稲子湯から中山峠、冬の天狗岳へ
八ヶ岳を挟んで東西から登山道があり、今回は西側の小海町から。
松原湖やスキー場を過ぎてさらに標高を上げたところに登山口がある。
稲子湯へと続く林道のわきに駐車場があり、30台ほどが停められそうなスペース。
林道の車止めを避けて登山道へと入っていく。
緩やかに登っていく林道を縫うように登山道が真っ直ぐに伸びている。
登山口から20分ほど、車道から本格的な登山道へと入っていく。
標高も徐々に上がり、石が転がる登山道から雪と氷の張った登山道へと変わった。
木に覆われた登山道。
徐々にうっすらと雪が積もり、右側には枝の間から高い岩壁が見える。
傾斜もそうキツくなく緩やかな傾斜の登山道は歩きやすい。
登っていくこと1時間。標高2,000mを越え、みどり池に到着した。
みどり池の畔には、しらびそ小屋という山小屋があり幕営地も整えられている。
氷ったみどり池を見渡すとその先には東天狗が高く聳えている。
しばらく平坦な登山道を進む。
目の前にはリスが雪の上を走り、枝の間から差し込む朝陽が気持ち良い。
5分ほどで本沢温泉と中山峠との分岐になりそこを右へと進むと、徐々に勾配が出てきた。木に括り付けた看板には「中山峠直下で落石注意」の文字。
その看板の通りか、中山峠の直下は急勾配の雪道になっていた。
陽の光を背負いながら急登を登っていく。
みどり池から40分ほど登ったところ、厚い枝の間から空が見え中山峠が近くなったように見えた。
登っていた急斜面をトラバースするように登山道が変わると、進む先にはそれらしい様子が見える。
このトラバース地点が落石注意の場所と思われるので、頭上に注意をしながら中山峠へ。
トラバース地点からは木も開け東天狗が見える。
鎖が張られた岩場を登ると、中山峠へ到着した。
登山口からは2時間ほどでの到着だった。
中山峠から東天狗へ
強く吹き付ける風が木を揺らしている中山峠。
かなり風が強い様子なので、身支度を調えて東天狗へと向かう。
雪が少なく、本来なら隠れているハシゴや木々が露出していた。
見晴らしの良いハイマツ帯に出ると、東天狗と西天狗の両方の峰を見渡すことができた。
振り返ると蓼科山まで北八ヶ岳を一望。
秩父の山並みや北アルプスが見える。
東天狗へと近づくにつれてだんだんと傾斜のキツくなり岩場が続く。
ところどころでマークが雪に隠れているため、岩を見渡しながら歩きやすいところを見つけ、東天狗へと近づいていく。
中山峠から2時間40分。中山峠からは40分ほどで東天狗に到着した。
ここからの眺望も良く西側の山並みを楽しめるが、風が直接吹き付けるため、早々に西天狗へ。
いったん鞍部へと下りて西天狗へ取り付く。
雪の付いた斜面とはいえ歩きやすく15分ほどで西天狗に到着した。
西天狗から夏沢峠
登山口から西天狗岳まで、2時間55分での到着だった。
風が強く吹き付ける東天狗と比べて丸みを帯びているせいか、風が当たらないのか寒さを感じなかった。
陽射しは暖かい。
南八ヶ岳、南アルプスの眺望と、北八ヶ岳を見晴らして景色を楽しむ。
遠く御嶽山は噴煙が上がっているようにも見える。
西天狗からは根石岳を経由して夏沢峠へ。
さきほど下りた東天狗へと再び登り返し根石岳へと下りていく。
天狗岳と根石岳の鞍部へと下りると、一気に風が強く当たるようになった。
体を煽られるほどの風に、ときどき足を停めて耐えながら根石岳へ。
高低差や勾配はそうキツくはないものの、急に吹き付ける強風に苦労する。
狭くはない登山道も風に煽られ体が流される危険も感じる。
帽子を飛ばされながら西天狗からは30分ほどで到着。
相変わらずの風の強さで、景色を見ることなく根石山荘へと下りる。
風を感じながら根石山荘を過ぎると樹林帯に戻り、風からは逃れることができた。
八ヶ岳の西側と硫黄岳との分岐になる夏沢峠。
八ヶ岳の西側にある崖の真上を下るように夏沢峠から硫黄岳方面へ。
樹林帯に隠れているものの、この崖を覗き込んでみると高度感はかなりのもの。
硫黄岳と本沢温泉の分岐にあたるヒュッテ夏沢と山彦荘を経由して下山路へと進んだ。
本沢温泉を経由して下山ルート
夏沢峠からは一気に高度を下げていく。
樹林帯に囲まれた本沢温泉へのルートは緑が多く気持ちが良い。ときどき見える硫黄岳が高い。
登山道は徐々に歩きやすく広くなっていく。
20分ほど下りたところ硫黄がきつく臭ってきた。
本沢温泉へと近づいている雰囲気を感じながらさらに下りていく。
登山道の下に浴槽が見え、さらに少し下りたところで露天風呂の案内が立っていた。
本沢温泉は国内最高地点の露天風呂が楽しめる温泉地。
山小屋と同じように宿泊も食事もできる。内湯もあるため、本沢温泉を目的として八ヶ岳を楽しむのも良い。
本沢温泉で休憩をして、再びみどり池へと戻る。
登り返しもあり、ここまで下りてきたルートではなかなかに足に堪える下山ルート。
場所によっては登山道一面に厚い氷が張っているところもある。
登っては緩やかに下り、中山峠の分岐まで戻るとみどり池まではすぐ。
あとは登ってきたルートを戻るのみ。
八ヶ岳の西側の登山道は、美濃戸や渋ノ湯、唐沢などと比べて裏側という印象もあるが、静かで落ち着いた雰囲気があり、テントを担いで登るなら西側が良いと感じた。