鳥甲山

2038m

ナイフリッジと崩落した稜線の山

屋敷口 2015年10月18日

鳥甲山 登山(屋敷口) (10月)|ピークが連続する岩稜と急斜面の山
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新潟県との県境に近い奥信濃に聳える鳥甲山。
第二の谷川岳と言われることもあるほどの険しい岩稜の山で、西側は激しく崩落し、切り立ったナイフリッジのように稜線が続く。
登山口はムジナ平と屋敷の2箇所。
どちらも急登が続く我慢の登山道。
登山口と山頂を往復するピストンではなく、登りと下りを別の登山口にすることが多いようだ。

津南町から秋山郷へと向かって国道を進む。
山間のだんだんと狭くなる県道405号線を縫うように進み、秋山郷から秋山小学校付近を通り屋敷地区へと向かう。
駐車場は無く、路肩の広くなったところに数台の駐車ができる。

歩いたコース

登り
屋敷口
下り
ムジナ平
最高標高
2038m
登山口標高
870m
距離
8.01km
累積標高
1413m
1244m
平均斜度
18.0度
時季
2015年10月
天気
晴れ
日程
日帰り
歩行ペース
登り2:51/下り2:09/合計4:46
平均の歩行速度
1.81km/h

この日のペース

  1. 屋敷口
  2. 赤嵓頭(2:30)
  3. 鳥甲山 山頂(2:51)
  4. カミソリ岩
  5. 白嵓頭
  6. ムジナ平(4:46)

とにかく急登とアップダウンが激しくて大変な山でした。
北アルプスや他の山塊でもココまで急登の山というのも経験が無いように思うほどでした。
さらに崩壊している様子が大迫力で、場所によっては登山道までも崩れかけているように見えました。
いつかは登れなくなるかもしれないと思います。
背の高い笹が視界を覆うところもあり、ツキノワグマが多く生息する場所でもあります。
狭い岩場や鎖場、急斜面も続くので要注意です。

まったく鳥甲山とは関係の無い話しですが、この前日に中央アルプスの空木岳に日帰りしており、さすがに登りは足が上がりませんでした。
連続して登るには少しハードな山だったと反省しました。

使った登山道具

持って行った水の量

屋敷口から登る鳥甲山

秘境として知られる長野県栄村の秋山郷は紅葉が盛り。
新潟県との県境にもほど近く、苗場山とは向かい合うように紅葉に覆われた鳥甲山が高く聳えている。
今回はふたつの登山口から、登りは屋敷口、下りはムジナ平へ。
登山口前の道路には、路肩には車が数台停められる程度の広さがある。

準備を整えて登山口に入るといきなりの急登が始まる。
水気を含んだ登山道はドロドロとして滑りやすく、加えて落ち葉の積もった急斜面は歩きづらい。

10分ほど登ったところで茂っていた木が開けた。すぐ目の前にはコンクリートの擁壁が大きく建っている。
登山道は擁壁を回り込むようにして続く。

擁壁の後ろから続く急斜面はさらにキツく。
周りにはブナが厚く茂り、見上げれば黄や橙の葉が広がっている。
地面は相変わらずのドロドロとした土で、場所によっては滑り落ちそうなほどの斜面。
登山道に張っている木の根、倒木を頼りながら斜面を登っていく。

30分ほど登ったところで斜面は尾根に出て、岩も少しずつ。
振り返れば苗場山の台地が少しずつ見え、見下ろせば秋山郷の集落が見える。

1時間ほど登ったところで、鳥甲山と屋敷山を繋ぐ稜線に到達した。
笹の茂る稜線からは津南町まで見渡せる。
稜線上の先を見渡せば、登山道は高いピークへと続いていた。
ここまでの急登からさらに高く登る。

目の前のピークを目指して笹に囲まれた登山道を登っていく。
それまで木々に覆われていた登山道は、ピークを越えると見晴らしの良い稜線に出た。
稜線上には登山道がさらに長く高く続いている。
山頂のように先に見える尖ったピークは赤嵓頭。

稜線を歩き赤嵓頭へ

稜線からは山深い秋山郷の様子を見下ろすように眺めることができる。
右側には笹と木の茂った急斜面、左側は切れ落ちたような下を眺めることもできない崖。
視界の邪魔をするものの無い稜線は気持ちが良い。

赤嵓頭へ稜線を進んでいくと徐々に高いピークが見えてきた。
そのピークの背後に見えるさらに高いピークは鳥甲山の山頂。
赤嵓頭の取り付きまで進むと、登山道の険しさはさらに増した。
笹に囲まれ陽の当たらない登山道はドロドロの土。
踏み跡を階段のように登っていくと再び稜線へ。
左側に見えていた崖は、崖というよりも浸食されて山体崩壊が進んでいるよう。
風雨で柔らかい土砂だけが流れ落ちたように、尖った塊が立ち上がっている。

目の前に見えていたピークをやっと登り切ると、稜線上にはさらに高いピークが待っていた。
崖の上である笹の茂ったピークは赤嵓頭。
登山口から2時間半ほど掛けて到着した。
これを登り切ると笹平の先にようやく山頂が大きく見える。

いったん赤嵓頭を下り、2mはあろうほどに高く育った笹に囲まれながら山頂の取り付きへ。
山頂へ向かって再び急登が始まる。
狭い稜線と登り下りを繰り返す登山道。笹平まで来れば近いとはいえ疲労感も一入。斜面から見る苗場山への眺めも良い。

赤嵓頭から鞍部を経由して急登を登り、ようやく鳥甲山の山頂に到着した。

鳥甲山山頂

登山口から2時間51分、急登を繰り返して鳥甲山山頂に到着。
笹に囲まれた山頂。
たくさんの石があって腰を下ろしやすく休憩もしやすい。
近くには苗場山や佐武流山、遠くうっすらと妙高山も眺めることができた。

木々が茂っているため、360度の視界というわけにはいかないものの、山深い秋山郷の醍醐味を感じさせるような眺望だった。

ムジナ平への下山路

下山は山頂からすぐ下の分岐からムジナ平へ。険しいカミソリ岩を経由して白嵓へ。
山頂直下から急斜面を下りるルートになり、視線の先には崩壊している崖が見える。
滑ろうものならそのまま滑落することもあるのではないかと思えるほど。

この斜面を下りることとを思うと、苦労して登ってきたはずの屋敷からの登山道が優しく見える。
下りていく先にはカミソリ岩。
深い鞍部と白嵓への登り返しが高く見える。稜線の登山道はさらに狭く、30センチもないほどのナイフリッジも。

カミソリ岩

高く切り立ったカミソリ岩は、幅の薄い岩壁。急斜面をいったん下りてから、笹と泥の坂を登る。
すると目の前には岩壁を登るように続くハシゴが見える。
カミソリ岩のハシゴは、老朽化したようで現在は通行止めになっている。狭い段差を利用して岩壁を巻き、ロープを伝ってカミソリ岩の上に立った。

木が生えているおかげでそう高度感は無いが、見下ろせば遥か下が見え、下山ルートはさらに狭い。
ワイヤを繋ぐ鉄杭は、土に差し込まれているせいか必ずしも固定されているわけではなくグラつくところも。
カミソリ岩の高度感に震えながらも通過し、鞍部を下りて白嵓への登り返し。
緊張感のある白嵓と比べれば登り返しも気持ちは楽になる。

ムジナ平への稜線

白嵓頭を越えれば、あとはただただ下るだけ。
ムジナ平への下山路は、屋敷口以上の急斜面。
稜線上のルートが見下ろせる。
細かくアップダウンを繰り返して行く。
山頂からムジナ平の登山口には1時間55分。
急な斜面を一気に下りきった印象だった。

ムジナ平と屋敷口は5キロほど離れているので、アスファルトの林道をひたすら戻る。
落ち葉のフカフカの登山道を歩いたあとはアスファルトが固く足が痛む。

鳥甲山から見る苗場山

鳥甲山から見る苗場山

鳥甲山は長野県北部の山深く、栄村秋山郷に聳える山です。
二百名山に数えられる2000mほどの山ですが、アクセスが良くなく、秋山郷という観光地ではありますが、登るのも難しい山です。
苗場山に登ると、ちょうど南側に位置しているため、鳥甲山からも苗場山からもよく見え、非常に存在感の大きな山です。
北アルプスの鷲羽岳のように両翼を広げたような山容で、崩壊した山体はさらに険しさを際立たせているようにも感じます。

この鳥甲山の山頂へ向かう登山道上は、苗場山を初めとして長野県と新潟県、群馬県の県境に位置する山々を見渡すに絶好の場所で、特に苗場山の山頂台地が印象深かったです。
どこから見ても苗場山ということが分かるような形状に、その広大さやスケール感が伝わってきます。
近いということがこんなにも存在感を際立たせ、谷のように切れ落ちた山体の真下には秋山郷の集落が見え、さらに苗場山を大きく見せているようです。

秋山郷から苗場山へは小赤沢という登山口がありますが、この角度で見ると崖のように盛り上がって山頂台地が形成されているようにも見え、いったいどこから登山道が続いているのかも分からないくらいです。

鳥甲山は登り降りが多く体力的にも大変な山ですが、眺望も良く楽しめる山です。

下山後に立ち寄った温泉

雄川閣

秋山郷の最も奥にある温泉施設。すぐ下を中津川が流れ、大きな窓から景色の眺められる内湯の他、川を眺めながらの露天風呂、そして河原を掘ってお湯に浸かる露天風呂もある。宿泊もでき、食事も取れるのでレジャーでも楽しめる。

秋山郷の奥地にある切明温泉の施設です。川の近くに建っているので見つけやすいです。もともと温度の高い温泉のようですが、少し薄めているそうです。とても入りやすい温度でした。河原からも温泉が出るそうで、スコップを貸してもらえるのですが、登山後には穴を掘る体力がありませんでした。とても楽しそうなので、温泉目当ての時にしたいと思います。

周辺の山

同じ時季に登った山