2500mを越える稜線へ

上河内岳

2802m

2017年7月25〜26日

上河内岳 登山(椹島) (7月)|雲海が広がる南アルプスの眺望を見る二百名山
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上河内岳は長野と静岡の境界線上に位置する日本二百名山。
畑薙や便ヶ島などの登山口が複数あるが山深く茶臼岳や聖岳など周辺の山々とのあわせて縦走されることも多い。
山頂部は南アルプス南部を見渡す絶好の眺望ポイントで、山頂へと至るルートは花々を多く楽しむことができる。

山頂部からは南アルプスを見渡す。
間近に見える聖岳の山容の大きさや、さらに南へと延びる茶臼岳、光岳から池口岳への稜線を眺める。
聖平からは稜線へと上がり、登山道では花をあちらこちらに楽しむことができる。
運が良ければライチョウも見ることができる。

雨の予報が続く中で雲が多く、蒸し暑い日が続く。
初日の朝は登山口の聖沢で24℃の薄曇り。
時間が経つにつれて雲は厚くなり、昼ごろにはいつ雨が降り出しても不思議はない空の明るさになった。
2日目の予報は雨。
雲が下がったおかげで標高の高い地点は晴れて雲海が広がった。
雲の流れが速く、時間が経つにつれてガスが高く上がり、昼ごろには断続的に雨が降り出した。

歩いたコース

登り
聖沢
下り
畑薙大吊橋
最高標高
2802m
登山口標高
1129m
距離
20.30km
累積標高
2165m
2337m
平均斜度
12.5度
時季
2017年7月
天気
曇り時々雨
日程
1泊2日(山小屋泊)
歩行ペース
登り5:39/下り3:26/合計9:05
平均の歩行速度
2.24km/h

この日のペース

初日

  1. 聖沢登山口
  2. 聖平吊り橋(1:02)
  3. 小屋跡(1:43)
  4. 滝見台(3:36)
  5. 聖平小屋(4:03)

2日目

  1. 聖平小屋
  2. 南岳(5:00)
  3. 上河内岳山頂(5:38)
  4. 茶臼岳分岐(6:30)
  5. 茶臼小屋(6:36)
  6. 横窪沢小屋(7:22)
  7. ウソッコ沢小屋(8:00)
  8. 畑薙大吊橋(9:05)

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山と高原地図 塩見・赤石・聖岳
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「梅雨明けしたのに」と言いたくなるほどの雲の多さとハッキリしない天気でした。
聖沢登山口からは聖岳へも登れるため、天候さえ良ければ聖岳を含めた登山行程でしたが、雨の予報が出ていたため、南岳から上河内岳、茶臼岳方面へと進みました。
南アルプス南部の山はどこを見てもスケール感の大きな山ばかりで、それにも関わらず谷間に見える登山口らしき沢筋が近いようで遠く印象的に見えました。
上河内岳もその周辺の山々もアクセスには時間が掛かり、数字上の高低差以上に時間の掛かる登山になるように感じました。
日程や体力に余裕を持った行程で、いくつも縦走をしたい山域です。

使った登山道具

持って行った水の量

上河内岳へ聖沢から

南アルプスへの登山口は主に長野県飯田市と静岡市葵区から。
聖平へ行くには静岡側の井川にある駐車場からバスに乗って椹島方面へと向かう。
バスは予約が必要で、宿泊する山小屋によって井川観光協会か東海フォレストかを選ぶ。
ゲートの手前にある最終の駐車場は沼平。
バスに乗って椹島方面へと向かい、1時間ほどで登山口の聖沢へと到着する。

上河内岳登山

朝は静岡駅前から沼平へ向けて出発

沼平からのバスに乗り約1時間。
東に笊ヶ岳、西には茶臼岳、上河内岳と高い山に囲まれた谷間を椹島方面へと進んで行く。
ほぼ未舗装の悪路で、バスは乗り心地良くゆっくりと走る。

上河内岳登山

バスのシートにゴミ袋が被せてあったのが良かった

聖沢に到着するとバス停のすぐ前に登山口がある。
登山口から見える登山道はいきなりの急勾配で、大きな木の中を折り返しながら登っていく。

上河内岳登山

いきなり急登な感じ

15分ほど登ったところで尾根のように左右が斜面が落ちた地点に出て、木の間から東側の景色が見える。
登山道を振り返ると、登ってきた斜面が遥か下に見える。

上河内岳登山

地味だけど滑ったら落ちる感じじゃないかと。

登山口から30分ほどで一気に急登を過ぎ、斜面をトラバースするように変わった。
急な斜面を横切っているからか幅が狭く30センチか40センチほど。
擦れ違うのにも気を遣うほどの狭く平坦な登山道を過ぎていく。
山の尾根を巻いていくように登山道が続き、細かくアップダウンを繰り返しながらトラバースが続く。
谷側は高く切れ落ち、山側はいまにも石が落ちてきそうな高く伸びている。
ところどころに鉄橋が掛けられ、手すりが整備されているところも。

標高2100mまでの急登

登山口から1時間ほど歩いたところで吊り橋に差し掛かった。
幅60センチほどの吊り橋は揺れが大きい。

上河内岳登山

吊り橋は南アルプスっぽいイメージ

長く続いたトラバースのルートも吊り橋から再び急登に差し掛かる。
ところどころに岩の転がる登山道を折り返しながら登る。
高い石の段差と木の根を踏みながら高度を上げて行く。
南アルプスらしい深い緑の中を登り1時間40分ほどで造林小屋跡の跡地に着いた。

上河内岳登山

別に何かあるわけじゃなくて、なんとなく跡地になってる

造林小屋跡は標高1960m。
トラバースも含め登山口から短い時間で800m近く登ってきた。
造林小屋の周辺は平坦で開けているところもあり、休憩にはちょうど良い場所。
聖平までまだ500mほど登りがあり距離も長い。

急登後のトラバースルート

小屋跡のいったんの緩斜面も過ぎるとすぐに急な勾配が戻る。
右手側の木の間からは高い山の尾根が見えるが、雲の流れが速くすぐに真っ白な空に変わっていく。
折り返しながらの急登を過ぎ、標高が2000mを越えたところで乗越に出た。

上河内岳登山

晴れる予定だったのだけど。

晴れていればここから聖岳の山頂が見える。
しばらく続いた急登からアップダウンを繰り返す登山道に変わる。
周囲は相変わらずの樹林帯に囲まれる。
天候が良ければ違う景色も見られたような気持ちになりながらも木の中を歩いて行く。

水場を過ぎてからはトラバース気味の平坦なルートが徐々に狭くなっていく。
吊り橋を越えるとその幅はますます狭く、急な斜面を横切るようにして細かくアップダウンを繰り返していく。
ときには崩落ヶ所があり、ロープと先行して踏み固められた足場を便りに渡って行くようなところも何カ所か見られた。
木に覆われた日影の多いルート上も南アルプスらしく花が多く見られ、最盛期ならば狭い登山道も楽しめそうだった。

岩頭滝見台

ガレ沢を渡るとそこまで若干の下りだった登山道が登りに変わる。
登ると再び平坦で細かなアップダウンの登山道に戻り、見晴らしの良い岩場からはガスの中に聖沢大滝を見下ろす。

上河内岳登山

高いのは苦手なんです。。。

天候はますますガスが濃くなり、いつ雨が降り出してもおかしくないほど。
登山道は濡れて木の根や木段が整備された場所などは滑りやすく、泥の付いた岩場にも気を遣う。

岩頭滝見台まで来ると聖平小屋までは2キロほど。
断崖絶壁の近くに立つと眼下にキレイな沢が見える。
いよいよ聖平が近いことが分かる場所ながらも、相変わらずの眺望の無さと天候の悪さで体感時間が長く、なかなかに辿り着かない印象を持ちながら歩く。

上河内岳登山

遠い。聖平小屋。

沢を渡り、平坦な中を歩きながらもう一度、沢を渡り戻す。
岩頭滝見台からは40分ほど掛けてようやく聖平小屋に到着した。

上河内岳登山

あたり一面まっしろだから

聖平小屋

初日の行程は聖平小屋まで。
ここで1泊して天候を確認しつつ明日に備える。
聖平小屋で宿泊の手続きを済ませると入口に用意されたフルーツポンチを頂く。
ひとり1杯までのサービスで、ここに来ての甘い物が嬉しい。

上河内岳登山

もう最後だからって言って頂いて2杯食べた

ケータイの電波状況が悪く、情報の入手手段はテレビの天気予報のみだった。
夕食は4時半から。
翌朝の朝食も4時半という早さで、就寝は寝袋に雑魚寝というスタイルだった。

2日目

聖岳か上河内岳かという選択ができた2日目は、天候の様子から上河内岳へ。
帰りの林道で乗ることのできるバスも限られているため、沼平に近い茶臼岳方面への下山という予定にしていたため、無理のない行程を選んだ。

朝食後の朝5時頃には聖平小屋を出発。
まずは上河内岳の北側聳える南岳へ。
小屋の南側にあるという花畑は時季を過ぎてしまい、若干のニッコウキスゲがもたれているのみ。
5分ほどのところにある分岐を上河内岳方面へと進んだ。

すぐに木々の中に入り急な登りを歩いて行く。
このあたりからケータイの電波が入るようになったため通知音が次々と鳴る。
麓の井川から圏外が続いていた。

上河内岳登山

圏外が長かったから通知音がピロンピロン・・・

樹林帯の中の尾根沿いを辿っていく登山道を30分ほど。
眺望が開け背の低いハイマツに覆われた急登に差し掛かった。
一気に見晴らしの良い状態になっても周りをも渡すと雲に覆われている。
ガレガレとした急登から登り切り立った尾根に立つ。

上河内岳登山

おお・・・

振り返ると聖岳に掛かる雲が切れ始め、これから先にある南岳の上部には青空もチラチラと見えてきた。
登山道の右側は大きく崩れた砂礫の崖が深く落ちている。
ハイマツの中には少しずつイワカガミなどの高山らしい花も見えてくるようになった。

南岳

20分ほど登り南岳に到着。
ハイマツに覆われたなだらかな山頂に立つと、僅かな時間しか経っていないにも関わらず青空が広がっていた。

上河内岳登山

実はここが上河内岳だと思ってた。

聖岳は山頂部だけが雲に覆われている。
南側には上河内岳。
狭い尾根が連なり、遠くからでも花々が咲いているのが見える。

南岳の山頂から少し下り、尾根筋の斜面に沿って登山道を進む。
とても幅の狭い登山道で、両足を並べることができないほど。
その谷側には群生する花。
流れの速いガスが通り過ぎていく中、尾根から上河内岳の肩へと登っていく。

上河内岳

上河内岳の肩から山頂へは15分ほどの登り坂。
山頂から茶臼岳方面へ向かうことができず、肩に戻ることになるので荷物をデポして山頂へと向かうこともできる。
肩から山頂へは九十九折りの急登。
細かな石が散らばる登山道を登っていく。

聖平小屋から1時間半ほど掛けての山頂到着。
前日の聖沢から図ると5時間38分での到着だった。
聖岳を向くように上河内岳の標が立つ。
南北に細長い形の山頂で360度の眺望が広がる。
雲のかかった南アルプス。
雲海の中に少しだけ顔を見せる富士山と、西側には中央アルプス、少し離れたところに一際大きく存在感のある御嶽山。
南側の茶臼岳や光岳は雲が少なく稜線が連なる様子が見えた。

上河内岳登山

けっこう良かった。
けど山深さはあまり感じなかった。

茶臼岳分岐

上河内岳からはさらに南下して茶臼岳方面へと向かう。

上河内岳登山

元気だったら茶臼岳も登ろう

山頂から肩へ下り、さらに岩場の急坂を下りていく。
北アルプスのような大きな岩の急坂が続き、その先に見える平坦な樹林帯の深さが南アルプスらしい。
上河内岳から30分ほど下りると、平らで広い場所に差し掛かる。
細かな石が敷き詰めらた幕営地のような場所で、ここから見る上河内岳も良い。

上河内岳登山

このへんの景色は見逃せないと思ってた

平坦な場所から樹林帯を抜けて登り返し、丸味のあるピークを横切って茶臼岳分岐へ。
目の前に近づいてくる茶臼岳の存在感がある。
分岐点からは矢印に沿って茶臼小屋へと下りていく。

畑薙への下山

茶臼岳分岐から5・6分ほどで茶臼小屋を過ぎていく。
茶臼小屋を過ぎると樹林帯に入り、樺段という急な登山道を横窪沢へと下りていく。
高い段差と濡れた木の根が滑りやすい。
厚い樹林帯の急登が北岳の白根御池や鳳凰山の御座石を思い出され、南アルプスらしく感じられた。
茶臼小屋から約1時間で横窪沢小屋に到着。

上河内岳登山

終盤に来て登ったり下りたりがあるんだな

小屋の前を横切って沢を渡って登り返し横窪峠を越える。
ここからウソッコ沢小屋への下りは、このルートでももっとも長く急な箇所で、延々と坂道が続く。
遥か下まで見える斜面を細かく九十九折りに下り続ける。
とにかく長い坂道で、下りきったと思ったところで僅かながら登り返したりトラバースしたり。
手すりの低い鉄階段があり、沢を渡る吊り橋がありとバラエティに富んでいた。

横窪沢小屋からは40分ほどでウソッコ沢小屋に到着し、沢に沿って下山を進めていく。
ウソッコ沢小屋からは吊り橋を3つ越え、その中には急な登り返しもあった。
いよいよ大きな川らしい気配が感じられ、木の間からその様子が見られたところで、ヤレヤレ峠への登り返し。

ヤレヤレ峠を過ぎるとようやく畑薙大吊橋が見えるようになる。
そこからも狭いトラバースのルートは続き、状況によっては崩落しているところもあって気が抜けない。
急登を下るといよいよ畑薙大吊橋に到着した。

上河内岳登山

知ってたけど長かった。吊り橋。

畑薙大吊橋は全長181mの長い吊り橋で、工事用の足場板が1枚並べられただけの60センチほどの幅しか無い。
橋の高さは明記されていないものの数十メートルあると思われ、定員15人とはいえ一人でも十分過ぎるほど揺れを感じる。
端から端まで歩くのにも5分ほど。
高いところが苦手な人にはお勧めできない長い吊り橋だった。
渡りきると林道と合流。
最後の最後に難所がある下山道を無事に歩いた。

下山後に立ち寄った温泉

南アルプス赤石温泉 白樺荘

畑薙から最寄りにある市営温泉施設。
内湯と露天風呂が楽しめ、アルカリ性の単純硫黄泉でヌルヌルとした感触が楽しめる。
比較的低めの温度で浸かりやすく、湯船も広いためゆっくりと温泉を楽しむことができる。
温泉以外に宿泊や食事も可能で登山口へと向かうには立地も都合が良い。

ゲートから最も近い温泉施設ということや、バスの停留所になっていることで、すぐに汗を流せるのが嬉しいところです。
便利な立地だけに、ほとんどの登山者がここを利用するようで、バスの到着に合わせ混みます。
山小屋の宿泊からバスの乗り降りなどで、見た人が温泉まで同じタイミングになることがあるくらいです。
露天風呂からは茶臼岳が見えるようで、ひんやりとした空気で気持ちが良かったです。
食事は鹿肉やヤマメが楽しめ、下山後でも山が堪能できるようでした。

お世話になった山小屋

横窪沢小屋

畑薙からウソッコ沢の急登を経たところに建つ山小屋。
茶臼岳への中継地点に位置し、周囲を厚い樹林帯に囲まれている。
入口の看板には「一期一会」の文字が大きく掲げられ、Tシャツなどの土産物にも同様の文字が見える。
疲れた登山者にはお茶を出していることもあるそうで、小屋番は一人で切り盛りをしているという。
営業期間は夏季のみと短いが、茶臼岳方面への1泊以上の行程ならば、急登後の宿泊にはちょうどいい場所に建っている。

長い長い樹林帯の中、休憩したいポイントに建っている小屋という印象でした。
畑薙からの急登は長く険しいですし、逆に下りでも急な勾配は膝への負担もあって、横窪沢小屋のベンチはありがたかったです。
下山するにしても、登るにしてもまだ中間地点という場所なので、ここで1泊して翌日に茶臼岳、そして下山という行程もアリかなと思いました。
夕飯にはハンバーグが準備されることもあり、トイレは水洗という山小屋にしては設備も食事も整っている印象でした。

茶臼小屋

茶臼岳直下にある山小屋で、山頂までは約30分。
傾斜地に建っているため西側の眺めが良く1階の食堂の窓からも景色を楽しむことができる。
広くは無いものの幕営地もあり、南アルプスの縦走には便利な立地で、宿泊者にはフルーツポンチのサービスもある。

おそらくここが森林限界のギリギリなのかなと思えるところでした。
茶臼小屋のすぐ下には木々が茂り、上にはハイマツが生い茂っていました。
山頂や稜線にも近く、南アルプスの縦走ではなくても立ち寄りやすい場所だと思います。
決して大きな山小屋ではありませんが、眺めが良く佇まいや雰囲気も良いところでした。
室内に多く貼られていた望月将悟さんのポスターが興味をそそりました。
他の山小屋と同じように宿泊者へのフルーツポンチのサービスも嬉しいです。

聖平小屋

聖岳から南側への縦走路から150mほど離れたところに建つ山小屋。
宿泊者はフルーツポンチを頂くことができる。
広い部屋での寝袋での宿泊で、寝袋持参の場合は宿泊料金から1000円の値引きがある。

とてもキレイな山小屋でした。
到着した際のフルーツポンチが嬉しいサービスでした。
宿泊者全員が同じ部屋で寝泊まりするので、着替えなどは2回の更衣室を使わせてもらいました。
トイレは少し歩くので不便にも感じますが、とてもキレイで清潔感があり水洗のように流すこともできました。
朝ご飯や夕飯は、どちらも4時半からでとても早くから食べられるので、夜はゆったり過ごすことができ、朝は早めの出発にも都合が良かったです。
ケータイが圏外なので天気やルートのチェックはしづらいですが、置いてある雑誌やマンガを読みながら過ごしました。

周辺の山

同じ時季に登った山