ゴールデンウィークの白馬岳へ登る
白馬村を八方から国道322号線を猿倉へと向かう。
4月下旬まで積雪のため通行止めになっている区間で、事前に通行状況を確認しておく必要がある。
猿倉荘までバスの乗り入れはゴールデンウィーク期間と7月から。
広い駐車場があり、この季節ではまだ空きも多い。
白馬岳への登山ルートとしてよく知られているのが、猿倉から白馬尻を通って白馬岳へと登る大雪渓ルート。
標高1,250mに位置する猿倉荘から登山を開始。
上空には雲が流れており、時折強い風が吹き付ける天候。
登山口から雪が残り、残雪のザクザクとした感触を踏みしめながら登っていく。
登山道には雪が残っているものの左右の樹木には緑が茂り春らしい雰囲気。
雪の積もった登山道は沢側への傾斜になっているので歩きづらい。
トラバースをするようにして登山道を進んでいく。
白馬大雪渓を登る
登山口から45分ほど。大雪渓に出た。
ここから雪渓の上を真っ直ぐに登っていく。
同じように上を目指す登山者のほとんどがスキーを履いていたのが印象的だった。
猿倉から吹き付けていた強い風は、遮るものが無い雪渓部分でさらに強く吹き付けるようになった。
白馬尻小屋のあたりまで登ってくると、右側に主稜線への急斜面が見える。
白馬岳の直下に到達するクラシックルートで冬季だけ登山可能だという。
大雪渓の上はザクザクとした水分を含んだ雪で、登山靴のグリップも効きづらい。
爪先を差し込むようにして上へと登っていく。
遠くからは平らな斜面に見える大雪渓も、実際に登ると波のように急斜面と緩斜面を繰り返す。
徐々に斜面がきつくなり、左側には杓子岳の険しい山肌が迫ってきた。
杓子岳の直下あたりまで登ってくると、右側の斜面からは雪崩が起こった後が見える。
ゴツゴツと足元の雪が岩場のように塊になって固く締まっている。
雪の急斜面にステップを切って登っていくのも、このゴツゴツとした足元の雪を登っていくのもさほど大変さに変わりもなく、ひたすらに真っ直ぐと上を目指して登っていく。
岩室からの急斜面
白馬尻から見える大雪渓の上部、岩室付近まで来ると斜面は一層の急勾配になった。
ここが大雪渓ルートの最難関箇所で垂直に近く感じる雪の斜面を登っていく。
振り返るとこれまで上ってきた大雪渓がまるで平地だったかのように緩やかに見え、いかにも岩室から高度を上げていると感じられる。
岩室から稜線が間近に見えてくると、いよいよこの急斜面をトラバースする。
夏道でもトラバースを行う登山ルートになっているが、さすがに残雪期の急斜面はさらに角度がきつい。
加えて稜線が近くなってさらに風が強く吹き付ける。
風の様子を伺いながら体勢を崩さないようにトラバースして行く。
急斜面を斜めに渡りきったところでいったん角度が緩まるように見えるものの、実際にそこに立つと疲労の溜まった足では多少の緩やかさでは辛さに変わりは無く、なかなかに重い足で白馬岳へ登っていく。
夏であればこのあたりから花畑が広がる場所も、ただただ雪が舞う急斜面。
ときどき上からは細かな雪がパラパラと落ちてきて顔に当たると痛い。
夏であれば登山ルート上にある村営頂上宿舎を左手に見ながら、雪渓の斜面を真っ直ぐに白馬岳を目指して登っていく。
白馬山荘への登山ルート
白馬岳の稜線と同じ高さまで登った頃、目の前に白馬山荘が見えた。
1,000人以上収容の大きな山小屋。
そこまで登れば山頂まではすぐ。
振り返ると杓子岳と白馬鑓ヶ岳が見える。
白馬岳の稜線に出ると強風が吹き付ける。
ときどき足を止めて風に耐えながら姿勢を保つ。
登山道上には雪はほとんど無く、ガレ場の上にうっすらと粉雪がかぶっている程度。
サラサラと乾燥していて滑りやすい。
登山開始から約4時間。白馬山荘に到着した。
ここでいったん足を停めて、ふたたび白馬岳山頂を目指して登山再開。
風は白馬山荘の下の稜線ほどではなかった。
うっすらと雪のかぶった山頂への登山道を登り、白馬山荘から約15分、白馬岳山頂に到着した。
白馬岳山頂
白馬岳の山頂からは北アルプスの山々を南側に望み、北側には雲海が広がっていた。
山頂から景色を楽しみ、相変わらずの強風で寒いので白馬山荘へ。
休憩をして下山することにした。
白馬岳からの下山ルート
下山ルートは登ってきた大雪渓をピストン。
登るときに苦労した急斜面も下るとなると簡単で早く、どんどんと高度を下げていった。
登りでは注意を払った急斜面のトラバースも、ピッケルを刺して真っ直ぐに降りていく。
締まっていた雪も溶けて柔らかい。
大雪渓のところどころクレパスがあるので、注意しながら下ること1時間半。
猿倉に到着した。