鎌田山へ登る
長野県須坂市の中心地から東側に聳える鎌田山。
明覚山から坂田山へと尾根を繋ぎ、その西端にある低い峰のひとつで、街からの高低差は100mにも満たない。
保育園や小中学校などでも登られる手軽な山として親しまれ、山頂へと繋がる入口も複数ある。
須坂市体育館の広い駐車場を横切り、鎌田山への入口へ向かう。
体育館の横から用水路の脇を通って林の中へ。
急な斜面の上り坂が始まる。
土砂止めとも落石止めとも見えるフェンスがあり、いくつものタイヤが緩衝材のような役割で置かれていた。
上り坂の上部へは、コンクリート製の階段と、岩尾根のような地面が続いていく。
どちらも上って行ける状態で、できるなら歩幅の制限されない地面を歩きたいところだったものの、階段を歩く方が多少なりとも安全だろうと思い、手摺りを触りながらコンクリートに足を置く。
落ち葉の積もった階段は、暖かな陽気で虫が出てくるんじゃないかという雰囲気。
すぐ横の斜面を歩きたい気持ちになりながらも、階段を真っ直ぐに上る。
ところどころで、クモの巣が階段を遮っているのを見つけては振り払い、だんだんと高く上っていく。
5分ほど上ったところで「新ルート」と書かれた看板を見つけた。
すぐ近くの常磐中へと続く道のようだった。
ここで残すところ120m。
すぐ目と鼻の先に鎌田山の山頂がある。
常磐中と繋がる看板を過ぎるとすぐに階段が終わり、滑りやすい急斜面の道に変わる。
地面は固く砂礫のような滑りやすい感触、歩かれた踏み跡で落ち葉は避けられている。
急斜面の中には足の置き場や、引っかかりがあまりないため、細いロープが木に括り付けられて、それを頼りに上ることができるようになったいた。
山頂まで90mのところで、地面には土砂止めのようなコンクリートの板が立てられていた。
すぐ頭上にある木々の先には青空が見える。
ロープは終わって手がかりがなくなった急斜面を上ると山頂の標が見えた。
周りの木々が開け、上っていく背中側には景色が広がる。
体育館の横から6分と少し。
鎌田山の山頂に着いた。
鎌田山の山頂
標高490mで背後の坂田山と同化してしまうため、遠景では存在感の薄い山ながらも手軽に景色が楽しめる。
鎌田山の標高が刻まれた木の標を確認して、飯縄山や黒姫山、妙高山などへの眺望を楽しんだ。
風の通りも良く、気持ちの良い山頂部だった。
下山は南側へ
山頂には3つのルートがあり、上りに使った体育館からのルートと坂田山へ繋がるルートの他に、松の木漏れ日の小径のスタート地点がある鎌田山の南側へと下りることができる。
明覚山から繋がる尾根の先端といえる神田山を越えるルートで、ほんの数メートルながらも上り返しがある。
遊歩道ともいえるような急斜面の少ないルートで、季候の良いときなら保育園児や近隣の人たちとも擦れ違うことが多い。
スタート地点近くまで下りてくると、近くの街を見渡すように景色が変わる。
すぐ近くにある豪商の館田中本家博物館、標高471mの臥竜山とは視線と同じ高さに見える。
ほんの短時間ではあるものの、手軽に登山のような雰囲気が楽しめ、山頂では眺望が得られる鎌田山だった。