天女山入口から権現岳へ登る
積雪期の南八ヶ岳は駐車場が閉じられていることが多く、天女山から権現岳へ登るには、入口になっている交差点の横に車を停めていく。
5台ほどが停められるスペースには除雪機も置かれ、ゲートはしっかり施錠されていた。
交差点から少し歩くと、車道をショートカットして天女山へと向かう遊歩道へ入っていく。
落葉松の葉が積もった足元には、太い霜柱が10センチほどに育ってカチカチに固まっている。
木段が整備されて歩きやすい遊歩道を約20分。
天女山山頂に到着した。
東屋があり、これから登る権現岳と経由する三ツ頭が遠く見える。
東屋から緩やかに5分ほど登ると駐車場に出た。
4月下旬には解放されてココを登山口にスタートができる。
脇に薄く積もった雪を踏みしめながら、駐車場から林の中へ入っていく。
駐車場から上では固く締まった雪。
木が開けたところでは土も出ていた。
駐車場から10分ほどで天ノ河原の展望台に到着。
天ノ河原は八ヶ岳縦断歩道にもなっているので、ここから別のルートへと入っていくこともできる。
振り返れば富士山。南アルプスもよく見える。
権現岳への急登へ
天ノ河原を過ぎてさらに権現岳へ向かって進んでいく。
20分ほど過ぎると周りの落葉松林から権現岳への眺望が開ける。
三ツ頭への急登も見晴らせるよう。
ここから緩やかな雪のルートは30分ほど続く。
急登の始まりの目印は、右側の足元にある小さな石碑から。
標高1,900m付近からだんだんと角度がキツくなっていく。
トレースはステップというよりは滑り下りたように均されている。
右側には木の隙間から真行寺尾根が見え隠れする。
とにかくガマンの登り坂。
目印になる「ここが一番きつい」の看板までは、急登を1時間ほど登った。
「前三ツ頭まで30分」の看板を目安に目の前に見える稜線を目指して行く。
やがて開けた稜線は、まだ南アルプスも富士山も眺望が良いものの、前三ツ頭はまだまだ先。
そして前三ツ頭を過ぎても、三ツ頭はまだ先。
権現岳へは2つのピークを越えていく。
前三ツ頭への急登を登っていくと、右側には赤岳が見えるようになってきた。
目の前に見える青空はなかなか近づかなくて、開けた稜線から20分ほどでようやく前三ツ頭に到着した。
急登の中継地点「前三ツ頭」
前三ツ頭は陽を遮るものが無いせいか雪はすっかり溶けて、足元には熔岩石がゴロゴロと転がっている。
目指す権現岳への途中にある三ツ頭は、前三ツ頭から見える先のピーク。
再び雪の急登を進む。木に囲まれた中は陽が当たらないせいか雪が深く残っているようで、顔の高さに伸びている枝を払いながら登っていく。
前三ツ頭から30分ほどすると木が開けて、目の前に編笠山が見えた。
その奥には御嶽山や中央アルプス、北アルプスが見える。
ここから三ツ頭へ、枯木の並んだ稜線は気持ちが良い。
少し登ると丸い三ツ頭のピークが見えた。
もう少し登ると、丸い三ツ頭から尖った権現岳の頭が見えた。
三ツ頭から権現岳へ
天女山の登山口から3時間ほど。
三ツ頭に到着した。
目指す権現岳や赤岳、阿弥陀岳といった南八ヶ岳の尖った峰々が並んで見える。
赤岳を正面に見ながら、三ツ頭の緩やかな下り坂を進んでいく。
三ツ頭まで来ると気にならなかった風が少し冷たい。
見晴らしの良いピークをいったん鞍部へ下り、権現岳へと再び急登に変わる。
雪の斜面を蛇行するようにトレースが続き、小さなピークを巻くと雪が無くなって石のルートに変わった。
ハイマツも地表に出ているのでアイゼンを履いたままでは足元のいろいろなものに引っかかる。
核心部は山頂直下のトレース箇所。
大きな岩を避けるように、それまで登ってきた角度のある急登を左へとトレースする。
片足ほどの幅に足を差し込み、溶けかかった雪は崩れそうな不安もある。
トレース箇所を過ぎ、権現岳の西側の斜面に出ると山頂の大きな岩が見えた。
権現岳山頂
登山口から3時間40分。
急登の続く権現岳の山頂へ到着した。
アルプスや秩父の山々、富士山などなど360度の眺望で、八ヶ岳北端の蓼科山まで雲ひとつ無く景色を堪能できた。