赤岩尾根から鹿島槍ヶ岳への登山
今回の鹿島槍ヶ岳は日帰りの行程のため登山口は大谷原。
大町市街地から扇沢へと向かう国道45号線へ。
大町温泉郷付近から爺ヶ岳スキー場へ向かって国道325号線へと入っていく。
左手に爺ヶ岳の山壁を見上げながら、HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場への分岐を過ぎ、林道の通行止めゲート前に大谷原の駐車場に着いた。
大谷原には登山届けが提出できるポストがあり、ゲートの先を見上げると目指す稜線があった。
気温が下がって冠雪した北アルプスの稜線。
朝陽が山肌を赤く染める時間に、大谷原から鹿島槍ヶ岳を目指して登山を始めた。
そういえば大谷原へ向かう道中で、真っ黒な塊が道を横切るのを見た。
大谷原付近は熊が出没する場所でもあり、薄暗い中での登山口到着は若干の不安を感じるばかり。
あの過ぎて行った黒い塊は熊だと思うんだ
大谷原から西俣出合へ
登山口から40分ほどは緩やかな林道を歩いていく。
護岸工事のための許可車両だけが通ることができる林道で、朝早い時間帯は車の通りも無く広く歩きやすい。
緩やかなに高度を上げつつ赤岩尾根へ。
林道で大型の獣を見ることがなくて良かった
赤岩尾根の取り付きになる西俣出合では砂防ダムの下を潜る。
人が通れる程度のトンネルが設けられている。
明かりの見えるトンネルとはいえ生温かな空気に狭い空間は居心地が良いものでは無かった。
薄暗いし生温かいし気持ちが悪いトンネルだった
赤岩尾根へ
空気の冷たい時間帯ではトンネルの中は生暖かく湿度が高い。
30mほどの短いトンネルで、ここからいよいよ登山道へと入っていく。
大きな石と木の葉の散った登山道を5分ほど水平に進むと、折り返しながら急登が始まる。
ところどころに木段や鉄のハシゴが用意され、転倒しそうなところでは網も取り付けられている。
とはいっても、斜面は急で登るのには苦労する。
目の前には爺ヶ岳の南峰。
斜面の紅葉を見ながら登山道を登っていく。
大型の獣に出くわすんじゃないか??ってずっと思ってた
樹林帯に囲まれて大きな石やハシゴを登り続ける。
近く大きく見える爺ヶ岳に対して、鹿島槍ヶ岳はなかなか山容が見えず、急登がなおさら遠い存在のように感じる。
登山道で大きな声を出していたのは僕です
鹿島槍ヶ岳を望む高千穂平から赤岩尾根のトラバース
2時間
大谷原から約2時間。
ようやく頭上の木の葉が明るくなり尾根に出る気配がし出すと高千穂平に到着した。
意外と早く来た感じ
標高は2,000mを越えたほど。
狭く切り立った尾根の中で、高千穂平は休憩も出来そうな平な場所になっていた。
鹿島槍ヶ岳と布引山を見渡すことができる。
そして冷乗越からの稜線歩きを真横から眺めるため、その距離がとても長いものに見える。
高千穂平を過ぎるとこれまでの木に囲まれた急登から、狭い斜面をトラバースするような登山ルートに変わる。
赤岩尾根という名前の通り赤い石の壁で、時々頭上から拳ほどの石が落ちてくる。
足元は一人が通れる程度。
できるだけ立ち止まることの無いように素早く通り過ぎる。
たぶんこのコースの危険場所
冷池山荘を過ぎて布引山へ
赤岩尾根の急勾配の登山ルートを登り切って稜線に出ると、広大なアルプスの景色が広がっていた。
正面には剱岳と立山。
鹿島槍ヶ岳は大きく近く見え、種池の先には針木岳があった。
冷池山荘へは乗越を下る。
大谷原からは3時間10分ほどでの山荘到着だった。
ちょうどヘリコプターがやってきたところだった
冷乗越からはしばらく平坦で緩やかなアップダウンの登山道を進んでいく。
この高さまで登ると背の高い木は減り風当たりが強く、布引山の斜面に差し掛かるとますます風は強くなる。
代わりに爺ヶ岳の3つの峰や、遠く槍ヶ岳を見渡すことができた。
冷池山荘から約1時間
ハイマツに囲まれた布引山へ右・左へと九十九折りに登り冷池山荘から約1時間ほど。
布引山の山頂に到着。
ここまでくると高かった鹿島槍ヶ岳も近く見える。
すでに見晴らしも良く、雲の合間から安曇野の屋根がキラキラ光っている。
鹿島槍ヶ岳までもう少しだからワクワクが止まらない
鹿島槍ヶ岳に到着
布引山からはハイマツも減り、登山ルートはすっかりガレガレに変わって歩きづらい。
遠くからは尖って見える鹿島槍ヶ岳も直下に来ると丸く見える。
急登を登り続けているので、山頂に近づくころには疲労感があるものの、すぐそこにある頂には気持ちが高まる。
大谷原から4時間40分
大谷原から4時間40分で鹿島槍ヶ岳の南峰に到着。
北峰よりも標高が高いため、南峰が鹿島槍ヶ岳の山頂になっている。
残念ながら到着直前で雲に覆われてしまったため山頂からの眺望はなかったものの、天候に恵まれれば後立山と槍ヶ岳、穂高岳、立山といった北アルプスの主要な高峰が堪能できる。
景色はいまいちだけど、ここまで来られて良かった
ピストンで下山
下山ルートは登りと同じ赤岩尾根。
登るときには容易だった狭いトラバースは、下りでは全く別のルートのようになるので要注意。
ハシゴや段差の大きな岩場など、赤岩尾根には急登ならではの下山の難しさがあった。
なんとなく熊とか薄暗いトンネルとか、そういうネガティブなものは頭から消えてました