黒岳から旭岳への縦走
大雪山の北側にある層雲峡。
黒岳の直下にある温泉地で、黒岳の中腹までロープウェイが続く。
黒岳ロープウェイは朝6時からの運行。観光客に混じって並んで始発に乗り込む。
黒岳ロープウェイを下りると、木々の間から尖った山容が見える。
5分ほど木々の間を歩き、今度はリフトに乗り換える。黒岳を見上げながらのリフト。
視線はすでに周辺の山々と同じほどの高さにも見え、眼下には雲海が広がっているのが見える。
ロープウェイとリフトを乗り継いで30分ほど。
7合目の登山口に到着した。
黒岳
リフトを下りてさっそく登山口から登山道を登っていく。
九十九折りに折り返しながら、標高を上げていく。
リフトからは急登に見えた斜面も、折り返しながらだとそう苦労することもなく登っていくことができる。
20分ほど登ったところで登山道のところどころに雪が残っていた。
アイゼンなどの滑り止めが必要なほどではなく通り過ぎ、周辺の景色を楽しみながら登っていく。
30分ほど経過したところで8合目を通過。
8合目を過ぎると黒岳までのほぼ中間地点。
徐々に背の高い木々が減り、花が多く見えるように変わってくる。
鮮やかな緑の中に見える白い花。
本州では滅多に見られないほどの花がすでに序盤で見ることができた。
九十九折りの右側には大きくそそり立つ招き岩が見え始め、周辺の山並みはさらに眺めが良く。
足元の花を楽しみながら緑に囲まれた階段を登ると、一気に視界が開けた。
黒岳に到着
黒岳は登山口から54分ほどでの到着だった。
遠く離れたところに目指す旭岳の尖った山頂が見える。
北側から大雪山すべてを見渡すような眺めで、緑の中に残る雪とのコントラストがキレイだった。
山から見下ろすと周りには雲海が広がり、石室で話を聞いたところによると、時間が経つほどに雲海が上がってくるという。
北海岳へ向かう
黒岳を過ぎ、ピークをいったん石室へと下りていく。
標高はそう高くはないものの、すでに森林限界に達しているため身長を超えるような植物は少ない。
エゾノツガザクラのピンクやイワヒゲの白が広がる中、黒岳石室の分岐に到着。
まっすぐに進むと北海道2位の北鎮岳。
左へ進むと北海道3位の北海岳。
分岐を左へと進み雪渓を下りていく。
緩やかな下り坂の先には雪解け水が流れ、標高の高い山頂部に水量の多い川があることに驚いた。
水量が変わるのか雪解けが進んでいるせいか、渡る岸は目印と変わっているようだった。
足元の良いところを選んで川を渡って再び雪の上に登る。
下り終えたところから北海岳へと緩やかに登っていく。
登山道は草木の生える地面より50センチほど低く溝になっている。
背を越えるような緑の中、周辺には様々な花が咲く。
北海岳の大きな丸みを見上げながら足元の花を楽しみ、ときどき飛び出すリスにテンションを上げる。
北海岳到着
植物に囲まれた登山道を過ぎ、周囲には木が無くなってしばらく登ると北海岳の山頂に到着した。
黒岳からは1時間20分ほどでの到着だった。
北海岳からは大雪山の火口を見下ろすようで、それを囲むように西側に北鎮岳、間宮岳、振り返って黒岳が見渡せた。
東側はトムラウシ山へと続く平ヶ岳、広大な湿原と樹林帯。
会いたくない大型の野生動物が棲んでいそうな雰囲気がありありと。
見渡す山並みは、東側にニペソツ山や石狩岳。
トムラウシのさらに南側に十勝岳。
木々もなく風が強く当たる。
旭岳への登山道
北海岳を過ぎるとアップダウンのある稜線を分岐へ向かって進んで行く。
緩やかな高低差なので風が吹き付けること以外は大変なこともなく、所々に咲き乱れている花々を楽しんで歩くことができる。
東側に見える広い樹林帯を見渡し景色を楽しんでいく。
遠く見えた中岳分岐は意外と近く北海岳から約30分。
ほぼ同じ高さの間宮岳は5分ほど。
中岳分岐に立つと旭岳はすぐ。
視線と同じ高さの裏旭岳と少し高い旭岳。
旭岳の下部から中腹に掛けて積もる雪渓を直登している人が小さく見える。
赤く崩れやすい土の急斜面を下り、旭岳へと取り付いていく。
旭岳と中岳との鞍部は幕営地になっており、いくつかテントが張られていた。
周辺にはたくさんの花が見える。
雪渓は緩んで爪先を差し込みやすい状態だった。
ステップを切りながら雪渓の直登。
徐々に傾斜はキツくなり、赤茶色の斜面が近づいてくる。
15分ほどで雪の直登は終わった。
雪渓が終わっても急な斜面は続く。
崩れやすい赤土は雪よりも滑り、足の裏でしっかりと踏みしめながら登っていく。
山頂が近づくほどに登山道の周りを白い花が埋め尽くすように咲き、大雪山の総仕上げのような雰囲気だった。
旭岳
黒岳の登山口から3時間35分。
大雪山最高峰の旭岳に到着した。
旭岳の南側は山体が大きく崩れ、旭岳ロープウェイへと続く急な下り坂が見下ろせた。
トムラウシ山や平ヶ岳、石狩岳やニペソツ山などの東大雪の山々。
歩いてきた大雪山の稜線と大きな北海道を堪能できるような山頂だった。
旭岳の山頂は風が強く、温かな陽射し以上に体感温度が低く感じられた。
夏でも低体温症の注意が必要だという様子が垣間見られるようだった。
大雪山からの下山
ロープウェイの駅を目指して最高地点の旭岳から南へと下りていく。
雪の残る北側の登りとは対照的に赤土と熔岩の下り坂になっていた。斜面が急で一気に高度を下げていく。
右側にはシューシューと音を立てながら火山性のガスが吹き上げている。
その先には青く雪の残る姿見の池。
池の畔には石室が建てられていた。
こちらがわの登山道はロープウェイから近いこともあるせいか、登山というよりも観光という格好の人たちも多く見られた。
姿見の池まで近づくと、すっかり見なくなっていた草花も多くなった。
まるで草原を埋め尽くすような量の花が咲いている。
旭岳から1時間25分。
ロープウェイの駅に到着した。
山頂では明るかった空も、下山したことで雲海の中に入ってしまい空は曇っていた。