御幸ヶ原から筑波山を登る
御幸ヶ原の登山道は筑波山の南側の斜面を登るコースで、何本かある登山道の中でも西側に位置している。
筑波神社を正面に見て左側にある鳥居が登山口になっており、すぐ横にはケーブルカーの駅が建っている。
鳥居の前で身支度を整え、御幸ヶ原への登山道へと入っていく。
登山口からしばらくは木の根の繁った足元で、周囲は杉に囲まれた登山道になっている。
風も少なくほどよい気温の中、緩やかに登っていくことができる。
登山開始から5分と掛からないほどで、この登山道の特徴ともいえる階段に差し掛かった。
御幸ヶ原のコースは急な登り坂と長い階段がいくつもあり、登る際の歩幅の調節が憎らしい。
左手側にはケーブルカーの線路があり、それを横目に階段と岩の間とを登っていく。
20分ほど登ったところの登山道が大きく開けベンチが置かれた場所では、登山道とケーブルカーの線路と接するようになっており、柵越しにケーブルカーの様子がのぞき込めるようになっていた。
顔を迫り出して線路の上下を確認すると、駅付近に1台止まっているのが見えた。
登っても登っても相変わらずの石と急勾配の登山道が続いていく。
30分ほど登ったところがこのコール上で最も勾配がキツいのではないかと思える場所で、折り返しながら石段を上り、岩を避け通過していく。
すると登山道は直ぐになだらかに変わり、若干の下りがあった。コースに沿って進んで行くと、目の前には大きくて立派な杉の木が3本立っている。
そのうちの2本は根元から二股に分かれた夫婦杉で、見上げるとさらに上部で太い枝が分かれ、まるで3本の杉になっているようにも見えてくる。
夫婦杉の立派な姿に見入りながら、登山道へと目を移すと緩やかだった坂道は、ふたたび元の急な登りに戻っていた。
岩の斜面を少し登ると男女川の看板に出た。水源地の近くに位置しているようで、ベンチが置かれ休憩がしやすいように整備されていた。
足元には少し水が染み出しているようで冬季とはいえここでは凍結はしていないようだった。
斜面の上の方は枝の間から空が見えるようで、耳を澄ますと話し声も聞こえるような気がする。
御幸ヶ原まではもうすぐで岩の急斜面を登る我慢の時間がもう少しだと思われ、相変わらずの岩・階段の登山道を登っていく。
御幸ヶ原までもうすぐだというところで、長く踏面の狭い階段に差し掛かった。
この階段を登り切り、さらに石の多い登りを過ぎると御幸ヶ原に建つ土産物屋が見えてくる。
登山口から53分。御幸ヶ原に到着した。右側には女体山。左には男体山を見上げ、北側の展望もよく休憩にもちょうど良い。
観光地的に整備されて木や枝がないためか、このあたりから風が強く吹き付けてくる。
日影には雪が凍結して残っているところも。
御幸ヶ原から男体山へ
少し足を止めて息を整えてから山頂ひとつめの男体山へ。
雲が少なく空気が乾いているおかげか、男体山へと登っている最中から西側の眺めが良く、特に富士山が大きく存在感があった。
この景色は男体山の山頂に立つまで見ないように・・・と思っても、登山道の眺めの良い場所からはチラチラと目に入る。
葉の落ちた枝は日光をよく通して、背中に受ける陽射しが温かく凍結部分も無い。
足元も明るくて歩きやすい状態だった。
御幸ヶ原から7分ほどで男体山の山頂に到着。
西側から吹き付ける風が冷たい。
ゆっくりと眺めたかった富士山も風の冷たさで眺望を楽しむのを早々に終了し、物陰へ隠れて防寒着を着た。
男体山の山頂にある社殿は西側を向き、狛犬が1体しか見当たらないのが印象的だった。
登山道を登ってくると、裏側から社殿を回り込むような形になる。
コンクリートで作られた社務所のような小さな建物と、少し離れたところに大きな建物があった。
男体山から女体山
男体山から向かい合うように見える女体山へいったん御幸ヶ原へ戻る。
土産物屋の前を通り過ぎて石段を上がると、なだらかな坂道が続いている。
男体山に比べると女体山の方がなだらかで凹凸も少ないようで歩きやすい。
御幸ヶ原から3分と歩かないうちに、雪が多くなってきた。
たくさんの人が歩いているせいか圧雪状態になっており、登っていくには気を遣う。
ソールが隠れるほども無い積雪量のため、歩く場所を選べば難しいこともなく登っていくことができた。
御幸ヶ原から10分ほどで女体山の山頂に到着。
登山口から男体山を経由して1時間18分ほど。こちらも相変わらずの風だった。
見下ろして見える霞ヶ浦がキラキラときれいで、遠くに霞んで見えるビル群が関東らしい雰囲気に見えた。
青い空がとても気持ちの良い山頂で、風の冷たさが克服できればしばらくここでゆっくりとしたかった。
下山は白雲橋へ
山頂で景色を楽しんだあと、女体山の社殿の裏を通り白雲橋へと下りる。
こちらのコースは巨岩や奇岩が多く、弁慶の七戻りなどの見どころも多い。
ただ山頂付近は雪が残り、場所によっては凍結し滑りやすそうな場所も多く見えた。
下りよりは登りの方が安全に歩くことができるかもしれない。
立て続けに遠すぎていく岩をひとつひとつ見物しながら、20分ほど降りると雪や凍結も無くなった。
ちょうど国割石があり、そこからは歩くペースを上げることができた。
胎内くぐり、弁慶の七戻りと岩を楽しみながら降り、平成23年に倒れてしまった巨木の切り株の大きさに驚き、樹林帯に囲われた中を進んで行く。
登りに使用した御幸ヶ原コースに比べ距離は長いぶん、勾配も緩いようで降りる際の膝に優しい。