雪の常念岳へ一ノ沢から登る
夜が明けるのを待ち、標高1,260mの一ノ沢登山口から常念岳へ。
6時過ぎ、明るく太陽が出るのを待って登山道へ。
前方に見える白い山には日が当たり赤く見える。
登山口に入るとしばらくは落ち葉の積もった緩やかな坂道が続く。
登山道には尖った石が転がり、ところどころに大きな岩も。
登山開始から10分。
鳥居が掛けられた山の神に到着。
大池あたりまで登ると登山道の脇には薄く雪が見えるようになった。
一ノ沢の流れる音を聞きながら、緩やかに登っていく。
30分も登った頃には登山道全体が覆われるほどに雪が積もっていた。
大滝には約40分ほどで到着。標高は1,600mを越えた。
緩やかに登っているせいか良いペースで高度を上げていく。
登山道の雪の合間には厚く氷が張っている。
大滝から20分ほどで枯れた沢を渡り、さらに20分歩くといよいよ常念乗越を見上げられるようになった。
稜線に沿って視線を左に移すと常念岳が朝陽に光っている。
登山口付近と比べて細くなった一ノ沢を渡り、乗越へ向かって登っていく。
夏季なら雪渓が厚く残っている箇所も、新雪が積もり氷が厚く張っている。
最初の難所の胸突八丁には、登山口から2時間ほどで到着した。
胸突八丁のとりつきは狭く急な斜面になっている。
雪が積もり滑りやすい斜面を折り返しながら登っていく。
もともと高度感のある場所。
加えて雪が積もっているので足元にも気を遣う。
最終の水場は雪に埋もれ、流れは凍っていた。
落石ポイントになっている斜面は吹きだまり、厚く新雪が溜まっていた。
滑落しやすいトラバース箇所で、よく足元を踏み固めながら進んでいく。
常念乗越手前の折り返しが続く胸突八丁は足にも疲労が溜まる。
登山道に積もる雪は寒さのせいで乾燥してフカフカとしている。
目印になる一つ目のベンチは雪の中に。
さらに10分ほど登ったところにある第2ベンチも。
3つめのベンチを経由して登山口から3時間ほど。
常念乗越に到着した。
常念岳と横通岳の鞍部になる常念乗越は、一ノ沢から登ってくると正面に槍ヶ岳と穂高岳の稜線が見える。
それまで樹林帯に囲まれながら常念岳を見上げてきたルートが、一度に視界が開けて、思わず声を上げてしまうような絶景に出会うことができる。
常念小屋はこの絶景が楽しめる鞍部に建っているので、小屋が開いている時季には休憩にもちょうど良い。
11月にもなると冬季小屋のみが使用可能。
常念乗越から常念岳へは約400m。ガレ場の急登が続く。
穂高岳方面からの強い風が吹きつけるため全体的に積雪は深くないものの、凍り付いた岩は硬く締まり岩と岩の隙間には雪が吹き溜まる。
ところどころで膝下まで足が埋まり、場所によってはソールほどだったり、まったく雪が無かったりといった状態だった。
もともとペンキで付けられていた目印は雪に覆われて見えなくなっているところも多く、先を見上げながらルートを探っていく。
高度を上げるごとに風は強く吹き付け、時には体を持って行かれるのでは無いかと思うほどに強く吹いていた。
風の強さと共に体感温度も下がる。
風と雪の吹きだまりに気をつけながら、1時間で三股との分岐点に到着。
常念岳の山頂
登山口から4時間3分。常念乗越から1時間10分ほどで常念岳の山頂に到着した。
乗越からは風が強く寒さに苦労した。
山頂からは穂高岳と槍ヶ岳。
裏銀座の稜線や大天井岳、後立山、南側には乗鞍岳や御嶽山がハッキリと見えた。
南アルプスの向こうには、薄く霞んだ富士山。
東に目を移すと浅間山と長野県北部の山並みがよく見えた。
安曇野から象徴的に見える常念岳。
その山頂から眼下に見える安曇野は広く、まだ秋の景色だった。