広河原から北岳へ登る
甲府駅から出発する南アルプスへの林道バスで広河原へ。
林道の入口になる芦安、鳳凰三山への登山口がある夜叉神峠と経由して広河原へと向かう。
朝5時台の始発に乗るため、広い駐車場で車中泊している車もチラホラと見られた。
バスに揺られて約1時間、北岳を見上げる広河原へ到着した。
終点のインフォメーションセンターで下車。
登山口は北沢峠方面へ50mほど進んだところにある吊り橋から入っていく。
長い吊り橋を渡って登山道へ。
さっそく左右に矢印が出ているのを左へ。
左手に吊り橋を見ながら、一見するとそちらが登山道のようにも見えるところを右へ。
緩やかな登り坂を進んでいくこと10分ほど。
白根御池への分岐に出た。分岐を大樺沢へ。
沢の音に沿って登山道をゆっくりと標高を上げていく。
登る先にはずっと北岳が見える。
徐々に陽が高くなりモルゲンロートから北岳の岩肌に色が変わっていく。
登り始めてから1時間ほど登ったところで、沢を跨ぐ鉄製の橋を渡る。
振り向くと鳳凰三山の稜線が見え始め、ルートに向き直ると北岳がさらに高く聳えていた。
このあたりから登山道上にはペンキの印が目立ち始める。
二俣への分岐や肩ノ小屋への分岐、登山道上の印など様々な岐点がある中で、明らかに多すぎる印。
2つに別れている行き先で、両方に印が付いていることも。
下から登山道を眺めながら、どちらが歩きやすいかを判断しながら登っていく。
沢には厚い氷が張っていたので、できるだけ氷や霜を避けながら。
登山口から1時間半ほど登ったところで、ロッククライミングで知られているバットレスを見上げる場所に辿り着いた。
ここからは勾配が一気にきつく変わる。
バットレスはロッククライミングが楽しまれている大岩壁として有名で高低差は600mもあるという。
過去には遭難も起きている。
朝日を浴びたバットレスの大きな岩壁を見上げ、足元はすっかりガレ場に変わり、岩に付いた霜に注意しながら急勾配を上がっていく。
右側を見ると、高く見えていた北岳に徐々に近づいてきたことを感じる。
稜線直下のハシゴ
北岳への稜線直下では、いくつもの階段が続いていた。
ところどころに雪が残っているものの、乾燥しているせいか滑りはしない。
目の前に次々と出てくる階段。見下ろすと断崖で、振り向くと急な勾配に驚く。
鎖ではなくハシゴで良かった。
ハシゴを登ること20分。いよいよ稜線に出た。
目の前には農鳥岳と間ノ岳。
左側へ目を移すと、富士山が雲海に浮かんでいた。
最後の長い階段を登りきると、八本歯のコルへ。
大きな岩がゴロゴロと転がって足元の安定しない八本歯のコル。
ペンキが付いていてもイマイチそのルートが正しいのかが分からないまま一歩ずつ上へ。
上へ上へと進むほどに白嶺三山の景色は素晴らしく、北岳の影に隠れていた甲斐駒ヶ岳もその山頂が見えるようになった。
ガレガレの岩場を登りきると吊り尾根。
北岳山頂と間ノ岳への分岐点にあたり、ここからは北アルプスと中央アルプスが見える。
山の麓にはうっすらと伊那の街。
細かな石と大きな石が散らばる登山道は、木段が整備され八本場のコル付近と比べると歩きやすくなっていた。
急な斜面をトラバースするように付けられた木段。左側の斜面は遥か下まで続いていた。
坂を登り切ったところで岩の尾根。
鎖を伝って台形のようになった山頂へ到着した。
北岳山頂
広河原から3時間36分。北岳山頂に到着。
北岳山頂からの眺めは周囲の山が360度見渡せた。
すぐ近くに聳える3000m峰の仙丈ヶ岳。
東側に並ぶ鳳凰三山。
甲斐駒ヶ岳は花崗岩の白さが際立っていた。
遠く北アルプスは雲がかかっていたものの槍ヶ岳や穂高岳も。
ひととおり景色を楽しんで下山ルートは白根御池へ。
北岳からの下山ルート
山頂を北側へ。肩ノ小屋を目指して下山開始。
所々に雪が残っているものの大樺沢のような氷は無かった。
両俣小屋との分岐を過ぎさらに下っていく。
約20分ほどで肩ノ小屋を通り過ぎた。
見晴らしが良く甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳を見渡しながら歩く稜線はとても気持ちが良い。
農鳥岳までの3,000m級の稜線も良いのだろうけれど、この稜線歩きも良かった。
20分ほど下って小太郎山分岐を過ぎると、ここから登山道は一気に急な下り坂へ。
九十九折りを繰り返しながらの急勾配を下りていく。
白根御池に到着したのは北岳山頂から1時間ほど。
実際の時間以上に長く感じる下り坂。
さらにココからは細かなアップダウンを繰り返していく。
斜面をトラバースする場所もあり、白根御池のような急勾配も多い。
広河原に到着したのは北岳山頂から約2時間半。長い長い下り坂だった。