毛無峠から御飯岳へ
毛無峠といえば、その昔、硫黄採掘が行われ、今では荒れた笹原が広がる群馬と長野の県境。
南には四阿山へと繋がる土鍋山と破風岳、北の万座方面には御飯岳と老ノ倉山。
標高1800mを越える絶景地で、車でアクセスもできるばかりか、長野市側から見上げることもでき、天候を見てから向かう手軽さがある。
善光寺平は青空が広がり、午後になると南から雨雲が広がるような天気予報だった。
稜線上には雲があるようにも見えたものの、それは青空が広がる前に流れているようにも見え、笹原を眺めに行くには、良さそうな天候に見えた。
長野市から須坂市、高山村と万座温泉方面へと進み、急で狭い林道を30分ほど登っていく。
だんだんと雲が近くなり、その流れの速さが目に見えて分かる。
毛無峠を流れる雲を想像し、期待に胸を膨らませながら、万座温泉と毛無峠との分岐がある老ノ倉山まできた。
ここまで来て御飯岳以南には雲がかかっていることを知った。
老ノ倉山では青空が広がるのだけれど、ほんの数メートルの道を挟んだ先には、動くことの無い雲。
毛無峠へ近づいて行くほどに、まるで真冬のような白い景色が広がっていた。
毛無峠では、眼下に僅かに市街地が見えるだけで、間近の破風岳も毛無山も見えない。
10台ほどの車が停められる場所では、無線機のアンテナを立てている人や、観光目的らしい車など、天候の悪さは関係が無いと思われるほど。
その中で準備を整えて、御飯岳へと向かう。
ロープが張られ、案内板が建てらた矢印に沿って毛無山へ登っていく。
採鉱の名残になっている鉄塔の脇を通り、徐々に高度を上げて行く。草木が生えていないのは峠付近だけで、登っていくと笹が一面に広がる。
毛無山へは約10分ほど。
展望台のような高さで、ここからの毛無峠や四阿山は絶好の眺望。
日本とは思えないほどような雰囲気が感じられ、毛無峠へ来たら見下ろしたいところ。
ただ、今回は見るべきものも見えず、何の楽しみに来ているのかとも思える。
毛無山からの笹原
毛無山を過ぎるといったん下っていく。
この笹原も御飯岳への登山道の中では楽しむべき場所のひとつ。
手軽な登山道でありながらも、前方に広がる景色のスケールの大きさを楽しめる・・・はずの場所。
何も見えない真っ白な笹原を下りていく。
何を楽しみにここを歩くのだろうかと自問しながら。
緩い下りの一番低いところまで下りると、徐々に登りへと変わる。
特に見える景色も無いまま、笹原が終わり、樹林帯へ向かっての急登に入って行く。
御飯岳への樹林帯
なだらかで、歩きやすい笹原からは、樹林帯に向かって階段のような急登を上がる。
登り切って木々に囲まれると、陽の光が遮られ、暗く湿った登山道が続く。
木の根が露出しているようなところは滑りやすく、左右には背の低い笹が続く。
樹林帯はなだらかな道が続き、フカフカとしてとても歩きやすい。
5分ほど歩いたところで急登を上がる。
木々の間を縫うように登っていく登山道で、それまでの穏やかな様子とは一気に変わる。
御飯岳の前衛にある峰で、高い高低差があるわけではないものの、なだらかな中では存在感があり、一気に山の中へと入って行く印象がある。
登り切ると、なだらかな登山道に変わり、左右に折れ曲がりながら笹の間を縫っていく。
場所によっては木が倒れているようなところもあり、それらを避けて登山道が整備されている様子が窺える。
なだらかな登山道を進みながら、張りだしている枝を潜り、緩やかなアップダウンを繰り返す。
急な登りを一カ所過ぎ、また下って登り返すと、なだらかな登山道に変わる。
終始、なだらかな登山道と登り下りを繰り返し続け、御飯岳山頂へと近づいて行く。
御飯岳山頂
毛無峠からスタートして56分ほど。
御飯岳の山頂に到着した。
木々に覆われた山頂部で、眺望はほとんど無い上に、今回は雲が視界を遮って見えるものは何もない。
山名が書かれた山頂標に傍らにあり、獣の物か積雪期の名残かの踏み跡がうっすらと見えた。
下山
整備された登山道は山頂までで行き止まりで、ここから折り返して毛無峠へと戻る。
毛無峠への下山は登りと同じ登山道をピストンで下りていく。
アップダウンを繰り返した登りとは違って、同じ段差でも下りは足が軽く感じられる。
ただ湿った木の根は滑りやすく、足を置くのも注意が必要だった。
樹林帯を過ぎて笹原まで戻ってきても、厚い雲が広がったままだった。
笹原を登り返して毛無山へ戻り、そのまま鉄塔へと下りていった。