を越えることは分かるという程度に思えた。
ひとまず歩けるところから斜面に取り付き、足元を確認しながら登り、無事にテープを見つけて登山道に戻る。
登っては下り、再び登り返しを繰り返して標高を上げ、足元は凍結しているところも増えた。
落ち葉が凍っている程度なら難なく歩くことのできるところも、岩の上が濡れて凍っているのはグリップも効かず歩きにくく、稜線上ということもあって高度感が恐怖心をそそる。

独鈷山登山

まさか霧氷があるとは嬉しい誤算

独鈷山登山

霧氷に囲まれてテンションが上がる一方

見上げれば木々に着いた霧が凍り、白くなった枝を広げていて、見渡す限りに真っ白な景色に覆われている。
雲の切れ間から見える陽で、枝も登山道上もキラキラとしていて、その光っているところは漏れなく凍っていると分かっていても、それよりも美しさに惹かれる。
徐々に南側の峰が霧氷に覆われているのも見えはじめ、サクサクとした落ち葉と、視界も足を踏み込んだ感触も気持ち良くあるくことができた。

霧氷の稜線を進み、山頂まで25分の看板を過ぎると、このルートの核心部。
稜線の片側の木が無く見晴しの良い岩場で、そこで足を停めると真下は数十メートルという崖になっていた。
そこからいったん岩場の下りになり、樹林帯に覆われた日影の斜面で氷が厚く張っている。
ロープが張られているものの、2つの足を置ける程度の幅と、真っ白な岩場、木々が茂っていても高さのある場所で緊張感があった。
ロープに手を掛けると凍みて岩に張りついているようで、バリバリと音がして持ち上がる。
時間にして数分の場所でも最も気を遣うところでもあった。

独鈷山登山

この高さは・・・・

核心部を過ぎると広く穏やかな登り坂に変わり、のんびりとした気持ちで霧氷を眺めることができた。
数分歩くと尾根から急斜面のトラバースへと登山道が代わり、狭く滑りやすい斜面を渡っていくと、宮沢からの登山道と合流した。
沢山湖から歩いてきた稜線上を思うと、宮沢の登山道は歩きやすそうに見え、白いものがほとんど見当たらない様子を見ていると下りはそちらへ行きたくなる。
宮沢コースと合流すると山頂は近く、山頂と岩峰の鞍部を見上げると、いままでよりも一層白くなった木々が見える。
鞍部は南北西側からの登山道が合流する地点で、広場のようにひらけている。
霧氷に囲まれてヒンヤリとした空気が気持ちが良い。
山頂へは3分ほど。

独鈷山山頂

沢山湖の登山口から1時間27分ほどで山頂に到着した。
鞍部から山頂までの僅かな登りが最も霧氷を間近で見ることができ、視界を楽しめる時間だった。
360度見晴らしの良い山頂からは、雲から顔を出した蓼科山、浅間山、四阿山が見えた。
ここ数日の温かさですっかり黒く変わっているようだった。
北側の山々は厚い雲に隠れてしまっており北アルプスなどの山並みを見ることはできなかった。

独鈷山登山

雲は多かったけれど木が白いから良い

下山

独鈷山からの下山は登りと同じ沢山湖へ。
西前山へ下りて周回するルートも計画していたが、日影になって凍結しやすい場所と急登のルートということで、ピストンをすることにした。
登りで凍結の岩場があったことを思うと、安全な宮沢へ下りたい気持ちもあったが、下りてから登山口へ戻る苦労を考えると、注意深くピストンをする方が現実的だった。
陽が射して気温が高くなる予報だったこともあり、山頂から下りていくころには岩場の凍結も溶け、どちらかというと柔らかくなった落ち葉や土が滑りやすく感じられた。
序盤の急斜面は凍って固くなっていた方がありがたかったが、ずるずるとした状態に変わっていて、これはこれで注意深く下りた。

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