硯川から池巡りコースへ
アクセスは、信州中野ICから国道292を山ノ内町から渋峠へ向かうか、須坂東ICから山田牧場を抜けて渋峠へと向かうかになる。
ホタル温泉を過ぎると、前山サマーリフトの乗り場近くに車を停めることができる。
冬季はスキーで賑わう場所だけあって車を停めておける場所は、周辺にも広くあり、この季節は閑散期であることもあって、余裕を持って停めることができる。
国道沿いにある駐車場に車を停める。
すぐ近くにはサマーリフトがあり、目の前にある急斜面を歩くか、これに乗るかと誘惑をしてくるようにぐるぐる動いている。
準備を整えて駐車場の脇にある登山道入口へ。
以前は整地されていたかのような荒れた土の上を登っていく。
左右には花の落ち始めたレンゲツツジが見え、もう少し時季が早いほうが良かったか。
志賀高原で植物を見ようなんてワタスゲとニッコウキスゲ以外に思いもしなかった
大きな窪みのある道を、ただ登っていく。
登り始めた硯川を見下ろすと、その先には笠ヶ岳の尖った形が大きな存在感を醸していた。
前山サマーリフトの降り場までは15分の登り。
窪みの大きな道は平坦な湿地帯の中を歩く遊歩道に代わった。
遊歩道から見渡せる湿地の中にはワタスゲが揺れていた。
ここでワタスゲが見られるなんて。。。
ならば田ノ原湿原から歩きたかった。
湿地の中を遊歩道に沿って歩き、先にある丘のように小高い場所にはリフト降り場が見えた。
リフト乗り場を背にして、右へ進むと渋池を経由して志賀山、四十八池へと池巡りコースが続く。
渋池
平坦で広く歩きやすい遊歩道を3分ほど進んだところで、ひょうたん池や木戸池との分岐があり、その先には渋池。
ここでもワタスゲが咲き、風に揺れている様子を楽しむことができた。
渋池の先には横手山が見える。
なかなかキレイで爽やかなところだ
渋池はいくつもの浮島があり、その中にはモウセンゴケが生えているという。
酸性の水質ということで、水の中を覗き込んでも生き物が棲んでいるようには見えなかった。
志賀山への遊歩道
渋池を過ぎて遊歩道を進んでいく。
周りは鬱蒼と樹林帯が茂り、地面が見えないほどに笹が濃い。
様々な樹木が生え、その成り立ちや森が成長していく過程を、看板から読むことができる。
木の根に茂っている苔は、湿度の高い空気の中で青々として美しい。
緑はキレイなんだけど。
あまり落ち着かない。
緩やかにアップダウンを繰り返していく遊歩道で、濃い緑の中を歩くのは清々しい反面で、どこか野生生物が出てきそうな雰囲気も感じられる。
各所にある鉄棒をぶつけて大きな金属音を立ててみたり、手元の熊鈴を鳴らして落ち着こうとしてみたり。
志賀山へ
硯川から35分ほど、志賀山と四十八池との分岐に着いた。
右には四十八池へと続く遊歩道。
左は志賀山への登山道が続く。
分岐から下り、笹に囲まれた湿地の上を木道が続き、遊歩道はだんだんと登山道らしい雰囲気へと変わっていく。
地面には木の根が貼りだし、窪みには前日までの雨が乾かないまま溜まっている。
木々の先を見上げると、志賀山と思われる山陰が見える。
高く急な斜面にも見え、それまでのおだやかな遊歩道とは違った雰囲気が感じられる。
あれか!志賀山。
急な登りは突然に始まった。
遊歩道から登山道らしい雰囲気に変わり、さらに斜面の角度も一気にきつく変わった。
大きな石を乗り越えていくような高い段差が連続し、湿り気のある石は滑りそうな雰囲気にも思える。
いや。けっこう急だから。
少しずつ高く登っていくと、だんだんと頭上の木が疎らになり、真っ白な空が近く見えてくる。
分岐から登り始めて25分、山頂でよく見られる山座同定盤が置かれていた。
周りには木々が茂っているため、山座同定は難しいだろうというのと、この悪天候で何も見えないだろうというのもあり、山座同定盤は素通りしていく。
「実はここが山頂か?」と思いながら登山道に従って進んで行くと、少しだけの登りがあり、木の間を抜けると志賀山の山頂に着いた。
きた!やっと。
志賀山山頂
山頂からは思っていたとおりの眺望の無さ。
風の音がダイレクトに聞こえ、出発時に比べて確実に天気が悪くなっているようだった。
何も見えない山頂と、強くなっていく風とで、早々に山頂を後にして、隣の裏志賀山へと向かうことにした。
何も見えないし、風の音は怖いし。
ここから大沼池や鉢山、横手山へと向かう選択肢もあったが、当初の計画通りに裏志賀山から四十八池を経由して硯川へ戻ることにした。
志賀山から裏志賀山
志賀山から下り、裏志賀山との鞍部へと向かう。
ここは風が強く通り抜ける道になっているようで、目の前の雲がすごい速さで流れていく。
裏志賀山の山肌がチラリと見えたかと思えば、一気に白い雲が流れ、目の前には何も見えない状況に変わる。
登りに取り付くと左右に折り返しの急登が始まる。
足元にはイワカガミが咲いているのが見える。
こっち側は花が多いのかな。
笹に囲まれた急斜面を登りは、足元も眺望も見るものがなく、ただ我慢をして登っていくよう。
ときどき、風が強く吹いて頭上の葉が大きく揺れるのが分かる。
風の音なのか、なんだかワイワイキャッキャと聞こえる
裏志賀山
志賀山を出てから10分を過ぎたころ、裏志賀山との分岐に着いた。
ここに来たところで、先に歩く一団があった。
近隣の小学生の遠足で、5年生の20名ほどが先生に引率されて山を下りていた。
このあと、四十八池と大沼池を通って帰るのだという。
大人が風の音にびびってるのに子供は元気だ
小学生が大声で騒ぎながら下りていくのを横目に、分岐から裏志賀山へと向かった。
5分と掛からないところに裏志賀山の山頂があり、晴れていれば志賀高原北部を見渡す眺望が得られる稜線が楽しめる。
眼下には大沼池の真っ青な湖面が見られるところ、今回は真っ白で何も見えない。
5分ほどで裏志賀山の山頂に着き、志賀山神社の祠を見て、それ以上に見るものはないため、折り返すように分岐へと戻る。
分岐まで戻ってくると、小学生の一団はまだ近くを下りているようで、大きな声が下の方から聞こえてきた。
みんなよく声を掛けてくれる
四十八池
小学生は休憩のタイミングで登山道を譲ってくれたため、挨拶をいくつも浴びながら、脇を通り抜けていく。
裏志賀山から四十八池へと下りる登山道は、ところどころで高い段差があり、場所によっては脆く石が崩れ落ちるところもある。
10分ほどで裏志賀山を下りると、石と木の根だらけの登山道から木道へと変わった。
志賀山神社の鳥居を潜り、大沼池との分岐を四十八池へと進むとすぐに目の前に湿地帯が広がる。
霧の中に広がる湿地帯。
疎らながらもワタスゲが咲き、黒い水面に霧が写って白く反射している。
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池塘がいっぱい -
霧の中を歩いていくのが気持ちが良い -
見晴らしが悪いのがかえって幻想的に見える -
水面に映るワタスゲとか -
まったく見飽きることがない -
四十八池を歩いてきたので振り返る -
花もいっぱいあるし最盛期に来ればもっと楽しいのだろう
この雰囲気を目当てに来たのだけど、想像していた以上に良い
四十八池は西側に志賀山、東側に鉢山とふたつの山に囲まれた湿原で、いくつもの池塘が点在している。
その数は60点ほどあるそうで、その周りにはミズバショウやコバケイソウなどの花々が咲いている。
建てられている看板によると、サンショウウオやモリアオガエルなども棲息してるという。
水面に景色や、霧が煙る様子を楽しみながら、四十八池の木道を歩いて行く。
決して広くはなく、ほんの5分か10分ほどの木道で、圧倒間に終わってしまう場所だったが、天候に関わらず清々しく気持ちが良いところだった。
硯川へ戻る
四十八池を後にすると、すぐに横手山との分岐点に出た。
横手山方面へ進み鉢山を経由しても硯川へ戻ることができる。
今度は横手山へ行くよ
遊歩道は緩やかに下っていく。
12・3分で志賀山との分岐に戻り、そこからは登りと同じ遊歩道を下りていった。
緩やかで歩きやすいため、周りに目を向ける余裕もあり、森林の濃さや看板の蘊蓄を楽しみながら歩くことができた。
良かった。
野生動物に逢わなくて。