雨飾山へ雨飾高原キャンプ場から登る
国道148号線から小谷温泉方面へ。
比較的広くスピードの出やすい県道114号線を上って小谷温泉付近まで来ると急カーブと幅員の狭い道路に変わる。
行き止まりまで上っていくと雨飾高原キャンプ場の駐車場に着き、30台ほどの車が停められる。
紅葉時季の休日には駐車場に停まりきれないほどの車が並ぶこともある。
雨飾高原キャンプ場には車が何台も停まり、テントサイトにはちらほらとテントが見える。
駐車場のすぐ横には登山口と自動販売機があり、トイレと合わせて登山届けの提出もできる。
登山口から入ってすぐ下り坂が続く。
厚く茂った草木が頭上を多い、風を遮ってさっそく暑い空気に囲まれる。
20mほど下ったところで木道が敷かれ、左側に小川を見ながら平坦な道を歩いていく。
水の澄んだ小川には魚が泳ぐ姿も見える。
10分ほど歩いたところで木道は終わり、本格的な登山道へと入っていく。
序盤は木段が整備されているものの、すぐに折り返しの急勾配の登山道に変わる。
真っ赤な粘土質の登山道は濡れていると滑りやすく、木の根や大きな石に足を掛けながら急斜面を登る。
周囲は厚い緑で、大きなブナの林が広がる。
急登と、ときおり平坦な登山道を繰り返しながら35分ほどでブナ平を過ぎた。
深い雪の影響なのかブナの巨木には捻れたような跡が残っているものも見えた。
急な斜面は相変わらずで、ビッシリと生えた木の根を踏み、ところどころにある水たまりと泥を避けながら登っていく。
ブナ平を過ぎ20分ほどのところで、荒菅沢へと下る場所に差し掛かった。
それまでの急斜面と緩斜面の登り坂から、一気に沢へと下りていく。
荒菅沢
登山道を下っていくと木が開けたところからは山頂の岩峰が見え始めた。
岩峰から右へと視線を移すと笹平と、そこへと通じている稜線。
真下には雪渓が見える。
登山口から1時間ほどで到着した荒菅沢はまだ雪に厚く覆われて、暑かった登山道も荒菅沢一帯だけ冷気が漂っているようだった。
過ぎるほどかいた汗も一気に引いていくように荒菅沢では寒さを感じるほど。
水蒸気が風に煽られながら立ち上がっていた。
50mも無いほどの雪渓を渡り、荒菅沢から笹平への急登が始まる。
それまでの急登よりも一層の急勾配で段差も高い。
ハシゴを登り、岩の段差を越えて木が開けたところに出ると、荒菅沢上部の大きな岩の壁が視線の高さに見えた。
その上に見える尖った岩が山頂部。
遠くには登山口のキャンプ場も見える。
高い湿度の中で耐えるように急登を登り、40分ほどのところでようやく尾根に出た。
周りを覆っていた背の高い木も減り、かわりに花が多く見えるようになった。
のどかな雰囲気がある一方で急な勾配は変わらず、狭い岩場とハシゴが連続する登山道が続く。
高い段差のおかげで一歩ずつが大きく、左側は荒菅沢を見下ろす崖のようになっているため、体勢を崩さないように気を配りながらの登り。
体感としては長かった尾根の岩場も15分ほどで笹平に到着した。
笹平
登山口から2時間と掛からずに山頂を見渡す笹平へと到着した。
細かな登り下りが続く笹平は雨飾山の特徴的な場所のひとつ。
遠く離れたところからでも笹平を見つけると雨飾山と分かりやすい。
周囲には身長ほどの笹がビッシリと覆い、その中に様々な花が咲いていた。
盛りを過ぎた花も多く見えたものの笹平でこれほど花が見られるとは思ってもいなかったため、思いがけず良いタイミングで登ることができた。
新潟側からの登山道と合流地点を過ぎ、アップダウンを繰り返しながら山頂の取り付きへ。
ちょうど荒菅沢の真上にあたり、見下ろすと雪渓を渡る足跡が茶色く見えた。
山頂へは高い段差と急な勾配が続く。
高低差は高くはないものの、のんびりとした笹平を過ぎてからいきなりの急勾配は足に堪える。
山頂への登りは、どちらかといえば登りよりも下りに苦労する坂道で、ときどき浮石もあるので高い段差には注意をしたい。
取り付きから10分ほどで双耳峰の分岐に到着した。
雨飾山山頂
登山口から2時間12分で雨飾山の山頂に到着した。
雨飾山は双耳峰とは言われているものの、実際に訪れてみると意外なほど鞍部が浅く山頂部も狭い。
石造の祠が並ぶ北峰と、山頂にあたる南峰。
高い木々などは無いので晴れていれば眺望は良い。
高妻山や妙高山などの戸隠周辺の山々、北アルプス北部や日本海を見ることができる。
下山
山頂から雨飾高原キャンプ場へとピストンで折り返す。
山頂部の急勾配から笹平を見渡すと奴奈川姫の横顔と言われるように、登山道が女性の横顔に見える。
急勾配で足を引っかけないように注意をしながら笹平へと下り、笹平からは尾根の岩場を下りて荒菅沢へ。
湿って滑りやすい登山道に苦労しながらの下山だった。