京ヶ倉

990m

急登とナイフリッジの里山

万平登山口 2019年8月15日

京ヶ倉 (8月)|滑落注意の生坂村の里山
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長野県の中央の山村、生坂村に聳える京ヶ倉。
大城山と稜線を繋ぎ、標高は990m。
街からの高低差は400mほどと、決して高い山ではないものの、岩壁や細尾根が続く特徴的な山容で、戦国時代には城が築かれた場所としても知られている。

登山口は南北の両面にあり、京ヶ倉と大城山とを縦走することもコースとしては一般的。
今回は万平登山口から京ヶ倉までをピストンで予定をした。

台風が近づいていることもあり、時間を掛けずに景色と山を楽しむ。

登り
万平
下り
万平
最高標高
990m
登山口標高
626m
距離
4.63km
累積標高
363m
365m
平均斜度
8.94度
時季
2019年8月
天気
曇り
日程
日帰り
歩行ペース
登り1:06/下り0:46/合計1:52
平均の歩行速度
2.48km/h

この日のペース

  1. 万平ゲート
  2. 万平登山口(0:05)
  3. おおばこ見晴台(0:36)
  4. 万平下山(0:50)
  5. 京ヶ倉(1:06)
  6. 万平登山口(1:47)
  7. 万平ゲート(1:52)

歩いたコース

台風が近づいて安定しない天気だったので、天気が荒れる前にと登ってきました。
万平からの登山道は高低差は大きくありませんが、急勾配が続き、細尾根や梯子が連続する難路でした。
里山と呼べる高低差と距離感ですが、下から見上げたとおりの大変さで、蒸し暑さも加わって苦労しました。

登山口に着く前からアブに囲まれて、慌てながら準備をし、登山口前のゲートから舗装路を歩いて登山道へと向かいました。

使った登山道具

持って行った水の量

万平登山口から京ヶ倉へ登る

京ヶ倉は国道19号線生坂トンネルに被さるように聳えている。
生坂トンネルから村役場方面へ、生坂小学校の前を通って万平へと上っていく。
生坂村の道の駅を目指して国道を進み、小学校の案内を見つけて万平方面へと車を向けた。

京ヶ倉登山

というかね。
アブがすごいから。。

京ヶ倉を見上げることのできる場所で、車を停めてこれから目指す山頂に目星を付けていると、アブが車に突撃してきた。
バチバチと音を立てて車にぶつかってくる。
車を動かしたところで、窓に貼り付いたままのアブや、後を追ってくるアブもいる。

京ヶ倉登山

車のドアを開けるのと躊躇した。

登山口へ続くゲートの前に車を停めてもアブの突撃は止まず、それでも数は減ったかもしれないと思い、ドアを開けてみると大きな羽音を立ててアブが飛び交っていた。
アブは肌に留まった瞬間に噛みつく。
できるだけ手足を動かして立ち止まらないようにしながら、車と距離を取って様子を見る。
少しアブが減った頃合いを見計らって準備を整えゲートを開けた。
熊の出没注意の看板が多く取り付けられ、物々しい雰囲気を醸していたところを登山口へと向かう。

湿気て滑りやすいアスファルトで、山の木々に暑く囲まれた道路が続き、5分ほどで登山口へ到着した。

京ヶ倉登山

あれ。。ここまで車できても良かったじゃん。

登山道に入ると、斜面をトラバースするような狭い登り坂に変わる。
勾配は緩く、なだらかに登り下りし、左手側に30mほど真下に道路が見え、柔らかい地面を踏み外そうものなら、道路まで滑り落ちるのではないかと思える。
小高い山を巻くようにして細いトラバースコースが続き、徐々に京ヶ倉の方へ登山道が向かっていく。

目の前に壁のように高く聳え、そこに向かって尾根が続いていく。
尾根は狭く、左右は深く落ちている。
木々が厚く茂っているため、高度は感じないもののその高さは危険なほど。
場所によっては擦れ違うことも難しそうで、距離は短いながらも注意が必要な場所が続く。

京ヶ倉登山

これ。地味だけど実は転がり落ちたらヤバいところ。

細尾根は一気に急な勾配になり、上に見える稜線に向かってどんどん登っていく。
細かく左右に折り返しながら、急登が続いていく。
木々の間から見える景色も、みるみるうちに低く変わっていく。
折り返しも、急な山肌に作られた登山道のため、場所によっては50センチほどの広さしかなく、谷側は深く深く落ちている。
登っていくほどに柔らかな地面に巨岩が突き出ているところが増えていく。

京ヶ倉登山

これ。急だから。ほんとに。キツい。

右手側には犀川を見下ろすことができ、大きく蛇行をして流れていく様子が窺える。
晴れていれば、犀川の向こう、間近にある山並みの先に北アルプスを見ることができるはず。

細い急斜面を登っていくと、丸太のハシゴが掛けられている箇所に出た。
高い段差を登るためのハシゴというよりは、登山道に開いた岩と岩との隙間を渡るために備えられているようだった。
ハシゴの上に乗ると、その下へ続く斜面を見るようで、この丸太に乗って壊れてしまわないかと強度が気になった。

京ヶ倉登山

そんな簡単に折れないだろうけれど。
でも乗ったら折れるっていう恐れはあるよね。

おおばこ見晴台

36分のところ

大きな岩を巻き、急な山肌をトラバースする細道を進み、登り始めて36分ほどのところ。
おおばこ見晴台に到着した。

京ヶ倉登山

やっと。。。

大きな岩の上に立つ見晴台は、そこだけが枝が開け、犀川の流れを見下ろすことができた。
犀川の向こうには、ままこ落としと呼ばれる大崩落が見える。
反対側には京ヶ倉の山頂部と、馬の背の岩壁が見えた。

京ヶ倉登山

期待通りの眺めというか、もっと見えるだろう?というか。。。

おおばこ見晴台まで登ってくると、稜線はすぐ近くに感じられる。
登っていくと急登から、斜面のトラバースに変わる。
山側には巨岩の壁が続いていく。
途中、稜線はもうすぐという看板が建てられているものの、登山道上にはトラロープが張られ、高い段差がいくつもあり、なかなか近づいているようにも思えなくなってくる。

見晴台から10分

見晴台から10分ほど登り、ふたたび細かな折り返しと急登に差し掛かったとき、先の登山道の見上げると、崩落注意と掲げられていた。
両足が置けるかどうかの幅、谷側はえぐれるように崩れ、角材で補強されている。
看板に書かれているとおりに、できるだけ山側に足を置き、ハシゴを登り、ふたたび角材の細道に差し掛かり、高い段差を登っていく。

京ヶ倉登山

もろいから角材を置いておきました。
みたいな感じに見える。

2・3分ほどで通過すると、ようやく木々が明るく陽を通しているのを見つけた。
稜線に出たのは50分ほど経ったところだった。

稜線から京ヶ倉へ

稜線に出ると、そこまでの急登から一変してなだらかに下っていく。
京ヶ倉の特徴的な細尾根は、稜線上でも同様で、左右は深く落ちている。
まるで大きな板が地面に突き刺さっているかのような形で、登山道はその上を歩くように続いている。

京ヶ倉登山

ここまでは、なだらかですっごく歩きやすい

木々に囲まれているおかげで左右の高さを感じることもなく、緩やかで快適な稜線歩きができ、5分ほどで馬の背と巻き道の分岐点に出た。
馬の背は京ヶ倉の核心部。
その名の通り、馬の背のような細尾根で岩の地面のため木々も開けている。
この山でもっとも眺めが良いところでもあり、もっとも高さを感じるところでもある。

100mもないほどの短い岩の細尾根で落ち着いて歩けば難なく通過できるほど。
特に滑りやすいということもなく、トラロープが張られているが、それも掴む必要もなく歩くことができる。

京ヶ倉登山

さ。馬の背。

京ヶ倉登山

こっちの方が段差が高いし大変じゃないか。。。

馬の背が核心部と知りながら、そう思いながら登ってきたにも関わらず、実は馬の背を過ぎたあとの岩場の難度が高かった。
トラロープが張られた急斜面からハシゴを登り、次に岩の段差を登っていく。
ここでも左右の木々が開け、高さが強く感じられる。
登るのには決して難しい場所ではないものの、開けすぎている景色に少し肝を冷やす。

京ヶ倉山頂

ゲートからは1時間6分

岩場を登り、砂地のような坂を登ると、小高い丘のような山頂部に到着した。
歩き始めたゲートからは1時間6分だった。
北側にはテーブル形の大城山が見え、西側には若干枝が茂っているものの見晴台と同じ景色が見られた。
山頂よりも少し下った方が景色が楽しめるというところだった。

台風が近づいた雲の多い天候だったため、本来見えるはずの北アルプスや浅間山といった、京ヶ倉ならではの景色を見ることはできなかった。

京ヶ倉登山

ここから北アルプスが見えたら気持ちいいだろうな。

下山

京ヶ倉登山

大城方面も興味はあったけれど。。

京ヶ倉からの下山は登ってきたコースをピストンで下りていく。
山頂間近の岩場と、ハシゴの高い段差は、登りよりも下りでの難易度が高く感じられた。
馬の背は傾斜がなだらかなこともあり、特に登り下りでも変わりなく通過し、稜線上の万平下山へと戻っていく。

登りで苦労した、狭く高い九十九折りは、下りでも気をつけたいところで、躓いたり引っかけたりしないように下りていった。

京ヶ倉登山

だいぶアブが減ってて良かった

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下山後に立ち寄った温泉

やまなみ荘

生坂村の中心地にある公共の宿。
日帰り入浴や宿泊をすることができる。

浴室は内湯のみのラジウム泉。
リュウマチや神経痛に効果があるとされている。
浴室の横にはテーブル4席ほどの休憩スペースがある。

ワンコインで入ることができ、とても気軽に立ち寄れる施設でした。
ラジウムなので温泉ではないのですが、生坂村のトレッキングコースから最も近く、サッと立ち寄れるのが嬉しいです。
浴室、休憩スペースともに、広い方ではありませんが、のんびりと休むことができました。

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