冬の伊吹山を登る
伊吹山への登山口は米原の上野にある三ノ宮神社から。
民家が多く建つ集落の中にあり、個人の駐車場を有料で借りることができる。
名神高速道路を関ヶ原ICで下り、国道365を米原方面へと進む。
雪のある季節はスリップしそうな道路を20分ほど。
ドライブウェイの入口を過ぎて県道531から551へ。
1日の駐車料金は500円。
朝早くから道路で手招きをしている駐車場もあれば、停めてしまってから後払いで済む駐車場もある。
少し朝早めの時間に登山口へ。登山届けと入山協力金の箱が備えられた登山口から伊吹山への林道へ入っていく。
林道に入ってすぐに階段があり、登山道が上へと続いている。
ブログやウェブサイトで見ていたとおり、登山道上は雪解けなどの水気でグチャグチャになっている様子が見えたが、朝の寒さから固く凍っていたため靴を汚すことも無く歩みを進めていく。
木々に囲われ、前日まで天候に恵まれなかったせいか、比較的雪が残っていると思われる登山道。
積雪と融解を繰り返し、さらに踏み締められたようで圧雪というよりは氷りになって滑りやすい。
登山口から20分ほどで1合目に着いた。
夏季はタクシーでここまで登ることができる。以前はスキー場として経営していたため、ゲレンデの雰囲気を残した斜面は木々が開け周辺の眺めも良い。
東の空は太陽が昇り空が明るくなってきた。
1合目からは雪の量も多く、斜面も徐々に急勾配に変わっていくため滑り止めがあった方が歩きやすい。
振り返れば米原と三重県北部の山々。
ゲレンデを直登していくルートは、景色は大きく代わり映えがなく、ただひたすらに高度を上げていく。
足元の雪はたくさんの足跡に固められて歩きやすい状態のまま続いていく。
1時間ほど登ったところで、目の前に大きく伊吹山の姿が見えた。
そこに見える頂点が伊吹山の山頂で、3合目の立て看板があるものの朝陽を受ける存在感から遠く高く見えた。
登山開始から約1時間ほどだった。
伊吹山3合目
伊吹山は3合目からの眺めがもっとも存在感があるように見えた。
特に朝陽を受ける時間帯は陰影の濃さからか神々しさがあり、数字が示す標高以上の高さを感じた。
鮮明な踏み跡はどこを歩いても到達する場所が同じようで、いくつにも分かれながらも合流を繰り返し、どちらが近いか・勾配がキツいかなどと考えなくても、いずれすぐに合流すると思いながら登っていける。
3合目から15分ほどで5合目を通過。
6合目にある避難小屋がすぐ近く見える。
ただこの辺りから徐々に勾配がキツくなり始め、それまでのゲレンデを縫うような登りが穏やかなものだったと感じられた。
6合目からの急勾配
目の前に見える山頂へ登り坂はいかにも急で、先行する登山者が前に進んでいる様子が見えないまま、どんどん距離を詰めていってしまったので、いかにも苦労しそうな雰囲気だった。
6合目にある避難小屋は石造りで休憩にも適した位置だった。
振り返って見下ろせば雲と同化する琵琶湖が見え、三合目や米原は遥か下に見えた。
目の前には、木々の疎らになり、ますます急になっていく登山道。
山頂へと向かってまっすぐに登っていく。
高くなっていくほどに傾斜角度はキツくなっていく。
伊吹山はシリセードが流行っているのか、登山道にはステップが削られたようになっている箇所が多く、また新雪部には足跡が無数に付いていた。
下山時に気が付いたことだが、勾配がキツいと下りが難しく、ましてやシリセードで固められていると滑り台を立って降りているようで、それよりは新雪に足を差しながらの方が遥かに楽で安全だった。
先行して登っていく登山者もステップの無い急勾配には苦労をしているようで、アイゼンを固まった斜面に差しながら進んでいた。
振り返った景色はますます高く青空が濃くなって真っ白な斜面に良く映える。
山頂近くになると木の枝には霧氷がつき、関西圏の山とは思えないほどの冬山の景色だった。
伊吹山山頂
急な斜面を登り切ると、穏やかな登りの山頂部に出た。右側には山小屋と標が見え、木々にはエビの尻尾が大きく育っていた。
風を避けるものが一切なく、冷たい風がそのまま吹き付けてくる。
建物と登り坂に従って進んで行くと、日本武尊の像が立つ山頂らしきものが見えた。
登山口からは約2時間ほど。
伊吹山の山頂に到着した。
広い山頂は緩やかな勾配が付いているが、難なく景色を楽しみながら歩き回ることができる程度で雪景色を堪能できた。
夏季であればお花畑や、日本神話を感じさせる社殿などを見て回る事もできる。
日本武尊は、西側から受ける風雪のせいで体半分だけが白く、背中だけにゴジラのようにエビの尻尾が小さく育っていた。
伊吹山からの下山
登りと同じルートでの下山は、登りで苦労をした急勾配を下っていく。
登山道上から見下ろすと、かなり多くの人が登ってきているのが見えたこともあり、踏み締められたルートではなく新雪へと入って降りることに。
登ってくる人たちの装備は様々で、バックカントリーを楽しむためのスキーヤーやボーダー、スノーシューなど。
雪山としての人気の高さが伺える人の多さだった。