箱山へ登る
中野市の東側に延びる尾根の先端部にある箱山。
隣接する山ノ内町との間を隔てるように連なり、急な斜面の峠道を上っていくと、箱山の山頂へと続く入口が見えてくる。
すぐ間近に見えるような高低差で、登山というほどの印象もない。
中野市の東山から箱山トンネルを潜り、山ノ内側の出口近くにある空いたスペースに車を停めた。
道路のようにも見える空きスペースは、先が藪になっているため入ってくる車も無さそうだった。
どこから登るのだろう?
トンネルのあたりを見回して、登山口らしい場所は見当たらない。
ただ箱山から尾根を伝って見ると峠道らしい地形が見える。
そこへ向かうにはどこから入れば良いのかと、畑を縫う農道を目で追った。
車で乗り込むには躊躇いそうな狭く急な上り坂を見つけ、そこから山の斜面に沿って峠へ向かっていく道が続いていた。
杉林の影のなかを歩きながら箱山を見上げると、向こうの斜面は陽が当たり暑そうだった。
突然、物々しい感じで
4・5分ほどで箱山と鴨ヶ嶽の鞍部になっている峠に到着した。
道の両側は高く切れ上がっており、まるで門が開いているかのような様子だった。
この間を通ることはなく、箱山へ続く尾根へ登る。
ただどこにその入口があるのか分からず、林道のような平坦な道路が見えるものの、その林道は登っていくようには見えない。
とりあえず尾根の上に乗ろうと、土手のような斜面に足を進めてみると、ピンクリボンや踏み跡が見えた。
見慣れればそう難しいところではなかった。
なんだか急に雰囲気が変わった感じ
尾根の上に乗ると、木々が茂った先に中野市街が見える。
足元は急勾配で、滑り落ちそうなほどに下へと続いている。
低山だからといって油断のできない高さだった。
なだらかに登りながらも、細い尾根道が続く。
木々が開けているところではそれまで以上に高さが感じられる。
尾根から突き出た岩の先端へ進めば、もっと遮る物のない景色が楽しめそうだったものの、だからといって近づくほどの勇気も出ず、横目に景色を見るだけで尾根に沿って山頂へと進む。
尾根のうえとはいえ雰囲気は崖の上を歩いている感じ
景色の良い尾根から木々が茂って視界を遮る尾根に変わり、数メートルを急激に登っていく。
間近に箱山が見えると少し下った。
下りきった鞍部から、一気に勾配を上げていく。
見た目の通り急な登り坂
急な斜面を横切りながら登っていくような登山道。
高い段差や視界を遮るようなものもなく歩きやすい。
途中、急斜面を登るためにロープを架けられたところがあり、振り返ってみると鴨ヶ嶽が高く急峻な峰に見えた。
17・18分ほど登ったところで、急な斜面は緩く変わった。
台形をしている山頂の間近まで登ってきたようだった。
わずかな登り下りの地形を踏んでいくと、小高い丘のような登りがあった。
鴨ヶ嶽だけではなく、箱山にも城跡があると思うと、きっとこの地形は空堀などの名残なのだろう。
着いたか??
箱山山頂
登り始めた農道の入口から19分が過ぎたあたり。
箱山の山頂に到着した。
里山にしては広く平坦で、シートでも敷いて座り込みたくなる山頂部。
登山口からの手軽さが、友人とのハイキング的な楽しみにもちょうど良いのではないかと思えた。
景色が開けているのは西側の一部で、そこからは麓の中野市街が見下ろせる。
近くにある市営球場で野球の試合が行われているらしく、応援の声やバットの金属音が聞こえた。
しかたがないけれど、野球の打球音は山頂で聞きたい音ではない
箱山峠のある東山地区から登ると、市街地のハズレから登ったような印象があるものの、そういえば山頂部は市街地に近く音が大きく聞こえるのも不思議ではない。
せっかくの山の上も、街の音が近いのは残念な気持ちになりながらも、街の中でよく聞く音に安心感もある。
箱山峠のある南側の尾根から、反対側の栗田へと下りる登山道と山頂で合流しているようだった。
三角点や石碑が置かれ、その先の東側へ山頂尾根が続いているようで、踏み跡とピンクのテープが見えた。
そちらへ下りても楽しそうだと思いながらも、どこかで急峻な岩の下りに差し掛かってもと躊躇い、また改めて登山道を知ってからにしようと止まった。
山頂のまわりを散策するのも楽しそうな山だった
下山
箱山の山頂からの下山は、箱山峠へと折り返す。
下りながら木々の間から見える鴨ヶ嶽にあるは急峻で、中野市街から見えるなだらかさとは違った雰囲気。
あの形に登ってみたいと思いつつ、足元の狭い尾根を下った。