上河内岳へ聖沢から
南アルプスへの登山口は主に長野県飯田市と静岡市葵区から。
聖平へ行くには静岡側の井川にある駐車場からバスに乗って椹島方面へと向かう。
バスは予約が必要で、宿泊する山小屋によって井川観光協会か東海フォレストかを選ぶ。
ゲートの手前にある最終の駐車場は沼平。
バスに乗って椹島方面へと向かい、1時間ほどで登山口の聖沢へと到着する。
![上河内岳登山](https://tozan100kei.com/img/common/feel-icon.jpg)
朝は静岡駅前から沼平へ向けて出発
沼平からのバスに乗り約1時間。
東に笊ヶ岳、西には茶臼岳、上河内岳と高い山に囲まれた谷間を椹島方面へと進んで行く。
ほぼ未舗装の悪路で、バスは乗り心地良くゆっくりと走る。
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バスのシートにゴミ袋が被せてあったのが良かった
聖沢に到着するとバス停のすぐ前に登山口がある。
登山口から見える登山道はいきなりの急勾配で、大きな木の中を折り返しながら登っていく。
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いきなり急登な感じ
15分ほど登ったところで尾根のように左右が斜面が落ちた地点に出て、木の間から東側の景色が見える。
登山道を振り返ると、登ってきた斜面が遥か下に見える。
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地味だけど滑ったら落ちる感じじゃないかと。
登山口から30分ほどで一気に急登を過ぎ、斜面をトラバースするように変わった。
急な斜面を横切っているからか幅が狭く30センチか40センチほど。
擦れ違うのにも気を遣うほどの狭く平坦な登山道を過ぎていく。
山の尾根を巻いていくように登山道が続き、細かくアップダウンを繰り返しながらトラバースが続く。
谷側は高く切れ落ち、山側はいまにも石が落ちてきそうな高く伸びている。
ところどころに鉄橋が掛けられ、手すりが整備されているところも。
標高2100mまでの急登
登山口から1時間ほど歩いたところで吊り橋に差し掛かった。
幅60センチほどの吊り橋は揺れが大きい。
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吊り橋は南アルプスっぽいイメージ
長く続いたトラバースのルートも吊り橋から再び急登に差し掛かる。
ところどころに岩の転がる登山道を折り返しながら登る。
高い石の段差と木の根を踏みながら高度を上げて行く。
南アルプスらしい深い緑の中を登り1時間40分ほどで造林小屋跡の跡地に着いた。
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別に何かあるわけじゃなくて、なんとなく跡地になってる
造林小屋跡は標高1960m。
トラバースも含め登山口から短い時間で800m近く登ってきた。
造林小屋の周辺は平坦で開けているところもあり、休憩にはちょうど良い場所。
聖平までまだ500mほど登りがあり距離も長い。
急登後のトラバースルート
小屋跡のいったんの緩斜面も過ぎるとすぐに急な勾配が戻る。
右手側の木の間からは高い山の尾根が見えるが、雲の流れが速くすぐに真っ白な空に変わっていく。
折り返しながらの急登を過ぎ、標高が2000mを越えたところで乗越に出た。
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晴れる予定だったのだけど。
晴れていればここから聖岳の山頂が見える。
しばらく続いた急登からアップダウンを繰り返す登山道に変わる。
周囲は相変わらずの樹林帯に囲まれる。
天候が良ければ違う景色も見られたような気持ちになりながらも木の中を歩いて行く。
水場を過ぎてからはトラバース気味の平坦なルートが徐々に狭くなっていく。
吊り橋を越えるとその幅はますます狭く、急な斜面を横切るようにして細かくアップダウンを繰り返していく。
ときには崩落ヶ所があり、ロープと先行して踏み固められた足場を便りに渡って行くようなところも何カ所か見られた。
木に覆われた日影の多いルート上も南アルプスらしく花が多く見られ、最盛期ならば狭い登山道も楽しめそうだった。
岩頭滝見台
ガレ沢を渡るとそこまで若干の下りだった登山道が登りに変わる。
登ると再び平坦で細かなアップダウンの登山道に戻り、見晴らしの良い岩場からはガスの中に聖沢大滝を見下ろす。
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高いのは苦手なんです。。。
天候はますますガスが濃くなり、いつ雨が降り出してもおかしくないほど。
登山道は濡れて木の根や木段が整備された場所などは滑りやすく、泥の付いた岩場にも気を遣う。
岩頭滝見台まで来ると聖平小屋までは2キロほど。
断崖絶壁の近くに立つと眼下にキレイな沢が見える。
いよいよ聖平が近いことが分かる場所ながらも、相変わらずの眺望の無さと天候の悪さで体感時間が長く、なかなかに辿り着かない印象を持ちながら歩く。
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遠い。聖平小屋。
沢を渡り、平坦な中を歩きながらもう一度、沢を渡り戻す。
岩頭滝見台からは40分ほど掛けてようやく聖平小屋に到着した。
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あたり一面まっしろだから
聖平小屋
初日の行程は聖平小屋まで。
ここで1泊して天候を確認しつつ明日に備える。
聖平小屋で宿泊の手続きを済ませると入口に用意されたフルーツポンチを頂く。
ひとり1杯までのサービスで、ここに来ての甘い物が嬉しい。
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もう最後だからって言って頂いて2杯食べた
ケータイの電波状況が悪く、情報の入手手段はテレビの天気予報のみだった。
夕食は4時半から。
翌朝の朝食も4時半という早さで、就寝は寝袋に雑魚寝というスタイルだった。
2日目
聖岳か上河内岳かという選択ができた2日目は、天候の様子から上河内岳へ。
帰りの林道で乗ることのできるバスも限られているため、沼平に近い茶臼岳方面への下山という予定にしていたため、無理のない行程を選んだ。
朝食後の朝5時頃には聖平小屋を出発。
まずは上河内岳の北側聳える南岳へ。
小屋の南側にあるという花畑は時季を過ぎてしまい、若干のニッコウキスゲがもたれているのみ。
5分ほどのところにある分岐を上河内岳方面へと進んだ。
すぐに木々の中に入り急な登りを歩いて行く。
このあたりからケータイの電波が入るようになったため通知音が次々と鳴る。
麓の井川から圏外が続いていた。
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圏外が長かったから通知音がピロンピロン・・・
樹林帯の中の尾根沿いを辿っていく登山道を30分ほど。
眺望が開け背の低いハイマツに覆われた急登に差し掛かった。
一気に見晴らしの良い状態になっても周りをも渡すと雲に覆われている。
ガレガレとした急登から登り切り立った尾根に立つ。
![上河内岳登山](https://tozan100kei.com/img/common/feel-icon.jpg)
おお・・・
振り返ると聖岳に掛かる雲が切れ始め、これから先にある南岳の上部には青空もチラチラと見えてきた。
登山道の右側は大きく崩れた砂礫の崖が深く落ちている。
ハイマツの中には少しずつイワカガミなどの高山らしい花も見えてくるようになった。
南岳
20分ほど登り南岳に到着。
ハイマツに覆われたなだらかな山頂に立つと、僅かな時間しか経っていないにも関わらず青空が広がっていた。
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実はここが上河内岳だと思ってた。
聖岳は山頂部だけが雲に覆われている。
南側には上河内岳。
狭い尾根が連なり、遠くからでも花々が咲いているのが見える。
南岳の山頂から少し下り、尾根筋の斜面に沿って登山道を進む。
とても幅の狭い登山道で、両足を並べることができないほど。
その谷側には群生する花。
流れの速いガスが通り過ぎていく中、尾根から上河内岳の肩へと登っていく。
上河内岳
上河内岳の肩から山頂へは15分ほどの登り坂。
山頂から茶臼岳方面へ向かうことができず、肩に戻ることになるので荷物をデポして山頂へと向かうこともできる。
肩から山頂へは九十九折りの急登。
細かな石が散らばる登山道を登っていく。
聖平小屋から1時間半ほど掛けての山頂到着。
前日の聖沢から図ると5時間38分での到着だった。
聖岳を向くように上河内岳の標が立つ。
南北に細長い形の山頂で360度の眺望が広がる。
雲のかかった南アルプス。
雲海の中に少しだけ顔を見せる富士山と、西側には中央アルプス、少し離れたところに一際大きく存在感のある御嶽山。
南側の茶臼岳や光岳は雲が少なく稜線が連なる様子が見えた。
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けっこう良かった。
けど山深さはあまり感じなかった。
茶臼岳分岐
上河内岳からはさらに南下して茶臼岳方面へと向かう。
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元気だったら茶臼岳も登ろう
山頂から肩へ下り、さらに岩場の急坂を下りていく。
北アルプスのような大きな岩の急坂が続き、その先に見える平坦な樹林帯の深さが南アルプスらしい。
上河内岳から30分ほど下りると、平らで広い場所に差し掛かる。
細かな石が敷き詰めらた幕営地のような場所で、ここから見る上河内岳も良い。
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このへんの景色は見逃せないと思ってた
平坦な場所から樹林帯を抜けて登り返し、丸味のあるピークを横切って茶臼岳分岐へ。
目の前に近づいてくる茶臼岳の存在感がある。
分岐点からは矢印に沿って茶臼小屋へと下りていく。
畑薙への下山
茶臼岳分岐から5・6分ほどで茶臼小屋を過ぎていく。
茶臼小屋を過ぎると樹林帯に入り、樺段という急な登山道を横窪沢へと下りていく。
高い段差と濡れた木の根が滑りやすい。
厚い樹林帯の急登が北岳の白根御池や鳳凰山の御座石を思い出され、南アルプスらしく感じられた。
茶臼小屋から約1時間で横窪沢小屋に到着。
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終盤に来て登ったり下りたりがあるんだな
小屋の前を横切って沢を渡って登り返し横窪峠を越える。
ここからウソッコ沢小屋への下りは、このルートでももっとも長く急な箇所で、延々と坂道が続く。
遥か下まで見える斜面を細かく九十九折りに下り続ける。
とにかく長い坂道で、下りきったと思ったところで僅かながら登り返したりトラバースしたり。
手すりの低い鉄階段があり、沢を渡る吊り橋がありとバラエティに富んでいた。
横窪沢小屋からは40分ほどでウソッコ沢小屋に到着し、沢に沿って下山を進めていく。
ウソッコ沢小屋からは吊り橋を3つ越え、その中には急な登り返しもあった。
いよいよ大きな川らしい気配が感じられ、木の間からその様子が見られたところで、ヤレヤレ峠への登り返し。
ヤレヤレ峠を過ぎるとようやく畑薙大吊橋が見えるようになる。
そこからも狭いトラバースのルートは続き、状況によっては崩落しているところもあって気が抜けない。
急登を下るといよいよ畑薙大吊橋に到着した。
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知ってたけど長かった。吊り橋。
畑薙大吊橋は全長181mの長い吊り橋で、工事用の足場板が1枚並べられただけの60センチほどの幅しか無い。
橋の高さは明記されていないものの数十メートルあると思われ、定員15人とはいえ一人でも十分過ぎるほど揺れを感じる。
端から端まで歩くのにも5分ほど。
高いところが苦手な人にはお勧めできない長い吊り橋だった。
渡りきると林道と合流。
最後の最後に難所がある下山道を無事に歩いた。