望岳台から十勝岳を見上げ登る
十勝岳への登山道は多く、周辺の山との縦走路を含め様々なルートを楽しめる。
今回は最寄りの登山口の望岳台から山頂へと登る。
美瑛市街から吹上温泉へと向かう道路から望岳台へと入っていく。
望岳台には広い駐車場があり、朝早い時間からたくさんの車が停まっていた。
見上げるとガスを吹き上げる十勝岳の稜線。
山頂と登山口の高低差は1,000m以上。
ただココからの眺めではすぐ近くにあるように見える。
登山口の望岳台から周辺には背の低い植物ばかり。
登山道の周りには樹木も少なく、緩やかな勾配が続く。
30分ほど経ったところで吹上温泉への分岐に到着した。
足元に大きな石も多く砂地のような登山道が続く。
10分と経たないうちに美瑛岳への分岐を経由して避難小屋を通過。
現在は立ち入り禁止になっている前十勝コースを横目に登っていく。
斜面は徐々に勾配がきつくなり、ところによっては大きな段差を乗り越えるところも。
振り返ると美瑛の街には雲がかかり雲海が広がっていた。
望岳台から1時間ほど登ると、いよいよ十勝岳の稜線が近づいてきた。
あと30分か1時間と経たないうちかで登り坂を登り終えることができる。
勾配は今まで以上にキツく変わり、登山道は九十九折りに続いている。
横には深い溝に雪渓が残って、その上をセメントのような火山灰が流れた跡。
前十勝の火山性ガスも視線と同じ高さほどになっていた。
九十九折りの斜面もだんだんと砂のような崩れやすく足の埋まりやすい状態になっていく。
見上げていた稜線は、いつの間にか見下ろすような高さで、ガスの先にさらに高い山頂が見えてきた。
十勝岳山頂へ
望岳台から見えていた稜線に立つと、美瑛を多う雲海と近くに聳える美瑛岳。
進む方向には高く尖った十勝岳山頂。
そこへと続いていく登山道は岩壁のよう。
登山道の左右には深い鉢があり、向こうにはチョコレートのように熔岩壁が立ち上がっている。
緩やかに下り、緩やかに登りながら山頂へと近づいて行く。
目の前の岩壁には登山道が見えず、左側に残る雪を登るのか、それともこのまま岩壁に向かうのかと迷いながら、緩い足元の砂を踏みしめていく。
砂浜を歩いているような感覚で、徐々に山頂へと近づき、遠く見えていた岩壁はすぐ目の前に。
遠くからは分からなかった登山道は、急勾配の岩の斜面を九十九折りに続いていた。
ゴツゴツとした岩の斜面は熔岩が固まったもので、大きな凹凸があるものの浮き石や落石は少なく歩きやすい。
急な岩の斜面を登っていく。
あれほどに高く見えたものが実際には15分ほどだった。
山頂へと続く稜線に出た。
山頂から南側へと続く上ホロカメットク山、さらに広く続く雲海が見えた。
山頂直下が僅かに急な斜面になったものの、登りやすく歩きやすい。
十勝岳山頂
望岳台の登山口から2時間7分。
十勝岳山頂に到着した。
大きな岩がいくつも立ち並んだ十勝岳の山頂からは美瑛岳や雲海の向こうにトムラウシ山。
遠く大雪山を見ることができた。
この日は雲海が暑く広がり十勝平野を見渡すことはできなかったが、どこまでも続く雲の海に北海道の広さを感じた。
西側には雲海の下に美瑛。
十勝岳から続く稜線。
あの中には野生動物がいる。
見上げていた火山性のガスは眼下の鉢で吹き上げている。
十勝岳からの下山
十勝岳山頂直下の急斜面はしっかりと固まった熔岩石だったおかげか、浮き石も少なく足元のグリップもシッカリしていて歩きやすかった。
雲海を眺めながらの下山は、砂地の緩さも気にならず、稜線から雲海へ飛び出していくような印象があった。
避難小屋を過ぎてすぐに吹上温泉への分岐があり、白銀荘方面へと進む。
望岳台からの登山道とは違って、樹林帯に囲まれた登山道。
ときには熔岩が川のように流れたあとと思われるルートに変わり、再び樹林帯へと入っていく。
広く整備された登山道も背の高い笹藪が左右にあると、野生動物が飛び出してきそうな気持ちに駆られ、自然と足が速まりながら、白銀荘を視界に入れた。
避難小屋から白銀荘までのルートは、実際の時間よりも体感時間が長く感じられた。