上平から登る自在山
坂城町を見下ろすように自在山。
町を流れる千曲川を挟んで東側には五里ヶ峯と葛尾城、西側には出浦城のあった自在山。
冠着山や大林山といった筑摩山地の山々が並び、尾根を繋いだ先端部が自在山となっている。
岩井堂山なんていう山名でも呼ばれるみたい。
麓の上平地区には自在神社が祀られていることから、端整な三角形の山は信仰の対象にもなったのだろう。
個人所有の山ということで、夏から秋は立ち入り禁止とされ、登山道にはいくつも入山禁止の案内板が建っていた。
上平にある登山口の案内板に従って、未舗装路を自在神社へ向かう。
鳥居を潜って神社に近づいても駐車場のようなスペースは見当たらず、通行の邪魔にならない程度に避けて車を停めた。
降雪の多い季節ではあるものの、坂城は積雪量の多いエリアではないため、日向であれば地面が濡れている程度。
泥濘で靴の裏に枯葉や落ち葉を付けながら荷物を整える。
駐車場は見当たらなかった
未舗装の道路を歩いて太々神楽殿まで向かう。
登山道は神楽殿の裏にある金網のゲートの先に。
建物の前に立って周りを眺めていたものの特に目につくようなものもなく、石段を上ってゲートを開けた。
ゲートの先に続く石段は、踏面が小さく登山靴のソールがハミ出るほど。
蹴上げも比較的低く、なんなら踏面に足を置かなくても、段差のような感覚で階段を踏みながら登っていけるほど。
周囲では野鳥の鳴き声が大きく聞こえ、なかでも主張の強いカケスの声が大きく聞こえた。
滑空する姿と、ぎゃーぎゃーの大きな声が見えた
続く階段は途中で直角に折れて、山へ向かって登っていく。
鳥居を潜り、先には岩壁が見える。
あの岩壁を背にして自在神社が建ち、それを見どころのひとつとして楽しみにしていた。
着いたぞ自在神社
ゲートを開いてから10分
ゲートを開いてから10分ほどで自在神社に着いた。
高台のように開けたところに神社が建てられ、その真後ろに垂直の岩壁。
迫ってくるような圧力はないものの、よくもこんな所にと思えるような立地。
木が開けているため、少し登ったぐらいの高さから周りを見渡せた。
登山道はどこだ???
自在神社から先の登山道への入口は分かりづらく、山頂への看板はあるものの、その矢印がどこを指しているのか分からない。
なんとなく踏み跡らしいと思えるものは、斜面にいくつもあり、どこを踏めば登山道らしい道を歩けるのかと想像が付かなかった。
しばらく斜面を見上げてそれらしい場所を探しても見当がつかず、踏み跡のひとつから尾根に続きそうなものを選んで登ってみることにした。
斜面には松の木が多く、まばらに生えた間に踏み跡が見える。
その跡に沿って斜面を折り返しながら登っていく。
すぐに右側にトラロープが見え、岩壁の上から続く尾根に出た。
広くて小石の多いザレ場のような場所で、ロープが真っ直ぐに垂れている。
山の中で迷ってしまいそうなくらいどこにでも登山道のような踏み跡があるのは、この山が個人所有の茸山で、管理のためにできたあがったものだと想像ができた。
尾根上で垂れたロープは、そんな斜面の中で行き先を示してくれるようでありがたかった。
斜面には手入れをされ伐採された木々や丸太が積んであり、至るところに踏み跡が見える。
その中で細い枝に赤いテープが巻かれ、どこも登れそうな斜面の中ではテープのあるところが正しいのだろうと思えた。
どこもかしこも歩けそう
5分
5分と登らないうちに、振り返ると麓の景色が広がって見えた。
坂城町から上田市へ、千曲川の流れる谷間の景色が見える。
このコースの中では唯一といえる眺望ポイントで、いったん足を停めて景色を眺めた。
きっとこの地形や川の流れは、戦国時代でも変わらないと思うと感慨が深い。
斜面の上を見ると、木々が間引かれて地面に陽が当たる様子だったのが、薄暗くびっしりと松の木が茂っている。
いかにも松の山という雰囲気で、夏季に立ち入りが禁止されるのも頷ける。
日影が多くなったせいか斜面には雪が残るようになり、登山靴のソールが埋まって歩くたびにシャリシャリと音がした。
そんな雪の登山道の中で目に入る木々には、「入山禁止」と書かれた紙が多く見える。
立ち入りが制限されるのは6月から11月だったと思い、それでもここまで多く書かれているのを目にすると、来てはいけない場所だったかと思え、でも登山道の案内がされている矛盾も感じた。
立ち入り禁止ばかりが目につくけれど、ネットには歩いている記録もあったし。
確か秋と夏の間だけだったと思う。
なんだこの案内板は・・・
5分
登りの斜面はだんだんと急になり、細かく折り返しながら登っていく。
5分ほど過ぎたところで、トラバースするような登山道に変わった。
右側は木々の茂った急な登り、左側は足を踏み外せば一気に転がり落ちそうなほど。
山を巻くようにしてトラバースを進むと、山頂を示す看板が建っていた。
山頂まではもう少し。
広い斜面に九十九折りの踏み跡が付いている。
松の枝が疎らで陽が当たりやすいのか雪はうっすらと。
山頂の間近まで登ってきたようで、斜面の木々の先には青空が見える。
狼煙台といわれる山頂にはもうじき。
山頂がすぐそこに見えるところまで登ると、目の前を野鳥が飛び飼う。
シジュウカラが群れで枝に留まっていたようで鳴き声が多く聞こえる。
たまたま見たブログには、ルリビタキがいたって書いてあって。
何気に見られるんじゃないかと期待してた。
自在山の山頂
登山口から39分
登山口からは39分ほど、自在山の山頂に着いた。
戦国時代の遺構がそのまま残っているような雰囲気で、円形の周囲を1mほど土が盛られている。
木々に覆われて眺望が遮られているとはいえ、東側に葛尾城のあった五里ヶ嶺を望み、北側には善光寺平を見通すことができる。
南北の見通しの良さと、間近に見える葛尾城から、連絡を行う場所としては最適だったことが伺える。
葛尾城を治めていた村上氏の家来だった出浦氏と関係しているそうで、逆にココを取られたら村上氏にとっては大きな痛手になるだろうと想像をして楽しんだ。
いろいろ妄想するのは楽しい
下山
自在山の山頂からは、尾根を伝って西側の大林山へと縦走ができる。
この山頂部が大林山や摺鉢山といった筑摩山地の入口にも思えた。
雪の下りは滑る
今回は登ってきた登山道を下っていく。
登ってきた雪の急斜面は下りでは滑りそうで太股に力がこもる。
ただ下りるのは簡単で、すぐに自在神社の上のザレ場に着いた。
ロープを伝って松の急斜面を下り、神社の横に出た。
踏面の小さな階段を下りてゲートまで戻ってきた。