大橋から登る
国道18号線から信濃町を経由して戸隠方面へと向かう。
複数の登山道があり、四方から登ることのできる黒姫山。
その中でも主要な登山道として登られている西新道は、戸隠キャンプ場に近い大橋から登ることができる。
大橋登山口というと、一般的には古池の畔を通る登山道の入口を指す。
車で20分ほど登り戸隠連峰の稜線がチラチラと見えてきたところで大橋水門に到着。
しかし駐車できる台数でいうと、すぐ近くにある大橋水門の方が余裕を持って車を停めることができる。
草刈りの車が停まってた
水門の横には15台ほどが停められる。
空いている場所に車を停めて登山道へ。
駐車のできるスペースの傍らにゲートがあり、その林道入口から黒姫山へと向かっていく。
この林道がとにかく長い
ゲートからしばらく未舗装の林道が続く。
周囲を厚い森と笹が覆い、湿度の高い空気の中を歩いていく。
厚い雲が空を覆っているために景色を見ることもできず、とはいえ見えたとしても五地蔵山か黒姫山が見える程度。
緩やかに登っていく林道は30分ほど続き、ただ我慢をし続けるような気分で先へと向かっていく。
ときどき林道から森の中へと入っていくような小径の案内板が建ち、周りを散策できそうな雰囲気があるものの、どうみても緑が茂りすぎているため、立ち入ってみようとも思えない。
それよりも野生の大型獣が現れるのではないかという気になってくる。
林道にも飽きた
林道の中、分岐に迷うことなく登り25分ほど。
「戸隠竹細工の森」と書かれた立て看板のある三叉路に到着した。
左は冬季なら佐渡山や乙妻山へと続く。
三叉路を右へと進んで100mほど、黒姫山へと続く登山道へと入った。
笹と背の高い木に囲まれた登山道は、いきなりの急角度。
前日までにも降り続いていた雨で湿度が高く、土の登山道は滑りやすい。
ただ直近で手入れがされていたようで、笹や草木がほどよく刈り払われていた。
キレイに笹が刈られていてありがたい
登山道は斜面を直登するようにまっすぐに続き、ときどき林道に合流したり、ショートカットするかのように間を縫ったり。
林道を歩くところでは、段差が小さく、傾斜や幅も車が通れるほどで歩きやすくなっていた。
何度か折り返しながら徐々に標高を上げていき、大橋から約1時間ほど登ったところで、西新道へと続く分岐点に到着した。
西新道を登る
西新道の入口は、古池からの合流地点で西新道と西登山道との分岐点にもなっている。
3方向を指す標識にならって西新道へ進む。
のんびり散歩をしているような感じのゆるやかさ
分岐からは緩やかな登り坂が続く。
周囲を鮮やかな緑囲まれ、まるで遊歩道で森林浴をしているかのような歩きやすさ。
様々な葉や木々を見ながら分岐から30分ほど進んだところで、登りはだんだんと急な斜面に変わってきた。
登山道上には木の根が張りだし、湿度の高く滑りやすい土の上の滑り止めのようだった。
大きなシナノキを過ぎ、高い段差や大きな石を登り越えるような登山道になった。
一気に標高を上げていくような急な斜面が続く。
背の高い笹や厚い緑に覆われているため、眺望を楽しむこともできず、登ってきた斜面を振り返っても見えるはずの五地蔵山は真っ白な雲に覆われていた。
思っていたとおり景色は何も見えない。
そして蒸し暑い。
急登キツい。
分岐からひたすらに登り続けて、ようやく樹林帯の向こうに真っ白な空が近づいてきた。
いよいよ山頂稜線が近いという雰囲気になり、右へ大きく折れて、さらに左、また右へと折り返し、木々の向こうに御巣鷹山が見えてきた。
黒姫山の火口跡に聳える御巣鷹山。
この円錐形は山頂稜線に登り付いてようやく見える。
急登は収まり、丸みのある樹林帯の尾根を緩やかに登っていく。
もう急登もないしのんびり気分で歩ける感じ
樹林帯の登り坂を登っていくと、突然木々が開けるポイントに出た。
まるで刈り払われたかのように、木々がなくなり、急な斜面を笹だけが覆っている。
ここからは黒姫山の東側の景色を見ることができ、間近にある飯縄山をはじめとして、麓の信濃町にある野尻湖、向かい合うように山並みが続く志賀高原などを見渡すことができる。
ただ、この日は雲が厚く、眺望どころか斜面の終わりすらも見えない。
このまま青空が広がっていくハズだ
眺望が見えるはずの山頂稜線が、黒姫山西新道の最も楽しめるところ。
山頂稜線ではあっても、山頂へは遠く、その道のりを眺めながら景色を眼下に見ることができる。
天気予報では正午から午後の早い時間に掛けて、晴れ間が見られるということだった。
雲が多い中でも、一瞬でも稜線からの景色が楽しめるのかと期待はしていたものの、そんな甘いものではなく、下から流れてくる雲で山頂すらも見えない。
景色が楽しめるポイントだからこそ、あえて真っ白な中で歩くのも良いと開き直る。
細かく連続する峰を登っては下り、また登り返しを繰り返す。
いったん深く下りたところで、西登山道と合流し、山頂へと高く登り返していく。
眺望がないとアップダウンもわりとしんどい
黒姫山山頂
大橋水門から2時間17分、黒姫山の山頂へと到着した。
広くはない山頂部で、大きな岩が転がった中に、標高を示す標と毘沙門天を祀る祠が置かれている。
周りを見渡すと、近くに妙高山、木々の間から雨飾山。
隣に聳える飯縄山や、真下には野尻湖や、その横に斑尾山と、様々な山を眺めることができる。
ただ真っ白なガスに覆われているため、山頂からは何も見ることができず、見えるはずだろうと想像だけを膨らます。
ちょっとだけ休んでサッと下りる
峰の大池へ
黒姫山の山頂をあとにして、登ってきた山頂稜線へと戻っていく。
稜線真下の鞍部まで下りて、下山路は西登山道へ。
稜線から見下ろすことのできる峰の大池へと下りていく。
樹林帯に囲まれた湿度の高い登山道で、ところどころに露出している岩は苔で滑り、土も湿気ているために泥濘んでいる。
噂では黒姫山は峰の大池周辺で熊が出没するという話しもあったような気がし、山頂へと向かうよりも緊張感が高まる。
こっち側って熊がいるっていう話しを聞いた気がするのだけど。
分岐から15分ほどで稜線から下り、七ツ池との分岐を峰の大池へ。
開けた笹原の中に、御巣鷹山を水面に映す峰の大池があった。
ここも青空が広がっていれば印象の強い場所なのだろうと思いながら、目の前に大きく見える御巣鷹山を眺め、水面に映るところを楽しむ。
ただ熊が出ないことだけを思って。
なんとなく何かが出てくるかもっていう雰囲気
西登山道を下りていく
峰の大池からはしばらくなだらかな登り坂。
刈払や整備はされているものの、西新道のような歩きやすさではなく、段差や窪みが大きい。
森林の中を細かく折れながら歩くような登山道で、周りに見える物もなく、気分の上がらない時間帯が続く。
緑は綺麗だけど。
地味。。。。
細かな折り返しと、特に大きく登りも下りもしない、現在地を分からなくなりそうな登山道。
峰の大池から30分ほど下ったところで、巨石が並ぶ天狗岩に着いた。
巨石の間を縫って歩くこともできないため、矢印に沿って岩の上を飛び移るように歩いていく。
湿度の高さで苔が目立ち、足を置く場所によっては足を滑らせそうな場所で、登りやすい黒姫山の意外な面を見たようだった。
ヌルヌルの苔が生えた天狗岩はけっこう難しかった
天狗岩を過ぎると、少し平坦な道が続き、そこから一気に下る。
10分ほど歩くと急に遊歩道のような歩きやすい登山道に変わり、笹ヶ峰との分岐に着いた。
黒姫から笹ヶ峰へ抜ければ妙高山などの頸城山塊へ縦走も可能で、ただその行程の長さを気にしなければ楽しめそうに感じられた。
分岐点には「戸隠竹細工の森」の標識が建てられ、そこからはなだらかな登山道が続く。
そこまでの窪みや段差は嘘のようだった。
安心感高め
分岐から15分ほどで大ダルミという窪地を過ぎ、どんどんと標高を下げていく。
特に眺望もなく、森の中を緑を見上げながら遊歩道のような登山道を下り、笹ヶ峰の分岐から30分ほどで西新道との合流した。
森の中をおだやかに歩くような登山道が続く中で、歩く速度を上げられるものの、行程としてはとても長く感じられた。