中央アルプスの麗峰

空木岳

2864m

地蔵下登山口 2015年10月17日

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その綺麗な山名から中央アルプスでも人気の高い空木岳。
森林限界に達するとハイマツの中に真っ白な花崗岩の巨岩が乱立して美しい景色が楽しめる。
山頂は中央アルプスの縦走路上に位置しているため、木曽駒ヶ岳や南駒ヶ岳と合わせて登頂する登山者も多い。
木曽駒ヶ岳側の稜線上は荒れた天候になることもあり、韓国人登山ツアーの多数遭難が記憶に新しい。

主な登山道は木曽駒ヶ岳からの縦走や、西側の伊奈川ダム、東側の池山尾根。
いずれも高低差が大きく距離も長くなっているため、日帰りの行程は健脚向きとされている。
山頂付近は広々としたハイマツ帯で、遮る物の無い緑と間近に迫った青空、白い岩と砂地を楽しむことができる。

歩いたコース

登り
池山尾根
下り
池山尾根
最高標高
2864m
登山口標高
1250m
距離
16.90km
累積標高
1772m
1751m
平均斜度
11.8度
時季
2015年10月
天気
曇り
日程
日帰り
歩いた時間
登り3:47/下り2:35/合計6:22
平均した歩行速度
2.78km/h

この日のペース

  1. 地蔵下登山口
  2. 林道終点(0:16)
  3. 鷹打場(0:36)
  4. 池山小屋入口(1:03)
  5. 迷い尾根(2:20)
  6. 空木駒峰ヒュッテ(3:40)
  7. 空木岳 山頂(3:47)
  8. 地蔵下登山口(6:22)

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山と高原地図 木曽駒・空木岳
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「空木岳」という山名に惹かれて、ずっと興味を持っていた山です。
中央アルプスの中でも比較的奥地にあるイメージだったので、長距離と高低差を克服するには日帰りは難しいと考えていました。
池山尾根はもっとも山頂へアクセスしやすい登山道だと思いますが、思っていたとおり長かったです。
ただ大きく登り返すような場所もなく、比較的登りやすいのではないかと思いました。
毎年のように遭難のニュースを聞く山でもありますし、途中のヤセ尾根は高度感もありました。
また何度か訪れたいと思う山でした。山頂付近の美しい姿はぜひ青空の下で見たいです。

持って行った水の量

日帰りで池山から空木岳へ

空木岳への登山道は、スキー場登山口から地蔵下、林道終点と3つの登山口がある。
車の通行が可能な林道が続いているため、登山道はそれを縫うように続いている。

標高1,250m付近。
10台ほどの車が停められる篭ヶ沢駐車場から林道を500mほど下って登山口へ。
地蔵下登山口から階段を上り登山道へと入ると急登が始まる。

ところどころにある大きな段差を越え、登山口から5分ほど。三本木地蔵を過ぎさらに登っていく。

地蔵下登山口から15分ほどで登山道から再び林道へ出て、林道終点に到着した。

林道終点から池山分岐へ

林道終点からの登山口は、登山届けを提出するポストもあり地蔵下よりも登山口にきたという雰囲気。
林道終点には20台近い車が停められそうなほど広い。

緩やかで広い登山道を池山方面へ向かって登っていく。
篭ヶ沢の分岐を過ぎ、落ち葉のフカフカとした感触と頭上に広がる赤や黄の葉を楽しみながら登ること20分。
鷹打場に着いた。

ここは池山へと登る急峻なルートと、池山山荘へと続くハイキングルートの分岐になっている。
空木岳までの池山尾根は長丁場のルートになるので、急峻なルートではなくハイキングルートへ。
緩やかで広い登山道は相変わらず歩きやすい。

最初の水場は旧池山山荘。
ここへは登山道からは100mほど外れて下る。
地蔵下の登山口から1時間ほど。
池山山荘入口の分岐に到着した。
三又に分かれた登山道は、右へ行けば池山山荘。
まっすぐ行けば登山道経由ルート、左へ行けば遊歩道経由ルート。
歩きやすい登山道を選びたいので、ここは遊歩道経由ルートへ。

なだらかで落ち葉の積もった坂を九十九折りに登っていく。
茂った枝からは宝剣岳が見え隠れしている。
宝剣岳の下には千畳敷カールが見える。

15分ほど登ったところで斜面は緩やかに変わり歩きやすい平らな登山道になった。
尻無と書かれた標は、さきほどの登山道経由ルートとの合流地点で、ここから本格的な登山道に変わる。
前には急な坂道が見える。

迷い尾根へ

尻無を過ぎるとそれまでの歩きやすい穏やかな登山道から、よくあるような急な斜面と木の根が這った登山道に。
急な登りと緩やかな登りを繰り返しながらの登山道はところどころに木段も。
マセナギと書かれた標を過ぎると、登山道は尾根の肩を進むようなルートになった。
見上げればすぐそこに尾根、木の間から青空が見え、尾根の気持ち良さを思うと肩を歩くのが惜しい。

10分ほど歩いたところで、急な斜面と、階段の掛けられた箇所に着いた。
大地獄と呼ばれるここからの登山道は、池山尾根でも注意が必要な箇所で、ヤセ尾根と高い段差の岩場や鎖場が連続する。
立て看板によると滑落遭難が起こるのもこの箇所のようだった。

張られたロープと木段を上がりながら急な登山道を進む。
このあたりまで登ってくると、足元の土にもだんだんと空木岳らしい白い砂礫が見られるようになってきた。
場所によっては土というよりも砂や砂利のような地面もある。
高く見上げるようだった宝剣岳と千畳敷カールは視線の高さに近くなってきたようにも見える。
長い池山尾根もいよいよルートも中盤に差し掛かったように感じる。

大地獄に続いて小地獄と変わっていく登山道。
どこかに標があるわけではなく、ただひたすらにヤセ尾根が続く。
切れ落ちた崖の上を歩くようなルートで、鎖やロープが張ってあってもこの高さを見るのは気持ちが良くない。
ヤセ尾根を過ぎ斜面をトラバースするように進むと、遥か下に駒ヶ根の街が見下ろせた。

池山尾根の注意箇所を過ぎても、ところどころに急な勾配や木段が続く。
標高は約2300mほど。
千畳敷カールが視線と同じような高さに見える頃になってようやく斜面は緩く落ち着いた登山道になった。

空木平分岐から空木岳へ

ヤセ尾根を過ぎて迷い尾根の標から1時間。
急斜面と緩斜面を繰り返しながら標高を上げていく。
樹林帯に囲まれた登山道は、たまに宝剣岳が見える程度で眺望もあまりなく、ただ斜度に耐えるだけの印象。
ようやく見えた分岐には「空木平避難小屋」の文字。
ここまで来ると行程の80%を進んだことになる。
そして森林限界も近い。

3分と歩かないうちに、目の前に白い花崗岩が立つ空木岳が見えた。

すぐ近くに見える空木岳山頂。とはいえ山頂まではまだ2キロもある。
山頂の下に建っている空木駒峰ヒュッテが小さく見えた。

樹林帯に囲まれた登山道から、見晴らしの良いハイマツの間を歩く登山道に変わり、山頂も近く見えて気持ちもはやる。
勾配はきつくはないものの細かくアップダウンがあり、また近く見えた景色が意外と近づかないもどかしさを感じながら登っていく。
ルート上には大きな石が間近で立っているところもあり、それを眺めるのも楽しい。
足元の土は白く黄土色の砂礫になり、ジャリジャリと踏みしめながら。

なかなか近づかない山頂に、駒峰ヒュッテに到着するころには「ようやく」といった気持ちになった。
駒峰ヒュッテのテラスは気持ちが良さそうで、山頂で無くてもココで休みたいと思いながら、すぐそこにあるハズの山頂へ。
実際には5分と掛からない駒峰ヒュッテから空木岳山頂との100mほどの距離が長く急な斜面のようで長かった。

空木岳山頂

白い岩と砂に覆われた空木岳。見下ろすとハイマツの中に点々と見える花崗岩が綺麗だった。
厚く速い雲に覆われてしまい、周囲の眺望を楽しむことはできなかったが、空木岳は燕岳のようにその山容を楽しむものだと感じた。
ただ雲が無ければどれだけの眺望が広がっていただろうと惜しい気持ちもあるのだけれど。

手元の時計で地蔵下の登山口からは3時間47分。
池山尾根は大きな登り返しもなく、比較的登りやすいルートだった。
標高差と行程の長さを考えれば日帰りは敬遠してしまうが、この美しい山容はまた見に来たいと思える。

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使った登山道具

空木岳を見上げた眺め

空木岳を見上げた眺め

登山に興味を持ち始めたころから空木岳は特別な思いのある山のひとつでした。
キレイなその山の名前から惹かれ、真っ白な岩と砂、青い空に濃いハイマツの緑。
脳みそに強烈に印象を残すには十分なほどの美しさで、この景色を一度目にしたいと願っていました。

数年後に、まさかここに訪れることができるとも思いもよらず。
印象を強く持った当時では日帰りどころか1泊でも無理なんじゃないかと思っていた空木岳へ、池山尾根から辿り着きました。
長い長い登り坂を越え、目の前に広がった景色は思っていた様子よりも色褪せた季節の進んだものでしたが、それでも憧れにいっぱいに膨らませた期待には十分すぎるほどのものでした。

あの頂点へ立てる日がくると思うと感慨深く・・・。

この眺めの場所から30分ほどで辿り着けると思っていた山頂は意外と遠く、実は1時間ほど掛かって登頂完了となりましたが、長い登り坂と下りの大変さよりも満足感と達成感が大きかった登山になりました。

あれ以来、池山尾根の長さに辟易することなく、どの季節に登るべきかと想像を膨らませるばかりです。

下山後に立ち寄った温泉

露天こぶしの湯

中央道駒ヶ根インターから5分と掛からない場所にある温泉施設。家族旅行村の敷地内にあるため、周囲にはキャンプ場やレクリエーション施設も完備。休日には観光客も多く訪れる。窓の大きな内湯と、眺めの良い露天風呂からは南アルプスが一望できる。

木曽駒ヶ岳のロープウェイ駐車場や、空木岳の登山口駐車場に近くて便利です。家族で遊べる施設だけあって駐車場も便利。食事も楽しめるので登山後にオススメです。中央アルプスを登ったあとに、温泉から南アルプスを眺めるのも良いと思いました。スタッフには女性が多いようで、男湯のタオルの交換も女性が行っていました。
高速道路から近いというのも魅力的で、街へのアクセスも良いです。

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