日帰りで池山から空木岳へ
空木岳への登山道は、スキー場登山口から地蔵下、林道終点と3つの登山口がある。
車の通行が可能な林道が続いているため、登山道はそれを縫うように続いている。
標高1,250m付近。
10台ほどの車が停められる篭ヶ沢駐車場から林道を500mほど下って登山口へ。
地蔵下登山口から階段を上り登山道へと入ると急登が始まる。
ところどころにある大きな段差を越え、登山口から5分ほど。三本木地蔵を過ぎさらに登っていく。
地蔵下登山口から15分ほどで登山道から再び林道へ出て、林道終点に到着した。
林道終点から池山分岐へ
林道終点からの登山口は、登山届けを提出するポストもあり地蔵下よりも登山口にきたという雰囲気。
林道終点には20台近い車が停められそうなほど広い。
緩やかで広い登山道を池山方面へ向かって登っていく。
篭ヶ沢の分岐を過ぎ、落ち葉のフカフカとした感触と頭上に広がる赤や黄の葉を楽しみながら登ること20分。
鷹打場に着いた。
ここは池山へと登る急峻なルートと、池山山荘へと続くハイキングルートの分岐になっている。
空木岳までの池山尾根は長丁場のルートになるので、急峻なルートではなくハイキングルートへ。
緩やかで広い登山道は相変わらず歩きやすい。
最初の水場は旧池山山荘。
ここへは登山道からは100mほど外れて下る。
地蔵下の登山口から1時間ほど。
池山山荘入口の分岐に到着した。
三又に分かれた登山道は、右へ行けば池山山荘。
まっすぐ行けば登山道経由ルート、左へ行けば遊歩道経由ルート。
歩きやすい登山道を選びたいので、ここは遊歩道経由ルートへ。
なだらかで落ち葉の積もった坂を九十九折りに登っていく。
茂った枝からは宝剣岳が見え隠れしている。
宝剣岳の下には千畳敷カールが見える。
15分ほど登ったところで斜面は緩やかに変わり歩きやすい平らな登山道になった。
尻無と書かれた標は、さきほどの登山道経由ルートとの合流地点で、ここから本格的な登山道に変わる。
前には急な坂道が見える。
迷い尾根へ
尻無を過ぎるとそれまでの歩きやすい穏やかな登山道から、よくあるような急な斜面と木の根が這った登山道に。
急な登りと緩やかな登りを繰り返しながらの登山道はところどころに木段も。
マセナギと書かれた標を過ぎると、登山道は尾根の肩を進むようなルートになった。
見上げればすぐそこに尾根、木の間から青空が見え、尾根の気持ち良さを思うと肩を歩くのが惜しい。
10分ほど歩いたところで、急な斜面と、階段の掛けられた箇所に着いた。
大地獄と呼ばれるここからの登山道は、池山尾根でも注意が必要な箇所で、ヤセ尾根と高い段差の岩場や鎖場が連続する。
立て看板によると滑落遭難が起こるのもこの箇所のようだった。
張られたロープと木段を上がりながら急な登山道を進む。
このあたりまで登ってくると、足元の土にもだんだんと空木岳らしい白い砂礫が見られるようになってきた。
場所によっては土というよりも砂や砂利のような地面もある。
高く見上げるようだった宝剣岳と千畳敷カールは視線の高さに近くなってきたようにも見える。
長い池山尾根もいよいよルートも中盤に差し掛かったように感じる。
大地獄に続いて小地獄と変わっていく登山道。
どこかに標があるわけではなく、ただひたすらにヤセ尾根が続く。
切れ落ちた崖の上を歩くようなルートで、鎖やロープが張ってあってもこの高さを見るのは気持ちが良くない。
ヤセ尾根を過ぎ斜面をトラバースするように進むと、遥か下に駒ヶ根の街が見下ろせた。
池山尾根の注意箇所を過ぎても、ところどころに急な勾配や木段が続く。
標高は約2300mほど。
千畳敷カールが視線と同じような高さに見える頃になってようやく斜面は緩く落ち着いた登山道になった。
空木平分岐から空木岳へ
ヤセ尾根を過ぎて迷い尾根の標から1時間。
急斜面と緩斜面を繰り返しながら標高を上げていく。
樹林帯に囲まれた登山道は、たまに宝剣岳が見える程度で眺望もあまりなく、ただ斜度に耐えるだけの印象。
ようやく見えた分岐には「空木平避難小屋」の文字。
ここまで来ると行程の80%を進んだことになる。
そして森林限界も近い。
3分と歩かないうちに、目の前に白い花崗岩が立つ空木岳が見えた。
すぐ近くに見える空木岳山頂。とはいえ山頂まではまだ2キロもある。
山頂の下に建っている空木駒峰ヒュッテが小さく見えた。
樹林帯に囲まれた登山道から、見晴らしの良いハイマツの間を歩く登山道に変わり、山頂も近く見えて気持ちもはやる。
勾配はきつくはないものの細かくアップダウンがあり、また近く見えた景色が意外と近づかないもどかしさを感じながら登っていく。
ルート上には大きな石が間近で立っているところもあり、それを眺めるのも楽しい。
足元の土は白く黄土色の砂礫になり、ジャリジャリと踏みしめながら。
なかなか近づかない山頂に、駒峰ヒュッテに到着するころには「ようやく」といった気持ちになった。
駒峰ヒュッテのテラスは気持ちが良さそうで、山頂で無くてもココで休みたいと思いながら、すぐそこにあるハズの山頂へ。
実際には5分と掛からない駒峰ヒュッテから空木岳山頂との100mほどの距離が長く急な斜面のようで長かった。
空木岳山頂
白い岩と砂に覆われた空木岳。見下ろすとハイマツの中に点々と見える花崗岩が綺麗だった。
厚く速い雲に覆われてしまい、周囲の眺望を楽しむことはできなかったが、空木岳は燕岳のようにその山容を楽しむものだと感じた。
ただ雲が無ければどれだけの眺望が広がっていただろうと惜しい気持ちもあるのだけれど。
手元の時計で地蔵下の登山口からは3時間47分。
池山尾根は大きな登り返しもなく、比較的登りやすいルートだった。
標高差と行程の長さを考えれば日帰りは敬遠してしまうが、この美しい山容はまた見に来たいと思える。