鶏の唐揚げにも見える熔岩石

十勝岳

2077m

望岳台 2016年7月15日

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北海道の中央部にある活火山。
麓からでも見えるほどの勢いで吹き上げる火山性ガスは、登山道を登っている最中でも噴出温が聞こえてくる。
十勝岳連峰の主峰で斜面は火山灰や熔岩石に覆われているが、花の百名山にも選ばれるほど草花が豊富で、選ぶルートによってはたくさんの花を楽しむことができる。

望岳台から登る十勝岳は、背後に美瑛の街を見下ろしながら山頂へと向かう。
少しずつ高くなっていく景色と、その景色の広大さは北海道という雰囲気を視界いっぱいに捉えることができ、遠く眺める山々の大きさは標高以上の存在感を感じる。
稜線からは活火山としての十勝岳の風景を楽しむことができ、黒光りするような熔岩石が作る山容は迫力も十分。

雲が多いながらも晴天に恵まれた7月中旬。
登山口付近から眼下は雲に覆われ、雲海を見下ろしながらの登山となった。
雲の上の大きな岩山を歩くような雰囲気で、晴天下の十勝岳を十分に楽しむことができた。

歩いたコース

登り
望岳台
下り
吹上温泉白銀荘
最高標高
2077m
登山口標高
930m
距離
11.01km
累積標高
1148m
1073m
平均斜度
11.4度
時季
2016年7月
天気
晴れ
日程
日帰り
歩いた時間
登り2:07/下り1:31/合計3:38
平均した歩行速度
3.13km/h

この日のペース

  1. 望岳台
  2. 十勝岳避難小屋(0:32)
  3. 十勝岳(2:07)
  4. 十勝岳避難小屋(3:16)
  5. 吹上温泉白銀荘(3:38)

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山と高原地図 大雪山 トムラウシ山・十勝岳・幌尻岳
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シューシューと火山性のガスを吹き上げ続ける山でした。
登山口の望岳台から見上げたときはすぐ山頂に着くのでは?と思いましたが、見えていた稜線の先に山頂を見たときには、その高さと岩壁に心が萎えかけました。
まるで砂浜のような足元と、鶏の唐揚げにも見える熔岩石と。
今まで味わったことのない雰囲気を楽しめました。
登山道から見下ろす景色も美しく、山頂からも見渡す大雪山系の山々もいつまでも眺めていたいほどでした。

下山に使った白銀荘への登山道は、整備されていて歩きづらいところはありませんでしたが、周囲を樹林帯に囲まれ、大型野生動物に恐怖心を持ちながらの歩行は堪えました。
リスですら出てきた瞬間には鼓動が高まるようでした。
十勝岳温泉へも歩きたいところですが、望岳台のピストンがオススメです。

持って行った水の量

望岳台から十勝岳を見上げ登る

十勝岳への登山道は多く、周辺の山との縦走路を含め様々なルートを楽しめる。
今回は最寄りの登山口の望岳台から山頂へと登る。

美瑛市街から吹上温泉へと向かう道路から望岳台へと入っていく。
望岳台には広い駐車場があり、朝早い時間からたくさんの車が停まっていた。

見上げるとガスを吹き上げる十勝岳の稜線。
山頂と登山口の高低差は1,000m以上。
ただココからの眺めではすぐ近くにあるように見える。

登山口の望岳台から周辺には背の低い植物ばかり。
登山道の周りには樹木も少なく、緩やかな勾配が続く。

30分ほど経ったところで吹上温泉への分岐に到着した。
足元に大きな石も多く砂地のような登山道が続く。
10分と経たないうちに美瑛岳への分岐を経由して避難小屋を通過。
現在は立ち入り禁止になっている前十勝コースを横目に登っていく。

斜面は徐々に勾配がきつくなり、ところによっては大きな段差を乗り越えるところも。
振り返ると美瑛の街には雲がかかり雲海が広がっていた。

望岳台から1時間ほど登ると、いよいよ十勝岳の稜線が近づいてきた。
あと30分か1時間と経たないうちかで登り坂を登り終えることができる。

勾配は今まで以上にキツく変わり、登山道は九十九折りに続いている。
横には深い溝に雪渓が残って、その上をセメントのような火山灰が流れた跡。
前十勝の火山性ガスも視線と同じ高さほどになっていた。

九十九折りの斜面もだんだんと砂のような崩れやすく足の埋まりやすい状態になっていく。
見上げていた稜線は、いつの間にか見下ろすような高さで、ガスの先にさらに高い山頂が見えてきた。

十勝岳山頂へ

望岳台から見えていた稜線に立つと、美瑛を多う雲海と近くに聳える美瑛岳。
進む方向には高く尖った十勝岳山頂。
そこへと続いていく登山道は岩壁のよう。
登山道の左右には深い鉢があり、向こうにはチョコレートのように熔岩壁が立ち上がっている。
緩やかに下り、緩やかに登りながら山頂へと近づいて行く。

目の前の岩壁には登山道が見えず、左側に残る雪を登るのか、それともこのまま岩壁に向かうのかと迷いながら、緩い足元の砂を踏みしめていく。
砂浜を歩いているような感覚で、徐々に山頂へと近づき、遠く見えていた岩壁はすぐ目の前に。
遠くからは分からなかった登山道は、急勾配の岩の斜面を九十九折りに続いていた。

ゴツゴツとした岩の斜面は熔岩が固まったもので、大きな凹凸があるものの浮き石や落石は少なく歩きやすい。
急な岩の斜面を登っていく。
あれほどに高く見えたものが実際には15分ほどだった。
山頂へと続く稜線に出た。

山頂から南側へと続く上ホロカメットク山、さらに広く続く雲海が見えた。

山頂直下が僅かに急な斜面になったものの、登りやすく歩きやすい。

十勝岳山頂

望岳台の登山口から2時間7分。
十勝岳山頂に到着した。

大きな岩がいくつも立ち並んだ十勝岳の山頂からは美瑛岳や雲海の向こうにトムラウシ山。
遠く大雪山を見ることができた。
この日は雲海が暑く広がり十勝平野を見渡すことはできなかったが、どこまでも続く雲の海に北海道の広さを感じた。
西側には雲海の下に美瑛。
十勝岳から続く稜線。
あの中には野生動物がいる。
見上げていた火山性のガスは眼下の鉢で吹き上げている。

十勝岳からの下山

十勝岳山頂直下の急斜面はしっかりと固まった熔岩石だったおかげか、浮き石も少なく足元のグリップもシッカリしていて歩きやすかった。
雲海を眺めながらの下山は、砂地の緩さも気にならず、稜線から雲海へ飛び出していくような印象があった。

避難小屋を過ぎてすぐに吹上温泉への分岐があり、白銀荘方面へと進む。
望岳台からの登山道とは違って、樹林帯に囲まれた登山道。
ときには熔岩が川のように流れたあとと思われるルートに変わり、再び樹林帯へと入っていく。

広く整備された登山道も背の高い笹藪が左右にあると、野生動物が飛び出してきそうな気持ちに駆られ、自然と足が速まりながら、白銀荘を視界に入れた。
避難小屋から白銀荘までのルートは、実際の時間よりも体感時間が長く感じられた。

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使った登山道具

十勝岳の鶏唐揚げのような登り坂

十勝岳の鶏唐揚げのような登り坂

十勝岳は十勝岳連峰の主峰で常時噴煙を上げる活火山です。
1988年ごろに火砕流が発生してから激しい噴火活動はありませんが、いつ噴火してもおかしくない山です。山全体が噴石と火山灰でできているような印象で、草木は背が低く黒い山体をしているという印象でした。

望岳台から登るため美瑛の街から登山口へと向かったのですが、近づくほどに活火山の様子が伝わってくるようで、花の百名山だけど本当に花は見られるのだろうかと思いながら登山道へと入っていきました。

ルートが違っていたのか、インターネットや本で見るような草花を多く見ることはできなかったのですが、山頂が見えてきてからの雄大な景色は十分に堪能ができました。

中でも印象深かったのが山頂直下のこの登り坂。

遠くから見えていたときには「目の前に壁のようなものが見える」と思い、別にルートがある物だと思っていましたが、どうも近づいていくと登山道らしきものが見え、急登を登ることになると気が付き・・・
近づいてみるとその急登は、全体が熔岩石で「まるで鶏の唐揚げのよう」に見えたことが印象深かったです。
取り付いてみると思ったほど急では無く、高低差も壁に見えていたほどでは無く、手応えも無く登り切ることができました。熔岩石がしっかりとした足場になって滑りやすいところや崩れやすいところがなかったことが楽だった要因だったと思います。

下山後に立ち寄った温泉

吹上温泉 白銀荘

十勝岳の登山口にある保養センター。内風呂にはサウナや打たせ湯があり、露天風呂も楽しめる。その他に水着で楽しむ混浴露天風呂があり、家族連れでも楽しめる。自炊であれば宿泊をすることもでき、備え付けの調理器具や食器を使うこともできる。車中泊は1台500円。

駐車場の横に登山口があり、下山してすぐに温泉へ向かうことができます。入口から階段を下りて少し歩きますが、広々とした温泉でした。脱衣所から混浴風呂へと通じるドアがあり「大人は裸禁止」という張り紙がしてありました。男性用の露天風呂は開放感があって気持ちが良いのですが、駐車場や道路から丸見えなので繁忙期は注意です。

十勝岳周辺の山

    同じ時季に登った山